連載 Estrogen Series・27
エストロゲンの長期的投与と乳癌発生
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.863-865
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903319
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第一部
更年期後のホルモン補充療法に関する最大の関心事は,それが乳癌の発生を増加させるかどうかという点であろう.エストロゲンが乳癌の発生を促すということの生物学的根拠は十分にある.まず,エストロゲンは乳腺細胞の分裂を促す1).初経が早い場合,あるいは更年期が遅い場合ではエストロゲンにさらされる期間が延長し,乳癌発生率が増加する2,3).さらに血清エストラジオール値が高い場合には,それだけ乳癌発生のリスクを高める4).HRTと乳癌の関係はいろいろな方向から調査されているが,最近のメタアナリシスでは,その短期的使用は乳癌発生を増加させないという結論であった.
それではHRTを長期的に使用した場合の影響はどうであろうか?HRTの長期的使用を対象としたメタアナリシスの結論は,乳癌発生頻度はHRTの使用期間と比例し,それが10年以上の場合には25〜30%の増加をみる,というものである5-7).
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