今月の臨床 卵管性不妊症への対応
原因
2.子宮内膜症—卵管性不妊症の頻度とメカニズム
杉並 洋
1
1国立京都病院産婦人科
pp.788-790
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903302
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子宮内膜症とは異所性に子宮内膜腺様組織が存在する病態である.子宮内膜症はその発生する部位によって多彩な臨床症状を呈するが,その代表的なものが月経痛,排便時痛,性交痛などの疼痛である.これら以外にも多くの症例で妊孕性の低下が認められる.
子宮内膜症性不妊の原因として種々の説が提唱されている.骨盤内臓器の解剖学的位置異常,活性マクロファージによる生殖細胞障害,プロスタグランディンや関連物質による卵巣あるいは子宮内膜機能の低下,卵捕獲抑制因子(ovum captureinhibitor:OCI)による卵管采の卵捕獲能の低下,などがその主たるものである.これらはいずれも説得力のある説であり,子宮内膜症性不妊はこれらの因子が単独あるいは複合して形成されていると考えられる.
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