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特集 薬物療法が奏効する整形外科疾患
FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
FGF23-related hypophosphatemic rickets/osteomalacia
星野 良朋
1
,
伊東 伸朗
1
Yoshitomo HOSHINO
1
1東京大学医学部附属病院,腎臓・内分泌内科
キーワード:
FGF23
,
X-linked hypophosphatemia
,
Tumor-induced osteomalacia
Keyword:
FGF23
,
X-linked hypophosphatemia
,
Tumor-induced osteomalacia
pp.387-394
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002932
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要旨:線維芽細胞増殖因子(FGF)23関連低リン血症性くる病・骨軟化症は,FGF23の作用過剰により慢性低リン血症を生じ,小児ではくる病,成人では骨軟化症を惹起する疾患である。先天性のX連鎖性低リン血症(XLH)と後天性の腫瘍性骨軟化症(TIO)の頻度が高い。XLHでは完全ヒト型抗FGF23モノクローナル抗体であるブロスマブの使用により,血清リン濃度を従来療法(活性型ビタミンD製剤と経口リン製剤)よりも効率的に改善するとともに偽骨折や骨折の高い治癒,予防効果が期待できるが,異所性骨化症の改善は見込めない。TIOではFDG-PET/CTや全身静脈FGF23サンプリングなどで原因腫瘍の局在診断がなされれば,拡大切除術により治癒が期待できる。TIO以外の後天性FGF23関連低リン血症の鑑別疾患として,静注鉄剤やアルコール多飲によるFGF23関連低リン血症性骨軟化症,神経線維腫症1型,悪性腫瘍に伴う異所性FGF23症候群がある。TIOは偽骨折による疼痛や骨折,骨密度低下などで整形外科を初診するが,他の整形外科疾患や自己免疫性疾患などと誤診されやすいため,本疾患を鑑別に挙げることが重要である。
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