要旨:関節リウマチ(RA)患者に対するtreat to target(T2T)アプローチでは治療の主目標は寛解であるが,長期罹病患者では低疾患活動性が代替目標とされている。特に合併症を有する患者や,副作用発現例,関節破壊が既に進行している患者,経済的問題のある患者では治療ゴールを下げざるをえないのが実情である。T2Tでは関節破壊,身体機能障害を防止するために疾患活動性の制御,つまり炎症を抑制することに焦点があてられてきた。一方で,RA患者は,疾患のコントロールや,T2Tに沿った治療,治療薬の減量よりも,疼痛・疲労,関節腫脹の改善,健康関連QOLをより重要視しているということもわかってきている。T2Tにおいて,疼痛,機能障害,関節破壊の程度に加え,治療の評価としてのpatient reported outcome(PRO)を重視しながら非薬物治療を組み入れ,外科的治療を適宜組み入れていく戦略の実践が求められる。