今月の臨床 卵管性不妊症への対応
診断
1.HSG—卵管障害の診断精度
上浦 祥司
1
1大阪府立母子保健総合医療センター
pp.802-804
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903306
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不妊治療を進めるには,その原因と障害部位を的確に診断し,治療を開始することが重要である.卵管因子は女性不妊症の原因の25〜50%を占める最大の要因とされ,治療方針決定のためにも卵管機能の的確な評価が必要である.
子宮卵管造影法(hysterosalpingography,以下,HSG)は,非常に長い歴史のある子宮卵管の器質的検査法であり,不妊症のスクリーニング検査として卵管疎通性の他に子宮卵管の内腔の形態,骨盤内癒着の有無も合わせて評価し得ること,また診断的意義のみならず治療的意義も有している1)ことから一般的に広く用いられている.しかしながら近年,腹腔鏡検査や開腹所見との比較においてHSGの卵管通過性,卵管周囲癒着の正診率が検討され,HSGによる診断には限界があることが明らかとなった.
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