胃と腸 26巻12号 (1991年12月)

今月の主題 集検発見胃癌の特徴

序説

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 X線による胃集検を意図したのは,黒川,入江,それに有賀の先生方の教室で,文献の示すところである.ところが,これも検査理論不在のまま始まったのであった.検査理論を考え,それに支えられ,胃集検の学会ができた経緯を知る証人は,当時の日大第3内科講師(現防衛医大名誉教授,東京トラック健康管理センター所長)高橋淳先生である.熱っぽく語り合ったものである.あれから,年月を経た.

 序説を書くに当たり,全く無関係な若い者は,間接胃集検をどう受け止めるだろうかと思った.時は人の心を変える.われわれは,一途に診断を求めてきたわけである.精査に専念するものあり,一方,早く集検に身を置くものもある.そこで,の思いからである.全く分別のない者だと困るので,天野穂高を指名して,しかじかの文献を中心にして考えてみてくれ,そして,君なりの感想をまとめてくれ,1週間たったら討論する,と言いつけた.卒後10年の外科医だから,いろいろな検査もこなすし,臨床経験も積んでいる.どんな話をもってくるかと待っていた.過大に評価しすぎることもなく,冷静にみてくれるかな,と思っていた.諸文献と,その内容をこなす臨床経験というものはありがたいものである.次のように,間接胃集検を捉えてきた.

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要旨 間接集検により発見された胃癌の特徴を明らかにする目的で,間接集検を受診し胃切除が行われた胃癌174例について早期胃癌を中心に検討した.間接集検以外の方法により発見された早期胃癌759例(非集検群)と比較すると,深達度,大きさ,組織型では差がみられなかったが,隆起型では隆起の高い病変が多くを占めた.また,体上部の病変が少なかった.間接集検により病変を指摘された早期胃癌69例(集検指摘群)は非集検群と比較すると長径が2cm以下の例が有意に少なかった.間接集検で指摘されなかった早期胃癌27例は陥凹型がほとんどを占め,2cm以下の病変が約半数を占めた.特に,2cm以下の病変では集検指摘群の陥凹型は皺襞集中を有する例が多くみられた.

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要旨 間接X線胃集検における偽陰性例(率)を分析し検討した結果,次のような結論となった.①間接X線の偽陰性率は経年的に高くなってきているが,その要因は受診者の固定化現象により早期癌の占める割合が多くなってきているためと考えた.①間接X線の進行癌偽陰性率を前期(1982年度)と後期(1987年度)で推計してみると,前期31.3%から後期24.2%へ減少しており,この結果は間接X線撮影法の改正による示現能が向上したためと推察した.①進行癌偽陰性例を調べてみると,癌型では早期類似型が多く,部位では小彎側に集中しており,特に幽門輪近傍と噴門部領域で多い傾向がみられた.①進行癌偽陰性例の中に発育の速いものがあり,癌の自然史,特に時間的因子も関与していると思われた.①進行癌偽陰性例の5年相対生存率は61.1%であり,集検初回群の5年相対生存率と比べて予後が良好であった.

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要旨 逐年検診群(以下逐年群)176例と,非逐年検診群(以下非逐年群)386例とを,発見癌の占拠部位・大きさ・肉眼型・深達度・組織型について比較した.早期癌率は,逐年群68%,非逐年群53%で,逐年群が有意に高率であった.進行癌に占めるpm癌の割合は,逐年群29%で非逐年群19%より高い傾向がみられた.肉眼型・部位では,Ⅱc類似進行癌が逐年群で多い傾向があり,逐年群でA領域後壁・C領域前壁の癌の割合が高かった.手術時4cm以上の進行癌のうち,前年間接無所見例は10例であった.組織型は10例中9例が未分化型で,部位ではC領域が5例と多かった.逐年検診でもC領域および未分化型で発育が速いものは進行癌で発見される可能性が高い.

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要旨 現状の胃集検において間接X線ではどのような癌を拾い上げ,またどのような癌を見落としているかについて,集団検診受診者の中から無作為に選び出した50歳以上の男女17,976人(以下地域集検群と呼ぶ)に対する細径パンエンドスコープでの診断をコントロールとして,間接X線の胃癌診断の精度について検討した.①細径パンエンドスコープでの診断を100%として,間接での進行癌の示現率は93%で,前壁と胃上部の早期癌類似型を除けば,ほぼ良好に描出されていた.①間接での早期癌全体の示現率は39%で,隆起型の示現率は46%,陥凹型は36%であった.部位では前壁と胃上部の病変,および2cm以下の病変の示現率が低かった.①細径パンエンドスコープによる地域集検群からの胃癌発見率は,50歳以上の男性で2.03%(早期癌1.43%),女性で1.05%(早期癌0.80%),胃集検全国集計の胃癌発見率は精検受診者受検率100%に補正して,男性で0.47%(早期癌0.23%),女性で0.15%(早期癌0.07%)で,間接X線で発見しえない癌,特に早期癌が地域集検群中にかなり存在していることになる.

今月の症例

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 〔患者〕 65歳,女性.現病歴:胸やけ,食後の心窩部痛を主訴に胃集団検診を受診.胃角のニッシェを指摘され,精査目的にて当センターを受診した.

  〔胃内視鏡所見〕 通常内視鏡像(Fig.1a)で胃角小彎寄りの前壁に辺縁隆起と白苔を伴った不整形の潰瘍性病変が認められる.この潰瘍性病変は形態と辺縁が不整なことから悪性が疑われるが,明らかに悪性を示唆する所見は乏しい.Fig.1bは病巣を口側から見下ろした色素内視鏡像である.潰瘍は前壁側で辺縁隆起が目立ち,口側小彎寄りに発赤帯を伴っておりⅢ+Ⅱc型早期癌を疑わせる像である.

Coffee Break

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 胃癌の早期診断が行われ,数多くの早期胃癌が発見されて,その治療法は手術のみでなく,縮小治療として内視鏡的切除がかなりの施設で行われるようになってきている.去る6月29日に第6回北海道消化器癌手術談話会(札幌)で,早期胃癌内視鏡的切除の評価について話した折に,早期胃癌が多く発見されているが,1施設で早期胃癌の手術例が1,000例を越えた施設は全国でどのくらいあるだろうか?と質問した.30人ほどの参加者からは即座に答えが出なかったので,5,8,10,12,15施設と具体的に数値を並べて意見を聞くと,いろいろと意見が出たので,参加者全員に意見を記載してもらった.ここまで読まれた読者の先生方は早期胃癌1,000例を越えた施設は何施設くらいあると思いますか?

学会印象記

第33回日本消化器病学会大会 今井 裕
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 第33回日本消化器病学会大会は,素晴らしい秋晴れのもと10月24日から26日の3日間にわたって,久留米大学第2内科教授谷川久一先生を会長に,久留米市内の11会場に分かれて,消化器病に携わる人々が全国から一堂に集まり盛大に行われた.本学会は,谷川会長の意向により945題もの一般演題はすべて展示発表で行われ,4題の特別講演と4題の招請教育講演,各5題ずつのシンポジウムとパネルディスカッション,9題のワークショップに十分な時間をさく新形式が採用された.連日,各会場は参加者で溢れ,活発な討議が行われた.

 第1日目の第1会場では,開会式のあとシンポジウム“C型肝炎ウイルス研究の進歩による肝臓病の変貌”にて幕を開けた.その他,3つのワークショップと2つの教育講演が行われた.また現在,脳死問題に関連して注目されている臓器移植についての特別講演“Transplantation in Hepatogastroenterology”が,ピッツバーグ大学教授岩月舜三郎先生により行われた.岩月先生は,既に肝移植についての講演を何度かされているが,今回は,最近手がけている腸管の移植における問題点など米国の医学事情をわかりやすく説明された.

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要旨 1967年1月より1988年12月までの高齢者剖検5,089例のうち無病変胃1,895例について,胃粘膜,胃壁動脈の肉眼および組織所見を検討し,その年次的推移を調べて以下の結論を得た.①胃粘膜の腸上皮化生は,1967年より1988年までの22年間に,男女とも漸減の傾向を示した.粘膜の萎縮性変化は女性においては漸減傾向を示したが,男性では有意差はなかった.①胃壁動脈硬化症は,加齢と共に増強するが,幽門腺領域では軽度で,胃底腺領域では高度であった.年次的には,調査した1979年から1988年までの期間では一定の傾向はみられなかった.①わが国の食事内容の欧米化が腸上皮化生の減少傾向と関連があると推定された.

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要旨 患者は45歳,女性.主訴は上腹部痛.入院時理学的および血液・生化学検査では特に異常を認めなかった.上部消化管X線検査では十二指腸球部前壁から小彎にかけて結節状で境界明瞭な扁平隆起を認めた.内視鏡検査では,一部に粗大結節を伴う大小不同の隆起で,表面に発赤を伴い,生検にてGroup Ⅴと診断された.切除標本では,大きさ1.9×1.4cmで組織学的には深達度mの高分化型腺癌であった.癌巣周囲には組織学的に幽門腺化生などは認められず,また癌細胞の分化形質を粘液組織染色〔paradoxical concanavalin A(Con A)染色,galactose oxidase-Schiff(GOS)染色,sialidase-GOS(S-GOS)染色〕およびペプシノーゲン(PgⅠ, Ⅱ)免疫組織染色を用い検討した結果,本症例はBrunner腺より発生した十二指腸癌と考えられた.

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要旨 患者は74歳,男性.嚥下困難を主訴として来院.食道X線検査,内視鏡検査で巨大皺襞様所見を認めた.表面は平滑で,発赤,びらんや潰瘍は認めなかった.胸部CTではImからEaにわたる壁肥厚を認めたが,縦隔リンパ節の腫大は認めなかった.末梢血,胸部X線,Gaシンチ,腹部CT検査では異常を認めなかった.嚥下障害進行のため食道亜全摘を行った,切除標本ではImよりEaまでほぼ全周を侵す11.5×6.5cm大の境界鋭利な紡錘状の腫瘤を認めた.病理診断はLSG分類でdiffuse,small cell typeのnon-Hodgkin リンパ腫,B-cell(IgG, kappa)typeであった.

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要旨 患者は30歳,女性.主訴は貧血と腹痛である.小腸X線検査では,充盈像で下部小腸に多発する辺縁硬化像,口側の軽度拡張をみる狭窄像,偽憩室形成を認めた.低緊張性十二指腸造影上,十二指腸第2部に狭窄と粘膜集中像を,同部の内視鏡で,輪状の浅い活動性潰瘍を認めた.以上より十二指腸病変を伴う非特異性多発性小腸潰瘍症と診断し,狭窄高度でイレウス症状があるため病変部小腸47cmを切除した.切除標本においても術前検査と一致する所見がみられた.本疾患では,術前に十二指腸病変の存在を指摘した報告はなく,小腸以外の腸管病変の存在も念頭におく必要があると思われた.

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要旨 患者は70歳,女性.61歳時に腸結核の治療歴あり.主訴は腹痛と下血.大腸X線,内視鏡検査にて右半結腸は短縮し,炎症性ポリープ,mucosal bridge,瘢痕帯の所見と共に,上行結腸に大きさ7×7cmの平坦な隆起性病変を認め,その表面は顆粒状で一部は大小不揃いな結節状を呈していた.病理学的には,横行結腸から回腸終末部まで粘膜の萎縮,粘膜下層の線維化と炎症性ポリープを認め,上行結腸の平坦な隆起性病変は,表面が顆粒状を呈した部位は腺管絨毛腺腫であったが,結節状を呈した部位は高度異型腺腫と深達度mの高分化型腺癌であった.以上より,腸結核病巣内に発生した絨毛腺腫内癌と診断した.なおS状結腸にもIs型の深達度mの高分化型腺癌を認めたが,周囲粘膜は正常であった.

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要旨 2年間のX線検査で急速に増大し,しかも中心陥凹を呈することなく,腫瘍成分が粘膜欠損部より突出した形態をとった胃平滑筋肉腫症例を報告した.病理組織学的に腫瘍細胞の分裂像が多数観察され,また胃壁内の静脈内に多数の腫瘍塞栓を認めた.組織学的に観察されたこの腫瘍細胞の著しい増殖進展過程が特殊な形態をとった理由と考えられた.

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要旨 患者は62歳,男性.主訴は上腹部不快感.内視鏡検査にて前庭部大彎に中心部に不整形潰瘍を伴う隆起性病変を認め,Borrmann2型胃癌が強く疑われた.また,体中下部の後壁には発赤が多数存在した.しかし,生検所見では悪性所見は認めず,異型性を伴わないRussel小体を内包する形質細胞の著明な浸潤を主体とする病変であり,体部の発赤部にも同様の所見を認めた.経過観察の結果,隆起性病変は消失し,生検所見でも形質細胞は減少し,通常見られる炎症所見のみとなった.胃形質細胞肉芽腫と考えられる胃病変の完全消失を確認した1症例を報告した.

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要旨 患者は52歳,男性.心窩部痛,左側背部痛を主訴に来院.他院にて胃体上部大彎の潰瘍性病変に対するH2受容体拮抗剤を含む抗潰瘍剤の治療を受けたが改善がみられず,体重減少も4か月で14kgに達したため当院受診,内視鏡的に潰瘍底は巨大な洞窟状の深掘れ潰瘍を認め,周囲の粘膜ひだは著明に腫大していた.CTスキャンにて潰瘍底はほぼ脾臓に達していた.切除標本では胃体上部大彎後壁寄りに深掘れ潰瘍と浮腫状の粘膜ひだが,あたかも腫瘤状に盛り上がってみられ,割面では潰瘍底部で胃壁は完全に断裂し,深く脾臓に穿通していた.周囲は脾臓により挙上された状態で,潰瘍辺縁の粘膜下には著明な浮腫,線維化がみられた.

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要旨 患者は73歳,女性.16年前に胃ポリープで胃広範囲切除を受け,Billroth I法で再建されていた.7か月前より胃部不快感があり来院した.内視鏡検査にて残胃大彎側に境界明瞭な黄白色調を呈する扁平隆起性病変を認めた.肉眼的形態はキサントーマに類似していたが,中心部表面は不整な凹凸と発赤を伴っており,Ⅱa型早期癌と診断した.切除標本では2.6×1.8cmのⅡa型早期癌で,深達度mの管状腺癌であったが,粘膜の癌病巣の範囲に一致して粘膜固有層には多数の泡沫細胞を認め,キサントーマ細胞であった.癌とキサントーマの関係は明らかではないが,黄白色を呈した内視鏡所見と共に特異な組織学的所見が認められた.

初心者講座 胃X線検査のポイント―私の精密検査法

11.進行癌 加来 幸生
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 進行癌の術前精査の目的は,正確な肉眼所見を求めること以外に,術式の選択に直結する,癌の進展範囲の診断,深達度診断,多発病変のチェックなどが考えられる.多発病変のチェックに関しては,精密検査時は胃のコンディションを最高の撮影条件にもっていくわけであるから,たとえ術前内視鏡検査で併存病変がないとされたとしても,もう1度,X線的に検索するべきであるし,そのためには1例ごとに適した撮影手順を組み立てる必要があると考える.実際に内視鏡の見逃し病変も少なくないのである.

 ここでは,対象を進行癌とことわっているので,癌の進展範囲の診断を中心に以下のことに重点をおいて述べる.①粘膜面の進展,特に口側進展について.進行癌に随伴するⅡa,Ⅱc,Ⅱbのチェック.EGJから癌までの距離.①粘膜下層以下の進展の診断,特にスキルス例について.①食道浸潤のX線撮影法について.撮影の体位,時期,タイミング.どういう所見に注意するべきか,などである.

11.進行癌 中野 浩
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 胃癌の診断が内視鏡優先で行われるようになった今日,進行胃癌の診断におけるX線診断の有利さが,ともすれば忘れられがちとなっている.そこで,今回は初心者講座ということもあり,あえてX線診断が最も得意とする幽門狭窄を来す進行胃癌と幽門側のスキルスのX線診断について症例を挙げて述べる.

 〔症例1〕 47歳,女性.主訴は心窩部痛.はじめに内視鏡検査が行われ,幽門輪上に深い辺縁の鋭利な潰瘍を認めた.潰瘍辺縁は下掘れし,Ⅱcのはみ出しはなかった.この部よりの生検標本には癌細胞は認められなかった.背臥位の二重造影法(Fig. 1)では,空気少量でかなり第1斜位に捻った像でも,幽門輪上にバリウムの溜まりが見られるだけで良・悪性の鑑別診断はつかなかった.腹臥位で十分バリウムを流し幽門部を布団で圧迫した像(Fig. 2)で初めて,幽門輪上の潰瘍の形が不整形で,その辺縁も鋸歯状で癌の診断がついた.

11.進行癌 牛尾 恭輔
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 早期胃癌のX線診断は,背の低い隆起や浅い陥凹といった粘膜面の異常を主体に描出して読影することに,力点がおかれている.また,粘膜下腫瘍では潰瘍などを形成しないかぎり,粘膜面の変化は少なく,通常は病変の境界が不明瞭ななだらかな隆起として描出され,しばしばbridging foldを伴う.ところで進行胃癌のX線診断には,病変の中心部のみならず辺縁部の診断が,重要である.特に後者は治療法の選択や手術の際の切除範囲の決定に,直接かかわる.これは浸潤型の進行胃癌(Borrmann 3, 4型)で,より重要となる.このBorrmann 3型や4型の胃癌における浸潤範囲の推定には,早期胃癌と粘膜下腫瘍の診断学が必要となる.すなわち,病変の辺縁部には表面型の早期胃癌(Ⅱc, Ⅱa, Ⅱb)と粘膜下腫瘍の診断学が要求される.なぜならば,進行癌の辺縁部には,粘膜面でしばしば早期癌の所見がみられる.また,粘膜下に癌が浸潤してsubmucosal tumorの所見を呈することが多く,これらは病変の浸潤範囲と近接臓器への浸潤の診断に直結するからである.以下,項目別に述べる.

早期胃癌研究会

1991年10月の例会から 西俣 寛人 , 伊藤 誠
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 1991年10月度の早期胃癌研究会は,10月16日,エーザイ本社ホールにおいて,西俣寛人(鹿児島大2内),伊藤誠(名市大1内)の司会のもと,活発な討議が行われた.

 〔第1例〕 65歳,男性.0-Ⅱc型食道表在癌(mm癌)(症例提供:国立東静病院外科 尾関).

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欧文目次

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 日常診療で精神疾患に遭遇する機会が増えているが,一般医は対応に不慣れなこともあって,敬遠したりとまどうことが少なくない.この点を痛感していた私たちは「今日の外来診療」(医学書院1989年)で,浜田先生にアプローチの要点を執筆していただいた.これをもとに加筆し,1冊にまとめられたのが本書である.

 コンパクトながら豊富な症例を交え,とりあえずどうするか,診断・治療上留意すべき点が具体的に示されている.患者とのスタンス,精神科医との連携のとり方(紹介状・電話),一般医の陥りやすい落とし穴など多くのアドバイスも盛り込まれている.

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 植村研一教授著「うまい英語で医学論文を書くコツ」を読んだ.いつもの氏の軽妙な語り口で,一気に読ませられた感じである.氏の40年以上にわたる英語歴の重みが各頁に満ちている.

 うまい英語,気持ちのいい英文comfortable Englishの条件として,論点が簡潔かつ明快に述べられていることが重要である.氏の英文誌編集や英文校正の長年の経験をもとに,米英人に通じる英文の特徴や内容が,詳細に述べられている.

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 Anaphylaxis associated with latex allergy during barium enema examinations: Ownby DR, et al(AJR 156: 903-908, 1991)

 1989年1月から90年5月までの期間に著者らの病院(Detroit)で6名の患者にバリウム注腸検査中にアナフィラキシーが発生した.第1例は49歳の女性で,アトピー皮膚炎,喘息,アレルギー性鼻炎などのアレルギー体質者であるが,ゴム製品過敏の既往はない.カフ付きのカテーテルを挿入しバリウムの注入を開始5分後から,かゆみ,胸部圧迫感,全身紅斑,呼吸困難が生じ,救急蘇生処置にも反応せず死亡した.他の5名は25歳から78歳のいずれも女性で,ともにアトピー皮膚炎,喘息,Crohn病などアレルギー体質のものである.主な症状は血圧低下で,浮腫や蕁麻疹を伴ったが大事には至らなかった.

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 専門課程も3年目に入り,患者さんと直に接して学ぶ機会が間近に迫ってきました.授業は受けてきたものの,いざ病棟へ行き患者さんに接するとなると,医学生としてどのように行動すればいいのか見当がつかず戸惑っていました.

 そのようなときに出会ったのが,この「臨床入門一臨床実習の手引き」です.この本には,臨床医学に触れるに当たっての心構え,そして病歴のとり方,診察のし方,診察所見における異常と正常の判断,また臨床検査の基本的知識とその進め方,診療記録のとり方,治療の決定,と患者さんに接した際に必ずしなければならない事柄が,順を追ってコンパクトにまとめられています.“病歴のとり方”では,患者さんと対話する際の,具体的な尋ね方や答え方,対話の進め方を,“診察のし方”では,診察室で患者さんと向き合ったとき,横に先生に付き添っていただいて,手取り足取り教えていただいている,と言っていいほど,丁寧に書いてあります.また“病歴は一度とったら二度と吟味しないというのではなく,病歴に基づいて診察所見を,診察所見に基づいて病歴を吟味し,また補う.”とか“診察では,いきなり聴診器を使うのではなく,患者さんと語らいながら皮膚の観察をする,といった視診から始める.”というように,医師には当たり前であっても,学生には不慣れであることがいろいろと指摘してあります.

編集後記 吉田 茂昭
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 集団検診の目的は,健常者の集団を対象とした早期診断によって癌死亡率を低下させ,生存率の向上を図ることにある.したがって,集検レベルにおいては,死なない段階で癌が発見できればよいことになる.今回の特集は,胃集検の第一線施設の現況からみて,成熟段階における間接X線集検ではどのような病変が発見され,どのような病変が見逃されやすいかを明らかにすることで,今後の集検を展望できればと思い企画した.各論文の成績には共通な部分も多く,間接X線による集検発見癌の特徴がうかがわれた.すなわち,進行胃癌についてはほぼ満足できる発見率であるが,早期胃癌,殊に未分化型ではかなり不良であること,C領域の診断に問題のあること,近年の診断精度の向上は明らかであるが,逐年検診がなお必要であることなどである.

 今回の特集で,志賀論文はB方式(内視鏡集検)を対照とした場合の間接X線撮影における診断精度の実態と問題点を明らかにしているが,早期胃癌に対する診断精度は内視鏡集検に比して極めて不良であり,このことは今後の集検の在り方を問ううえで,大きな問題を投げかけているように思われる.集検の目的が死なない癌の発見であるならば,診断精度を微小胃癌レベルに求めることは酷であろうし,またコストとの折り合いも常に問題となる.間接X線集検の診断精度の向上がどの程度まで可能であるか,集検発見胃癌の特徴,集検発見不能癌の特徴などから,もう一度考えてみる必要がありそうである.

基本情報

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胃と腸
26巻12号 (1991年12月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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