胃と腸 26巻8号 (1991年8月)

今月の主題 大腸sm癌の治療

序説

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 大腸癌の内視鏡的治療は,内視鏡機器の改良とポリペクトミーの普及に支えられて大きく発展し,その間10mm未満の小さな癌も多数発見されるようになってきた.そのなかには癌が小さいうちに既に粘膜筋板を貫いて粘膜下層へ浸潤し,更にはリンパ節転移を伴う症例も存在することが明らかになっている.当然ポリペクトミーされた大腸癌の粘膜下層への浸潤を確認した時点で,リンパ節転移のリスクを憂慮しなければならない.既にこの大腸早期癌の中では,m癌の取り扱いについてはポリペクトミーを行うのみで根治可能という一致した見解が得られている.問題はsm癌と診断されたときに,ポリペクトミーのみで癌の治療として十分であるのか否か? あるいは外科的な根治切除が必要となるか? この命題については未だ一定の治療指針が得られていない.

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要旨 教室で経験した大腸sm癌90例(結腸49例,直腸41例)の治療につき検討した.初回治療としては結腸sm癌49例中22例(44.9%),直腸sm癌41例中20例(48.8%)に局所的切除(内視鏡的ポリペクトミー,局所切除術)が行われ,残りの48例は腸管切除術が当初より行われた.局所的切除例42例中19例には追加根治術が行われた.腸管切除例67例中3例(4.5%)にリンパ節転移を認め,また,2例に再発を認めた.今回のsm癌リンパ節転移予測因子の検討より,高分化腺癌で粘膜下浸潤が軽度であり,かつ脈管侵襲(特にly-factor)がなければ,形態的,占居部位的に可能であれば,治療は局所的切除で十分であると考えられた.

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要旨 大腸のsm早期癌の治療法について検討した.これまで当科で治療した進行癌との合併を除くsm癌67例73病変のうち,内視鏡的ポリペクトミーのみで経過を見たものは22例で,ポリペクトミー後追加腸切除されたものは19例,外科的切除26例である.これらの治療後の経過観察からsm癌の治療方針として以下の結論を得た.①有茎,亜有茎病変で脈管侵襲がなく断端陰性のものはポリペクトミーのみで根治しうる.②断端陽性,脈管侵襲陽性,低分化型癌の場合は外科的追加腸切除が原則である.しかし腺腫を併存するものはリンパ節転移や脈管侵襲の程度は低くポリペクトミーによる根治可能例が多い.③sm癌でsm深層へ浸潤しているものは脈管侵襲やリンパ節転移例が多くポリペクトミー後の追加切除が必要である.

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要旨 大腸sm癌の検討を行い次の結論を得た.①高,中分化癌でも浸潤先進部にはしばしば低分化胞巣が出現し,その出現はリンパ節転移の重要なrisk factorとなる.②先進部を含めて一様に高分化の癌は,リンパ節転移陽性例がなく,腸管切除の適応から除外しうる1条件である.

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要旨 大腸sm癌133病巣(手術87病巣,内視鏡46病巣)のうち,手術例5病巣に2群までのリンパ節転移を認めた.手術例1病巣に肝転移,内視鏡例1病巣に肺転移をいずれも異時性に認め,切除術を施行した.これら7例の転移陽性大腸sm癌の平均腫瘍径は27mmであった.占拠部位についてはリンパ節転移例は直腸4例,下行結腸1例,遠隔転移の2例はいずれもS状結腸であった.肉眼型はIs型が6病巣,Ⅱa+Ⅱc型が1病巣であった.組織型は肝転移例が中分化腺癌,肺転移例が高分化腺癌(単純型),リンパ節転移例のうち1例が印環細胞癌で,その他の4例は部分的に中・低分化腺癌の混在する高分化腺癌(混在型)であった.これらの癌巣のsmでの拡がりは縦方向のみならず側方向にも顕著であった.以上より2cm以上のⅠs型大腸癌でsmでの拡がりが縦方向1mm以上,側方向5mm以上,中・低分化腺癌の混在が認められる場合には血行性転移に対する配慮と郭清を伴う大腸切除術が必要と考えられた.

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要旨 転移陽性大腸sm癌の臨床病理学的特徴を知るため,単発大腸sm癌72例を対象として検討を行った.転移は,所属リンパ節5例,肝転移1例,鼠径リンパ節・骨盤腔内および肺転移1例の合計7例(9.7%)に認められた.7例の形態は有茎(Ⅰp)1例,亜有茎(Ⅰps)2例,無茎(Ⅰs)3例,Ⅱa+Ⅱc1例で,大きさは長径20mm以下が4例,21mm以上が3例であった.切除標本の検討では,7例中1例に断端陽性,1例に低分化腺癌,5例に脈管内癌浸潤,5例にsm massive invasionがみられ,7例全例にいずれかの危険因子が認められた.転移はいかなる形態においても存在するため,切除標本における危険因子の検討を詳細に行い,個々の症例に応じて治療方針を決定することが重要と考えられた.

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要旨 転移陽性大腸sm癌の形態的特徴を明らかにする目的で臨床病理学的に検討を行った.特にその発育形態について粘膜内隆起性発育を示すもの(PG+)と,粘膜下浸潤による隆起性病変(PG-)とに分けた.検討症例56例中8例(14.3%)にリンパ節転移がみられた.PG(-)は組織学的にリンパ節転移のrisk factorであるsm(+++)のmassive invasion,脈管侵襲陽性を示すものが多く,肉眼形態では隆起の左右不対称,陥凹,表面の性状が結節型の特徴がみられた.これらの形態的特徴をもったPG(-)はリンパ節転移率においても20.8%(5/24)とPG(+)の9.1%(3/33)に比べ高く,リンパ節転移のhigh risk groupであることが示された.

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要旨 転移陽性大腸sm癌の形態的特徴を明らかにすることを目的として,sm第1癌141例を検討した.リンパ節転移を認めたのは11例7.8%で,そのrisk factorとして,肉眼形態では20mm以上と中心陥凹であり,組織学的には粘膜下浸潤の程度とリンパ管侵襲であった.sm massiveでかつly陽性例では25例中5例20%に転移が認められた.11例中3例において,癌先進部において粘液癌成分の混在を認めた.今回の検討より,①中心陥凹がなく,①cut end(-),①ly(-),①sm level 1~2,①分化型,をポリペクトミーの適応条件とすると,リンパ節転移例はなく,かかる症例はsm第1癌141例中29例20.6%であった.

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要旨 リンパ節転移陽性の大腸sm癌の2症例とリンパ節転移陽性大腸sm内分泌細胞癌の1症例を呈示した.現在転移を伴う大腸sm癌の形態的特徴に未だ明確なものは報告されていない.教室ではsm浸潤度分類1)や更に効率よく転移の危険性を判定するために深部浸潤面積や浸潤面積比2)から検討しているので紹介した.しかし,これらはいずれも光顕的判定であり,肉眼的所見の特徴からのものではない.原発巣が比較的小さくsmにとどまっていても予後不良な内分泌細胞癌症例も報告した.

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要旨 1965~1988年の間に当院で治療された大腸sm癌115例を切除標本の肉眼型から有茎型(Ⅰp)21例,亜有茎型(Ⅰps)37例,広基型(Ⅰs)20例,表面隆起型(Ⅱa)17例,表面隆起中央陥凹型(Ⅱa+Ⅱc)20例に分け,腫瘍の大きさも加味してリンパ節転移と遠隔転移再発について検討した.根治術例97例中,リンパ節転移陽性例は13例(13.4%),全症例中遠隔転移再発は6例(うちリンパ節転移陽性2例)に見られた.再発例を含めた全症例中の転移陽性例は17例(14.8%)である.どの肉眼型にも転移陽性例は見られるが,特にⅡa+Ⅱc例に多い傾向にあった.大きさと転移・再発との関係に特徴は認められない.再発死亡した6例の概略とリンパ節転移陽性で画像または肉眼上進行癌と診断された3症例を提示した.

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要旨 転移陽性大腸sm癌3例(傍直腸リンパ管浸潤,リンパ節転移,リンパ管転移再発)の肉眼形態はいずれも広基性であった.またsm浸潤度は最深層に及び,腺腫成分を有しないポリポイド癌であった.文献的にsm癌リンパ節転移のリスクファクターを検討すると,まれな低分化腺癌を除くと,sm浸潤度(massive invasion)と脈管侵襲陽性が挙げられる.しかし広基性あるいは陥凹型の肉眼形態とポリポイド癌(12.9%;文献集計例20/155)にも注意を要する.小さな扁平あるいは平坦型腺腫からの癌化を考慮すると,広基性sm癌が大きくなるにつれてsm深層に浸潤し,かつポリポイド癌を呈し,リンパ節転移のリスクが増大すると推測することができる.

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要旨 転移陽性大腸sm癌の形態的特徴について検討した.sm癌のリンパ節転移陽性率は10%(12例)である.肉眼型ではⅠs型が12.1%,Ⅱa+Ⅱc型では15.2%と多く,長径は20mm以上が多く,12例中8例を占めていた.深達度smを3型(sm1,sm2,sm3)に亜分類すると,sm1はリンパ節転移陰性であり,sm2は16.7%,sm3は17.2%と高いリンパ節転移率を示した.また,sm2やsm3の深達度を示すものはⅠs型やⅡa+Ⅱc型が多かった.

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要旨 当院で過去26年間に切除された大腸sm癌130例中13例にリンパ節転移を認めた.13例の肉眼的および病理組織学的所見としては,Ⅰs型(4例),Ⅰps型(4例)が多く,粘膜下浸潤の深達level(深さ)をlevel1(浅い),2(中間),3(深い)と分けると,level3(8例),level2(4例)と深い例が多く,癌浸潤量を+(少量),++(中等量),+++(多量)とすると,+++(6例),++(5例)が多かった.sm大腸癌症例全体のsm深達levelおよび浸潤量との関連では,level3の症例45例中18%に,またlevel2の症例31例中13%にリンパ節転移を認め,深達levelが重要因子とみなされた.sm癌浸潤量(+++)の38症例中16%に,また浸潤量(++)の34症例中15%にリンパ節転移を認め,転移率はほぼ浸潤量に関連すると言えるが,微量の浸潤量でも深達level3のものは転移を示しており,必ずしも並行関係とは言えなかった.更に,ly,v因子陽性例は転移頻度が比較的高いが,ルーチン検索で陰性例でも転移が認められ,厳重な注意を要することが示唆された.

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 ポリペクトミーが益々普及するにつれて,sm癌に遭遇する機会は多くなってきた.腸切除を追加すべきか否かを決めるのは,組織学的なリスクファクターの有無であるが,1施設のsm癌の経験は限られているので,リスクファクターを決めるまでにはかなりの年月を要することになる.そこで,1983年に本誌特集号(18巻8号)で行ったアンケート調査にならって,再度アンケート調査を行いリスクファクターを再分析することにした.

 アンケート内容はTable1のごとくで,前回massive invasionと判定されていた癌浸潤の程度をより細分して,各レベルでの転移のリスクを明らかにすることを試みた.13施設から857例の症例が集められた(Table2).以下にデータをまとめて表として掲載し読者の参考に供したい.各データには必要最小限のコメントを付すに止め,細かい解釈は読者に委ねることにした.

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 武藤(司会) 今日はお忙しいところをお集まりいただきまして,ありがとうございました.8年前に,ポリペクトミーがかなり行われるようになってから初めて,アンケート調査によって大腸sm癌の実態が明らかにされました(「胃と腸」18巻8号).それから約10年経ちまして,ポリペクトミーされる大腸の早期癌の数がずいぶん増えてきました.

 特に大腸ポリペクトミーをした後のsm癌をどうするかについては,転移のリスクがあるから,すべて腸を切除するという考え方がある一方で,高齢者社会になって手術のリスクが高い人も増えてきましたので,なるべくなら手術をしないで済ませたいという願いがあるわけです.

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 〔患者〕57歳,女性.1981年より毎年の定期検診で胃X線検査を受けていたが,異常所見を指摘されたことはなかった.1988年10月4日,悪心,心窩部不快感を主訴に当科受診.胃X線検査で体部大彎側の伸展不良所見あり.胃内視鏡検査を施行し粘膜の異常所見を認めたが,生検ではGroup Ⅰ であった.スキルス胃癌を疑い精査目的の入院となった.腹部超音波,CT検査および血液検査に異常なし.

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要旨 患者は35歳,女性.主訴は発熱,下痢.1976年3月より潰瘍性大腸炎の診断で薬物療法を受けていた.1987年6月発熱,頻回の下痢にて入院.血沈の充進,CRP強陽性,α2-グロブリンの増加をみた.X線検査でS状結腸から下行結腸の一部に管腔の著明な狭小化を認め,第58病日のX線検査で狭窄部に瘻孔形成をみた.ED投与で瘻孔は閉鎖したが,狭窄は改善せず,下行結腸から上部直腸切除,下部直腸粘膜抜去,下行結腸肛門吻合術を施行した.切除標本では狭窄部に長さ3cmの縦走潰瘍を認め,その粘膜下に膿瘍を認めた.組織学的には口側は粘膜の萎縮,粘膜筋板の著明な肥厚,Paneth細胞の存在など潰瘍性大腸炎の所見があり,その他の部位や所属リンパ節には非乾酪性肉芽腫,膿瘍の中心部には裂溝を認めた.以上より本例は潰瘍性大腸炎の経過中にCrohn病が併発し,狭窄,瘻孔を形成したものと考えられた.

早期胃癌研究会

1991年6月の例会から 小林 絢三
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 1991年6月度の早期胃癌研究会は,6月19日,小林絢三(大阪市大内科)と木村健(自治医大消化器内科)の司会で開催された.

〔第1例〕60歳,女性.粘膜下腫瘍の上に存在する早期食道癌(ep癌)(症例提供:新潟大3内科 成澤).

初心者講座 胃X線検査のポイント―私の精密検査法

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 結論から述べると,隆起型胃癌の深達度診断は容易ではないと思う.佐野ら1)は,隆起型胃癌の深達度はその大きさに比例して深部浸潤の頻度は増加すると述べている.すなわち,Ⅱa型では,2cmまではすべてmで,5cm以上はすべてsmに浸潤していると述べている.ちなみに当科での隆起型胃癌142病変の大きさ別深達度をTable1に示す.確かに大きさが増すにつれて深達度は深くなる傾向にあるが,2cm以下の42病変中12病変(29%)はsm癌で,5cmを超えるm癌もあり,大きさのみから深達度を判断するのは難しい.また,佐野ら1)は隆起表面に癌性潰瘍を生じ白苔を有するものはsmまたはそれ以下に進行していると述べているが,これはⅡa+Ⅱc型で純粋な隆起型ではない.

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 1.深達度診断の意義

 胃癌の手術症例における臨床病理学的検討から,深達度はリンパ節転移や予後との間に相関関係があると証明されている.したがって,胃X線検査による深達度診断は,外科的切除,内視鏡的局所切除や化学療法などの治療方針の選択あるいはリンパ節郭清範囲の決定に重要な意義をもつと考えられる.現在,胃癌の深達度診断を行うための検査手段には従来から行われている胃X線検査や内視鏡検査のほかに超音波検査(体外式と内視鏡的),X線CTやMRIなどがある.これらの検査法には各々特徴がある.一般的に,X線や内視鏡検査は粘膜面の変化をみるものであり,胃癌における粘膜面や周囲の変化から深達度を推定することになる.したがって,比較的浅い早期癌の診断に優れている.これに対し,超音波やCT・MRI検査では胃壁と腫瘍との関係を断面像として見ることができるので,腫瘍による胃壁内部構造の変化や漿膜外浸潤像・リンパ節腫大・他臓器への浸潤像を直接描出できる利点がある.したがって,胃壁の外側まで浸潤した胃癌の深達度診断をX線のみで行う必要はないと言える.

 今回は臨床的に問題となるunder-diagnosisを避けるためのX線上の注意点について述べる.

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 深達度診断ほどやさしそうにみえて難しいものはない.Table11)は25~30年前の自験例であるが,中間型としたのが現在言われている早期癌類似進行癌に当たる.当時は発見されるBorrmann型の進行癌が多く,進行癌の中に占める早期癌類似進行癌の割合は23%で,それらをすべて早期癌と浅く診断したとしても,全体からみれば早期癌か進行癌かの的中率は86%となる.しかし,最近の自験例ではTable2のごとく早期癌類似進行癌の進行癌に対する割合は45%と2倍になっているが,早期癌の発見数が多くなっているため,早期癌類似進行癌をすべて早期癌と診断しても,進行と早期の深達度診断だけなら90%的中することになり,臨床的にそれほど大きな不便を感じずに過ごしてきた人も多いと思う.

 これらのことは石黒ら2)により,より詳細に分析されている.すなわち肉眼的にBorrmann型としたものの進行癌であった的中率は98%,早期癌としたものの早期癌であった的中率は94%と,共にほとんど間違うことがない.しかし,早期癌類似進行癌としたものの組織的に進行癌であった的中率は67%と非常に悪いが,それらは進行癌といっても深達の程度が軽く,むしろsm癌に近い予後を示している.

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欧文目次

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 今までにも手術体位を図示した教科書はあったが,患者の安全性を全面に押し出したものはなかった.数十年前には,手術が成功して病気が治りさえすれば少々の合併症が起こっても問題にされることは少なかった.医師は“これぐらいの不自由はもとの病気にくらべれば我慢できますよ”と言い,患者も命を助けてくれたのだからとあきらめた.肺や心臓の手術は文字どおり命がけであった.

 近年は,複雑な心臓手術でも手術死亡率が10%に満たない.胃癌も早期であれば医者も患者も心配した顔をしない.医療のレベルは確かに上がっている.これに伴って,従来はとがめられなかったような,麻酔や手術の合併症が浮かび上がってきた.

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 とう痛,腫脹,発熱,炎症などの随伴症状を有する疾患は多く,膠原病を含む慢性関節リウマチ,関節炎,代謝疾患,感染症,悪性腫瘍など,各科の広い領域にわたる.

 原因のいかんを問わず鎮痛消炎,下熱などに対して非ステロイド系鎮痛消炎剤,抗炎症剤の投与は臨床医にとって必要欠くことのできない薬剤である.近年,これらの薬剤の開発は目覚ましく,その種類も多く,剤型,作用機序,投与ルートにもそれぞれに特徴があり,したがって投与に際し薬剤の使い方,選び方が重要となる.非ステロイド系鎮痛消炎剤,抗炎症剤の使用についてはその使い方,選び方は一般的に安易に習慣的に使用されていることも否定はできない.もし薬剤の使い方,選び方につき簡単明瞭で理解しやすく,まとまった成書があれば実地医家,勤務医にとってどれほど役立つことかと平素から熱望されているのが現況である.

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 毎月第3水曜日に開かれている「早期胃癌研究会」の6月例会は19日,雨模様の天候にもかかわらず,用意された椅子が足りなくなるほどの聴衆を集めて今回も盛会裡に開催された.席上,いつもながらの熱気溢れる症例検討の合間を縫って,第16回村上記念「胃と腸」賞の贈呈式が行われた.

 当日研究会の司会を担当した木村健氏(自治医科大学消化器内科)から今回の受賞論文,「早期食道癌のX線学的深達度診断一m癌とsm癌の鑑別を中心に」(細井董三,他:胃と腸第25巻第9号1039頁)が発表された.木村氏はまた,受賞者の細井氏が17年前の自治医科大学消化器内科教室開設時の同僚であったこと,当時より氏のX線診断学の生み出すartとも言うべき「作品」に畏敬の念を抱いてきたことなどに触れ,奇しくも今回贈呈式の司会を担当することになった感慨を述べて細井氏紹介の言葉とした.続いて「胃と腸」編集委員会代表白壁彦夫氏(早期胃がん検診協会)から賞状と賞牌が,金原優医学書院社長から賞金が贈呈され,満場の拍手に包まれた.

編集後記 多田 正大
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 大腸癌の治療方針を論じるに当たって,臨床的に最も問題になるのはsm癌の取り扱いであろう.ポリペクトミーを行った後で追加切除が必要になるような失態はともかく,over surgeryはもっと困ったことである.そこでリンパ節転移の可能性のあるような病変の特徴的所見は何か,sm癌の症例が集積された今日になって,再度,特集を企画したわけである.各主題執筆者の意見はほぼ一致しており,8年前に本誌で行ったアンケート調査の結論が今でも正しいことが確認された.武藤らが苦労して集計した今回のアンケート結果は,現時点での大腸sm癌取り扱いの決定版として広く引用できる貴重なデータであるし,座談会でも識者達の豊富な経験に基づく,“sm癌のすべて”が収録されており,本誌編集委員の1人として,すばらしい内容の特集を組むことができたことを誇りに思っている.是非とも熟読していただきたい今月号である.

基本情報

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胃と腸
26巻8号 (1991年8月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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