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書評「臨床入門―臨床実習の手引き」
大歳 えり子
1
1大阪医科大学
pp.1438
発行日 1991年12月25日
Published Date 1991/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102729
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専門課程も3年目に入り,患者さんと直に接して学ぶ機会が間近に迫ってきました.授業は受けてきたものの,いざ病棟へ行き患者さんに接するとなると,医学生としてどのように行動すればいいのか見当がつかず戸惑っていました.
そのようなときに出会ったのが,この「臨床入門一臨床実習の手引き」です.この本には,臨床医学に触れるに当たっての心構え,そして病歴のとり方,診察のし方,診察所見における異常と正常の判断,また臨床検査の基本的知識とその進め方,診療記録のとり方,治療の決定,と患者さんに接した際に必ずしなければならない事柄が,順を追ってコンパクトにまとめられています.“病歴のとり方”では,患者さんと対話する際の,具体的な尋ね方や答え方,対話の進め方を,“診察のし方”では,診察室で患者さんと向き合ったとき,横に先生に付き添っていただいて,手取り足取り教えていただいている,と言っていいほど,丁寧に書いてあります.また“病歴は一度とったら二度と吟味しないというのではなく,病歴に基づいて診察所見を,診察所見に基づいて病歴を吟味し,また補う.”とか“診察では,いきなり聴診器を使うのではなく,患者さんと語らいながら皮膚の観察をする,といった視診から始める.”というように,医師には当たり前であっても,学生には不慣れであることがいろいろと指摘してあります.
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