今月の臨床 卵管性不妊症への対応
外科的治療
6.卵管鏡下卵管形成術—適応と治療成績
末岡 浩
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.848-852
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903316
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女性側の不妊原因のなかで卵管因子はもっとも高頻度に存在すると考えられている.卵管は排卵される卵子を採取し,子宮側から逆上る精子の通路となり,膨大部での受精とそれに引き続く初期胚の成長の場を提供し,さらに卵子を子宮までゆっくりと運搬するという実に多くの役割を有し,妊娠成立までの長い環境を提供している.
しかし,同時に卵管は感染や子宮内膜症などの疾患によって,その機能を障害されやすい臓器でもあることから不妊や子宮外妊娠などの発生の原因となることがある.しかし,器質的な閉鎖や内腔の癒着による狭窄,とくに多発性閉塞や間質部閉塞を代表とする通過障害の顕微鏡手術を含めた従来からの治療法での成績は芳しいものではなかった.卵管不妊に対する治療として体外受精が普及したが,原因に対する治療ではなく,また健康保険の適用にないため,きわめて経済的負担の多い手技である.その卵管不妊,とくに卵管通過障害に対する有効な検査法および治療法として,新しい概念の下に設計されたのが卵管鏡下卵管形成(FT)システムである.
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