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初心者講座 胃X線検査のポイント―私の精密検査法
11.進行癌
Detailed Radiological Examination of the Stomach (11)
中野 浩
1
Hiroshi Nakano
1
1藤田保健衛生大学内科
pp.1442-1443
発行日 1991年12月25日
Published Date 1991/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102731
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- Abstract 文献概要
胃癌の診断が内視鏡優先で行われるようになった今日,進行胃癌の診断におけるX線診断の有利さが,ともすれば忘れられがちとなっている.そこで,今回は初心者講座ということもあり,あえてX線診断が最も得意とする幽門狭窄を来す進行胃癌と幽門側のスキルスのX線診断について症例を挙げて述べる.
〔症例1〕47歳,女性.主訴は心窩部痛.はじめに内視鏡検査が行われ,幽門輪上に深い辺縁の鋭利な潰瘍を認めた.潰瘍辺縁は下掘れし,Ⅱcのはみ出しはなかった.この部よりの生検標本には癌細胞は認められなかった.背臥位の二重造影法(Fig. 1)では,空気少量でかなり第1斜位に捻った像でも,幽門輪上にバリウムの溜まりが見られるだけで良・悪性の鑑別診断はつかなかった.腹臥位で十分バリウムを流し幽門部を布団で圧迫した像(Fig. 2)で初めて,幽門輪上の潰瘍の形が不整形で,その辺縁も鋸歯状で癌の診断がついた.
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