臨床婦人科産科 52巻6号 (1998年6月)

今月の臨床 卵管性不妊症への対応

原因

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女性性器におけるクラミジア・トラコマティス感染症

 1970年代後期にクラミジア・トラコマティスが非淋菌性子宮頸管炎の起炎菌として確認されたころには,この他にも女性に対して多様な病態を誘発することはとうてい考えられてはいなかった.とりわけ卵管の器質的,機能的障害の原因となることは予想外のことであった.その後の検出法の進歩により,多数の検出結果が報告され注目されてきた.

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 子宮内膜症とは異所性に子宮内膜腺様組織が存在する病態である.子宮内膜症はその発生する部位によって多彩な臨床症状を呈するが,その代表的なものが月経痛,排便時痛,性交痛などの疼痛である.これら以外にも多くの症例で妊孕性の低下が認められる.

 子宮内膜症性不妊の原因として種々の説が提唱されている.骨盤内臓器の解剖学的位置異常,活性マクロファージによる生殖細胞障害,プロスタグランディンや関連物質による卵巣あるいは子宮内膜機能の低下,卵捕獲抑制因子(ovum captureinhibitor:OCI)による卵管采の卵捕獲能の低下,などがその主たるものである.これらはいずれも説得力のある説であり,子宮内膜症性不妊はこれらの因子が単独あるいは複合して形成されていると考えられる.

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子宮筋腫による卵管狭窄は起こりうるのであろうか?もしも起こり得るならばそれは不妊症の原因になるのであろうか?そのような子宮筋腫合併不妊症の治療の方法はどうしたらよいのであろうか?

 まず,卵管狭窄による不妊症の定義について考えてみよう.一般的に卵管に完全な通過障害が起きている場合には,卵管狭窄ではなく卵管閉塞という用語が使用される.したがって,卵管狭窄による不妊症とは卵管の通過障害は起きていないが卵管が狭くなっているために卵管の機能障害を来たし,その結果,妊孕性が妨げられているものと定義できる.

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 近年,高感度妊娠反応試薬および経腟超音波断層法の普及により子宮外妊娠の早期発見が可能になった.一方,腹腔鏡の発達に伴い,子宮外妊娠においても腹腔鏡下の診断や治療がなされるようになり,それに伴い妊孕性を保つために卵管の摘出を行うことなく卵管を温存する治療法が普及しつつある.しかし,卵管を温存した場合,術後卵管閉塞,反復子宮外妊娠,存続外妊症(persistentectopic pregnancy)などの問題点もクローズアップされるようになった.ここでは代表的な卵管保存療法の適応,手技を概説し,外科的保存療法を中心にそれらの問題点について述べる.

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 近年,人工妊娠中絶は全年齢では徐々に減少してきている1)が,当院で1996(平成8)年11月から1997(平成9)年10月までの1年間で分娩した1,927例でみると,25.1%(484例)と高率に人工妊娠中絶の既往を持っていた.しかも,将来母親となる25歳未満の若年層の人工妊娠中絶総数は,全国的には横ばいからやや増加している1)

 人工妊娠中絶の次回妊娠に対する影響については,子宮因子すなわちAsherman症候群を起こし着床障害を起こす2)ことは知られているが,卵管への影響を調べた研究はほとんどない.

診断

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 不妊治療を進めるには,その原因と障害部位を的確に診断し,治療を開始することが重要である.卵管因子は女性不妊症の原因の25〜50%を占める最大の要因とされ,治療方針決定のためにも卵管機能の的確な評価が必要である.

 子宮卵管造影法(hysterosalpingography,以下,HSG)は,非常に長い歴史のある子宮卵管の器質的検査法であり,不妊症のスクリーニング検査として卵管疎通性の他に子宮卵管の内腔の形態,骨盤内癒着の有無も合わせて評価し得ること,また診断的意義のみならず治療的意義も有している1)ことから一般的に広く用いられている.しかしながら近年,腹腔鏡検査や開腹所見との比較においてHSGの卵管通過性,卵管周囲癒着の正診率が検討され,HSGによる診断には限界があることが明らかとなった.

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 超音波診断法の分解能の向上,経腟プローブの開発に伴い,不妊診療における卵管疎通性の評価への超音波下卵管疎通性検査の応用が試みられてきた1-4)

 超音波卵管疎通性検査は当初,経腹超音波を用い生理食塩水1-2)を注入する方法がとられていたが,その解像力はけっして優れたものではなかった.その後,経腟超音波の開発とともに,腹腔鏡下通色素法を標準としてaccuracy 95%とall ornoneで疎通性の有無を検討するうえでは比較的よい成績が得られた3).しかし,卵管の走行や卵管内を通過する注入液の像を捉えることは通常困難であった.超音波検査用造影剤の開発は試みられているものの,その安全性の問題からいまだに臨床応用はなされていない.X線被曝やヨード造影剤を使用する必要のない超音波卵管疎通性検査は診断的価値,治療的意義がhysterosalpingogra—phy(HSG)と同等にはなり得ないとしても,その改良,発展が期待される検査法である.

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 卵管は主に胚偶子に対して受精の場を提供し,妊娠における第一歩を始めるために重要な役割を担っている.個々の卵管の機能としては,卵の捕獲,受精,卵分割の場の提供,精子の移送,capacitationの促進,受精卵の子宮への移送などが挙げられる.したがって,これら卵管の役割が障害されるということは,自然妊娠の困難さに直結していることが容易に理解される.実際に,不妊症において卵管因子は30〜40%を占めると言われており1,2),不妊症最大の原因として最も頻度が高いと考えられている。

 これら卵管の器質的異常の有無を検討し,疎通性および受精の場としての機能に支障がないかどうかを正しく評価することは不妊症治療を行うための前提として不可欠である.そのため従来より種々の検査法が考案されており,さらに今もなお工夫が続けられている3-7).そのなかでも卵管の疎通性の有無と部位と状態を明確にできる子宮卵管造影法(以下,HSG)と,卵管そのものを周囲との状況と併せて直接観察の可能な腹腔鏡検査は卵管を内外から評価し得るいわば車の両輪のようなものであり,多くの施設が双方を卵管機能検査法の主軸として採用している.

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 女性の不妊原因のなかで卵管因子は最も大きな割合を占めている.卵管は妊娠に至る過程のなかで,卵子の捕獲,受精の場の提供,受精卵の培養,受精卵の子宮への輸送と非常に複雑な機能を果たしているために,その障害は不妊の原因となりやすい.非観血的に卵管の疎通性を確認する検査としては,子宮卵管造影法(hysterosalpingogra—phy:HSG)と通気または通水検査が古くから汎用されてきた.とくに子宮卵管造影法は,形態的に左右の卵管内腔の状態が観察できることから卵管疎通性検査のなかでは最も有用であると考えられてきた.しかし近年,卵管通過性の有無についてのHSGの限界が指摘されるようになってきている.HSGで両側の卵管に通過性がないと判断された症例においても,妊娠することがあるということは臨床的に昔から知られていた.

 したがって,より厳密に卵管の通過性を確認しようといくつかの方法が試みられてきた.頸管的に卵管内にチューブを差し込み選択的に造影剤を注入しようとする方法がその一つである1).また近年子宮鏡が発達し,外来で非常に簡易に行えるようになってきた.子宮鏡は子宮の内腔の病変を観察するように考案された医療機器であるが,子宮鏡下に卵管へ細径のチューブを挿入することも簡単に行えるようになった2).その結果,片側の卵管通過性や両側の卵管通過性がないと考えられた症例には偽陽性が多いという報告がみられるようになってきた3,4)

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 卵管性不妊の検査法としては,子宮卵管造影,選択的卵管造影,超音波カラードプラ下通水法など,種々の方法がある.いずれの検査法も器質的病変の有無の検索が中心であり,卵管機能については不明なまま正確には評価しえないのが現状である.卵管には,配偶子・初期胚の移走や初期胚発育の場としての機能があり,不妊原因の究明および治療には卵管機能の正確な評価が重要である.卵管機能に対しては,卵管鏡による評価が最も理想的であるが,解像度や技術的な点から一般的にはなっていない.一方,超音波内視鏡は技術的にみて比較的容易であり,汎用されてもよい診断法と考えられる.

 超音波内視鏡は,主として消化管病変の診断に用いられ,悪性病変の浸潤度の判定に有用であると報告されているほか1,2),最近では泌尿器科領域において尿管機能の評価にも用いられている3).産婦人科領域では,おもに子宮鏡手術時の監視装置としての報告がされてきた4).本稿では,超音波内視鏡による卵管内腔評価法の可能性について述べる.

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 卵管性不妊を取り巻く生殖医学は,この20年間に長足の進歩を遂げた.1976年Swollinによって初めて試みられたマイクロサージェリーによる卵管形成術,1978年Steptoe,Edwardsによって初めて成功した体外受精による胚移植,低侵襲手術である腹腔鏡下卵管形成術などさまざまな治療法が登場し全世界に普及してきた.しかし,これらの治療法の選択の基準は,施設によって異なる.とくに間質部卵管閉塞の多くは,体外受精による胚移植の適応となっているのが現状である.マイクロサージェリーによる卵管形成術が敬遠される理由には,体外受精による胚移植が非常に普及したこと,間質部卵管閉塞の治療法である子宮卵管移植術(卵管角吻合術1),子宮卵管吻合術2)など)の成績が期待していたほどよくないこと,子宮外妊娠の発生頻度が比較的に高いこと,手術手技が困難であることなどが挙げられる.しかし体外受精による胚移植の成績も頭打ちとなった今日,卵管形成術も改めて見直されてきている.その理由には,腹腔鏡下卵管形成術や卵管カテテリゼーション3)などの低侵襲手術療法の登場がある.もちろん妊娠の成立機序が自然であり,繰り返し妊娠が可能である利点もある.

 ここでは,間質部卵管閉塞に対して施行する治療法ならびに子宮卵管吻合術を容易かつ確実に行えるように,CUSA(ultrasonic surgical aspira—tion)を用いて行う方法などを紹介する.

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 卵管性不妊と診断された挙児希望のカップルは,以前では開腹手術による卵管形成術(癒着剥離術,開口術,端々吻合術など)を受ける以外に妊娠の望みがなかった.しかしこの15年間はIVF-ETを含むART(生殖補助技術)による妊娠の可能性が確立され,観血的な再建術は必要がなくなるのではないかという希望的観測もなされてきた.

 ところがARTによる妊娠成績は安定しつつも一定の限界を迎えた現在1),ART以外の方法による自然妊娠を目指す従来までの卵管形成術が再び見直されようとしている.その妊娠率の高さ,反復妊娠の可能性,自然な妊娠を得ることのできる卵管形成術はARTを含めた不妊治療の一つの強力なoptionとして今も重要な位置を占めていると考える.

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 卵管障害は不妊症の原因の約30%を占めており,卵管形成術は不妊治療の最も重要な柱のひとつである.近年,体外受精—胚移植(IVF-ET)は技術の進歩に伴って成績が向上し,その1回当たりの妊娠成功率は約20%に達している.しかし,IVF-ETは初回妊娠に成功しただけでは,多くの不妊婦人が希望する第二子,第三子の誕生には結びつかない.

 近年の医療用レーザーの応用と腹腔鏡の技術革新は,卵管形成術の有用性をますます高めていると言える.本稿では,卵管障害のうち,主として卵管周囲癒着に対する顕微鏡下卵管形成術の有用性について,最近のデータをまとめた.

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 レーザー光はMaiman(1960年)により初めて発振されて以来,約40年が経過した.その応用範囲は広く,今や自然科学の分野を始めさまざまな領域にわたって利用されている.そのなかでとくに医学への応用は,外科系のみならず内科系においても診断,治療に応用されており,欠くことのできない医療装置として認識されている.産婦人科領域でのレーザー光の応用は,Kaplan(1973年)が子宮腟部びらんの治療に炭酸ガスレーザーを応用したのに始まり,以後その適応は徐々に拡大され,小型ビデオカメラなどの映像装置の発達とともに内視鏡下レーザー手術が広く行われるようになった.筆者らも以前より不妊症患者に対して積極的に腹腔鏡下レーザー手術を行ってきた1)

 一般的に不妊症の原因として卵管因子の占める頻度は,他の因子と比較して最も多く,近年の性行為感染症,骨盤内感染症などの増加にともない,卵管因子の頻度は年々増加傾向にある.一方,腹腔鏡周辺機器の発達にともない,腹腔鏡下手術の適応範囲が広がり,現在では不妊症患者における卵管形成術もその適応と考えられるようになってきた.本稿では,筆者らの行っている卵管性不妊症に対する腹腔鏡下レーザー手術について解説し,合わせてその症例と成績を紹介する.

5.腹腔鏡下大量通水療法 関 守利
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 卵管不妊症の治療法の選択のために,卵管通過性の検査として,子宮卵管造影,通気通水検査などによる卵管の疎通性の確認とともに,腹腔鏡を施行すれば卵管周囲の癒着などの器質的異常の有無は検索できる.現在,卵管性不妊に対する治療法の選択が多岐にわたり,ただ単に卵管の通過性があるかいなかの診断では不十分になってきている.腹腔鏡下大量通水療法はそれ自体の治療法としての意義の他に,手術療法や体外受精—胚移植,GIFT(gamete intrafallopian transfer),PROST(pronuclear stage intubal transfer),TEST(tubal embryo stage transfer)などのART(assissted reproductive technology)による治療の決定や,子宮外妊娠発生の危険性をもある程度予測できるような卵管機能検査および治療法として有用である.

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 女性側の不妊原因のなかで卵管因子はもっとも高頻度に存在すると考えられている.卵管は排卵される卵子を採取し,子宮側から逆上る精子の通路となり,膨大部での受精とそれに引き続く初期胚の成長の場を提供し,さらに卵子を子宮までゆっくりと運搬するという実に多くの役割を有し,妊娠成立までの長い環境を提供している.

 しかし,同時に卵管は感染や子宮内膜症などの疾患によって,その機能を障害されやすい臓器でもあることから不妊や子宮外妊娠などの発生の原因となることがある.しかし,器質的な閉鎖や内腔の癒着による狭窄,とくに多発性閉塞や間質部閉塞を代表とする通過障害の顕微鏡手術を含めた従来からの治療法での成績は芳しいものではなかった.卵管不妊に対する治療として体外受精が普及したが,原因に対する治療ではなく,また健康保険の適用にないため,きわめて経済的負担の多い手技である.その卵管不妊,とくに卵管通過障害に対する有効な検査法および治療法として,新しい概念の下に設計されたのが卵管鏡下卵管形成(FT)システムである.

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 体外受精—胚移植(in vitro fertilization andembryo transfer;以下,IVF-ET)は,不妊症の治療法として広く臨床に応用されてきているが,手技の普及とあいまってその適応がしだいに不明瞭になりつつある.本稿は卵管性不妊症に対するIVF-ETの適応を論じた後,われわれが外来ベースで施行しているIVF-ETの実際の方法を簡単に解説する.

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 卵管性不妊の治療は,肉眼的な卵管形成術から,microsurgery,腹腔鏡下手術,経頸管的卵管開通術と技術的には大きく進歩した.しかし,術後の妊娠率は不妊手術後の再疎通術を除けば,決して満足のいくものではない.とくに卵管留水腫では,疎通性は90%以上回復するのに,妊娠率はせいぜい30〜40%である.このような症例では,卵管采による卵子のpick-up障害が術後の重要な不妊因子と考えられる.

 術後卵管性不妊に対しては,われわれはIVF—ETをfirst choiceにしている.卵管性不妊の病態は多様であり,そのすべてに対応できるのはIVF-ETだけである.IVFは外来ベースで手軽にできるのも大きな魅力である.しかし,IVF-ETの成績も必ずしも満足のいくものではない.重度の卵管性不妊と男性不妊を除けば,IVF-ETが従来の治療法に比べてより有効であるという確証はまだないとさえいわれている1).IVF-ETの最大のウィークポイントは受精卵の培養の問題である.in vitroの培養条件は,残念ながらいまだinvivo(卵管環境)には遠く及ばない2).その理由としては,胚移植を4分割卵という非生理的な状態で行っている事実を挙げるだけで十分であろう.IVF-ETで受精卵を通常4細胞期,すなわちinvivoよりも約2日早く子宮内に移植するのは,それ以上in vitroで培養すると胚の質が低下するからである.

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 前回は各種卵管手術を中心に述べたが,本稿では反復子宮外妊娠で卵管修復後に卵管閉塞となった症例に対して,卵管鏡下手術による卵管形成術で卵管通過性が確認できた実際例を報告する.

 また,腹腔鏡下手術によるマイクロサージャリーの準備として実際的なトレーニングを行ったメスブタによる卵管吻合術についても紹介する.

連載 Estrogen Series・27

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第一部

 更年期後のホルモン補充療法に関する最大の関心事は,それが乳癌の発生を増加させるかどうかという点であろう.エストロゲンが乳癌の発生を促すということの生物学的根拠は十分にある.まず,エストロゲンは乳腺細胞の分裂を促す1).初経が早い場合,あるいは更年期が遅い場合ではエストロゲンにさらされる期間が延長し,乳癌発生率が増加する2,3).さらに血清エストラジオール値が高い場合には,それだけ乳癌発生のリスクを高める4).HRTと乳癌の関係はいろいろな方向から調査されているが,最近のメタアナリシスでは,その短期的使用は乳癌発生を増加させないという結論であった.

 それではHRTを長期的に使用した場合の影響はどうであろうか?HRTの長期的使用を対象としたメタアナリシスの結論は,乳癌発生頻度はHRTの使用期間と比例し,それが10年以上の場合には25〜30%の増加をみる,というものである5-7)

連載 産婦人科キーワード・9

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◆語源

 “in Situ”とは「その場で」という意味のラテン語である.ハイブリダイゼーションとは交雑という意味で,分子生物学では一本鎖DNAまたはRNAが水素結合により相補的な塩基対を形成することによって二本鎖核酸分子を形成することをいう.細胞内のDNAあるいはRNAを抽出せずに,DNAまたはRNAプローブとハイブリダイゼーションを行い,遺伝子がどの細胞に発現しているかを調べることを目的に,1969年にGallとPardueやJohnらにより開発された方法である.

連載 産婦人科キーワード・10

インターフェロン 上村 浩一
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◆語源

 あるウイルスに感染した細胞集団が同種あるいは異種のウイルス重複感染に抵抗を示す現象を,ウイルスの干渉現象(interference)という.ここからinterferon(干渉を担う因子)と命名された.スポーツ用語でも,競技者が故意に相手の競技者のプレーを妨害することをインターフェア(inter—fere)という.

連載 病院めぐり

公立三次中央病院 島田 佳子
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 三次市は中国山地の静かな小都市で,3つの大きな川が合流する水の都として栄えてきました.秋から早春にかけての早朝,三次盆地は幻想的な深い霧の海に覆われます.自然の恵みと四季の味覚が豊かで,三千基を数える古墳があり,歴史的情緒もあります.人口は約4万人で,65歳以上の人口が21%を占め年々高齢化が進んでいます.

 公立三次中央病院は広島県三次市の中国自動車道三次インターチェンジから車で約3分のところにある350床,18診療科の総合病院です.昭和27年6月1日,双三中央病院として開院し,平成6年9月に現在の場所に新築・移転し,公立三次中央病院となりました.開院以来,地域医療の中核として地域の人々の信頼を得ています.職員数は346名で,医師は45名(常勤医師33名,研修医12名)です.新病院よりコンピュータによるオーダリングシステムが導入され,診療に役立っています.

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 当院は阿波踊りで有名な徳島市内より,四国三郎で知られる吉野川をさかのぼること約20kmのところに位置し,屋上からは悠々と流れる川を遠望することができます.昭和22年5月に農村医療施設として病床数37床で発足し,平成9年5月には開院50周年記念行事を盛大に行いました.現在では病床数323床,診療科12科,医師数35名の総合病院に発展しました.周辺は5つの郡に囲まれ,診療圏は約20万人に及ぶ地域医療の中核病院としての役割を担っています.

 さて,当科の紹介ですが,混合病棟のため25〜30床の幅で運用し,常勤医3名(髙橋久壽副院長,塩見ひろ美医長,井川佐紀医長)と一部,徳島大学産婦人科医局の応援を得て産科当直制を敷いています.

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 野澤志朗教授(当時講師)のご指導の下,1978年の学位取得後も「癌の酵素偏倚」についての研究に継続して従事してきたが,1986年Hun—garyにての14th International Cancer Con—gressにおいてEnzyme deviation of alkalinephosphatase isoenzymes during the cource ofuterine carcinogenesisというテーマで講演し,一仕事終えたような感じを抱いた.そして,当時勤務していた東京電力病院の診療内容から,何か臨床研究ができないものかと考えたところ,やむを得ぬ婦人科疾患にて卵巣摘出後,原疾患は手術で治ったのに,その後に生じる卵巣欠落症状に悩んでいる患者に接し,女性のトータルなケアができないものか思案した.さらに,女性の退行期疾患のほとんどすべてはエストロゲンの低下を主因として発症するのではないか?,骨粗鬆症も高脂血症もしかりではないか?,これらウィメンズ・ヘルスにかかわる問題は他科任せにすべきではなく,女性のプライマリケアを担当している婦人科医こそが取り組む必要があるのではないかと考えた.そこで早速MDとQCTにより骨塩量の測定を始め,1987年第39回日産婦総会で発表し,その内容は1988年日産婦誌に骨粗鬆症関連の論文として初めて掲載された.

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 妊娠時麻疹はまれな合併症とされているが,近年measles vaccine failureの問題がクローズアップされてきており,初期のFLワクチン接種者がちょうど妊娠,分娩を経験する世代にさしかかっており,近い将来産科領域にも重要な問題をなげかける可能性がある.今回,妊娠時麻疹の臨床的側面を明らかにすべく妊婦麻疹抗体保有状況,自験例の提示および文献集計を行い,妊娠時麻疹についての取り扱いについて検討した.当院通院中の妊婦100人を対象にして麻疹抗体保有状況の調査を行ったところ,全体での麻疹抗体保有率(麻疹HI抗体価8倍以上)は80%(80/100例)で,35歳以上では60%(6/10例)と少ない傾向にあった.また,分娩周辺での発症の場合,新生児管理の面では発疹出現後7日目以降に分娩を遅延させることにより先天性麻疹を予防し得る可能性が示唆され,発疹出現後6日目以内の分娩では新生児へのγ—グロブリン投与が無難と考えられた.

基本情報

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臨床婦人科産科
52巻6号 (1998年6月)
電子版ISSN:1882-1294 印刷版ISSN:0386-9865 医学書院

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