CURRENT CLINIC
骨粗鬆症の診断に対して婦人科が果たしてきた役割
太田 博明
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.871-881
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903324
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野澤志朗教授(当時講師)のご指導の下,1978年の学位取得後も「癌の酵素偏倚」についての研究に継続して従事してきたが,1986年Hun—garyにての14th International Cancer Con—gressにおいてEnzyme deviation of alkalinephosphatase isoenzymes during the cource ofuterine carcinogenesisというテーマで講演し,一仕事終えたような感じを抱いた.そして,当時勤務していた東京電力病院の診療内容から,何か臨床研究ができないものかと考えたところ,やむを得ぬ婦人科疾患にて卵巣摘出後,原疾患は手術で治ったのに,その後に生じる卵巣欠落症状に悩んでいる患者に接し,女性のトータルなケアができないものか思案した.さらに,女性の退行期疾患のほとんどすべてはエストロゲンの低下を主因として発症するのではないか?,骨粗鬆症も高脂血症もしかりではないか?,これらウィメンズ・ヘルスにかかわる問題は他科任せにすべきではなく,女性のプライマリケアを担当している婦人科医こそが取り組む必要があるのではないかと考えた.そこで早速MDとQCTにより骨塩量の測定を始め,1987年第39回日産婦総会で発表し,その内容は1988年日産婦誌に骨粗鬆症関連の論文として初めて掲載された.
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