今月の臨床 卵管性不妊症への対応
診断
3.腹腔鏡による卵管機能の評価
三橋 洋治
1
,
星合 昊
1
1近畿大学医学部産科婦人科
pp.811-815
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903308
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卵管は主に胚偶子に対して受精の場を提供し,妊娠における第一歩を始めるために重要な役割を担っている.個々の卵管の機能としては,卵の捕獲,受精,卵分割の場の提供,精子の移送,capacitationの促進,受精卵の子宮への移送などが挙げられる.したがって,これら卵管の役割が障害されるということは,自然妊娠の困難さに直結していることが容易に理解される.実際に,不妊症において卵管因子は30〜40%を占めると言われており1,2),不妊症最大の原因として最も頻度が高いと考えられている。
これら卵管の器質的異常の有無を検討し,疎通性および受精の場としての機能に支障がないかどうかを正しく評価することは不妊症治療を行うための前提として不可欠である.そのため従来より種々の検査法が考案されており,さらに今もなお工夫が続けられている3-7).そのなかでも卵管の疎通性の有無と部位と状態を明確にできる子宮卵管造影法(以下,HSG)と,卵管そのものを周囲との状況と併せて直接観察の可能な腹腔鏡検査は卵管を内外から評価し得るいわば車の両輪のようなものであり,多くの施設が双方を卵管機能検査法の主軸として採用している.
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