今月の臨床 卵管性不妊症への対応
外科的治療
4.卵管性不妊症に対する腹腔鏡下レーザー手術
森田 峰人
1
,
矢野 義明
1
,
久保 春海
1
1東邦大学医学部第1産科婦人科
pp.838-842
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903314
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
レーザー光はMaiman(1960年)により初めて発振されて以来,約40年が経過した.その応用範囲は広く,今や自然科学の分野を始めさまざまな領域にわたって利用されている.そのなかでとくに医学への応用は,外科系のみならず内科系においても診断,治療に応用されており,欠くことのできない医療装置として認識されている.産婦人科領域でのレーザー光の応用は,Kaplan(1973年)が子宮腟部びらんの治療に炭酸ガスレーザーを応用したのに始まり,以後その適応は徐々に拡大され,小型ビデオカメラなどの映像装置の発達とともに内視鏡下レーザー手術が広く行われるようになった.筆者らも以前より不妊症患者に対して積極的に腹腔鏡下レーザー手術を行ってきた1).
一般的に不妊症の原因として卵管因子の占める頻度は,他の因子と比較して最も多く,近年の性行為感染症,骨盤内感染症などの増加にともない,卵管因子の頻度は年々増加傾向にある.一方,腹腔鏡周辺機器の発達にともない,腹腔鏡下手術の適応範囲が広がり,現在では不妊症患者における卵管形成術もその適応と考えられるようになってきた.本稿では,筆者らの行っている卵管性不妊症に対する腹腔鏡下レーザー手術について解説し,合わせてその症例と成績を紹介する.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.