原著
妊娠時麻疹について—自験例,当院での妊婦麻疹抗体保有状況および本邦文献集計
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2みずうち産科婦人科
pp.883-887
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903325
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
妊娠時麻疹はまれな合併症とされているが,近年measles vaccine failureの問題がクローズアップされてきており,初期のFLワクチン接種者がちょうど妊娠,分娩を経験する世代にさしかかっており,近い将来産科領域にも重要な問題をなげかける可能性がある.今回,妊娠時麻疹の臨床的側面を明らかにすべく妊婦麻疹抗体保有状況,自験例の提示および文献集計を行い,妊娠時麻疹についての取り扱いについて検討した.当院通院中の妊婦100人を対象にして麻疹抗体保有状況の調査を行ったところ,全体での麻疹抗体保有率(麻疹HI抗体価8倍以上)は80%(80/100例)で,35歳以上では60%(6/10例)と少ない傾向にあった.また,分娩周辺での発症の場合,新生児管理の面では発疹出現後7日目以降に分娩を遅延させることにより先天性麻疹を予防し得る可能性が示唆され,発疹出現後6日目以内の分娩では新生児へのγ—グロブリン投与が無難と考えられた.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.