Japanese
English
初心者講座 胃X線検査のポイント―私の精密検査法
11.進行癌
Detailed Radiological Examination of the Stomach (11)
牛尾 恭輔
1
Kyosuke Ushio
1
1国立がんセンター放射線診断部
pp.1444-1445
発行日 1991年12月25日
Published Date 1991/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102732
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
早期胃癌のX線診断は,背の低い隆起や浅い陥凹といった粘膜面の異常を主体に描出して読影することに,力点がおかれている.また,粘膜下腫瘍では潰瘍などを形成しないかぎり,粘膜面の変化は少なく,通常は病変の境界が不明瞭ななだらかな隆起として描出され,しばしばbridging foldを伴う.ところで進行胃癌のX線診断には,病変の中心部のみならず辺縁部の診断が,重要である.特に後者は治療法の選択や手術の際の切除範囲の決定に,直接かかわる.これは浸潤型の進行胃癌(Borrmann 3,4型)で,より重要となる.このBorrmann 3型や4型の胃癌における浸潤範囲の推定には,早期胃癌と粘膜下腫瘍の診断学が必要となる.すなわち,病変の辺縁部には表面型の早期胃癌(Ⅱc,Ⅱa,Ⅱb)と粘膜下腫瘍の診断学が要求される.なぜならば,進行癌の辺縁部には,粘膜面でしばしば早期癌の所見がみられる.また,粘膜下に癌が浸潤してsubmucosal tumorの所見を呈することが多く,これらは病変の浸潤範囲と近接臓器への浸潤の診断に直結するからである.以下,項目別に述べる.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.