臨床外科 53巻5号 (1998年5月)

特集 病態別補充・補正のFormula

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 大量出血では血圧低下とともに循環血液量の減少,酸素運搬能の低下,血液凝固因子の低下が起こり,組織アノキシアによるエネルギー代謝障害と乳酸性アシドーシスを生じる.そこで,この病態を改善するために輸血を行うが,その前に出血量の算定が必要である.

 従来は,血圧,ショック指数やヘマトクリットなどから出血量を算定していたが,最近では,これらに加えて超音波検査やCT-scan検査などによって,かなり正確な定量化が可能になった.

 一方,血液は粘稠性や浸透圧をもっているために,適切な量の輸血を行わないと期待した治療効果が得られない.一般的には,酸素運搬能や血液流体面からみると,ヘマトクリット30〜37%が至適血液濃度であろう.

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 外科的止血手技で対応できない出血傾向に対処するための基礎的事項をまとめた.まず止血・凝固の機構と出血傾向の診断について概説し,各疾患の病態とそれに対する血小板や凝固因子投与の目安となる計算式を示した.また,大量輸血時の血液希釈の問題,DIC治療の原則,ITPの術前処置の実際について述べた.周術期の出血傾向に対処するには病態の理解に立脚した適切な補充療法が必要であるが,その前提として確実な外科的止血操作が不可欠である.また,人血に由来する血小板・凝固因子製剤の使用に当たっては,適正使用に留意する必要がある.

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 血漿蛋白の体内での動態をアルブミンを例にとって説明し,低蛋白血症に至る機序について述べた.ついで低蛋白血漿に対する補充の考え方,アルブミン製剤および新鮮凍結血漿の特徴と基本的な使用法について概説した.最後に低蛋白血漿を起こす各種病態(蛋白漏出性胃腸症,腹水を伴う肝硬変症,および大量出血時)での補充法を個別に述べ,具体的な症例を呈示しながら説明した.

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 水・電解質異常は,問診,診察,検査によって異常に至った機序を把握し,病態に即したFormulaを適用して補正する.術後の低Na血症の多くは,低Na液の過剰投与で惹起され,中枢神経症状発現時は高張食塩水を緩徐に投与して補正する.低K血症は,K摂取不足,多尿,嘔吐などが原因で,補正の際には低濃度で緩徐に行う必要がある.高K血症で血清K値が6.5mEq/l以上あるいは心電図異常が認められる場合は,迅速に血清K値を下げる必要があり,Ca製剤静注後,グルコース・インスリンの点滴静注を行う.術後乏尿は脱水と急性腎不全に注意する.術後の多尿は,高血糖による浸透圧利尿を除けば,輸液過剰によるものが多い.

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 血液のpHはHCO3とCO2ガスの2つの因子でほぼ決定されていると言っても過言ではなく,そのバランスが片寄ることでアシドーシスやアルカローシスとなる.生体はこのバランスの片寄りを補正する機構を備えており,アシドーシスあるいはアルカローシスに傾いているときは,必ずその原因となる疾患や病態が存在する.その原因を迅速に診断し,原因に対する治療と酸塩基平衡異常に対する補正を行うことが円滑な細胞・組織反応のために重要となる.本稿では,総論では酸塩基平衡の基礎的事項について,各論では症例を呈示しながら酸塩基平衡異常の診断・治療について解説する.

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 糖尿病合併患者の手術に際しては,術前から速効性インスリンによるコントロールを行い,空腹時血糖150mg/dl前後,尿糖が1日10g以下,尿ケトン体陰性などを目標とする.術後,いわゆるsurgical diabetesの状態となるが,この時期には術前の1.5〜2倍のインスリンの投与が必要である.スライディングスケール法,インスリンの持続微量注入法などを用いて適切な血糖管理を行うことが合併症を減らす意味でも重要である.インスリノーマの術前管理は,低血糖時の処置が主となる.膵切除が50%以下のインスリノーマ症例では,術後,インスリンの投与は原則として行わないほうがよいが,著しい高血糖を合併する症例では,インスリンの投与もやむを得ない.

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 血液ガス分析器の普及や人工呼吸器その他機器の進歩により,呼吸不全の管理は長足の進歩をとげた.しかしその呼吸管理の基礎とも言える呼吸生理については,なかなか理解しづらいことも確かである.慢性呼吸不全患者に対する酸素投与やアシドーシス患者に重炭酸イオン投与することの意味を考える必要がある.

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 過大侵襲時に様々なケミカル・メディエーターが産生されることが判明し,キーメディエーターとしてのモノカインの役割の解明が進むとともにショック治療に飛躍的な進歩をもたらしうるものと注目されるようになってきている.しかしながら,ショックの治療は適切な輸液・輸血投与が基本であることには変わりがなく,速やかにショックから離脱できなければ臓器不全をきたすことにもなりかねない.ここでは,基本的な輸液・輸血投与の公式を示すともに,最新の治療についても言及する.

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はじめに

 今日の内視鏡下手術の発展とその普及は目覚ましく,管腔臓器および実質臓器を含むすべての臓器において普及してきた.

 一方,肝臓外科においては画像診断学の発達や超音波メスなどの医療機器の開発,術後管理の向上により術後の合併症が低下し,遠隔成績も著明に向上してきた1).しかし,たとえ早期に肝癌が発見されても,肝硬変に伴う高度肝機能障害のために手術不能となることも稀ではない.そこで,侵襲の少ない内視鏡下手術は,慢性肝障害を基礎疾患にもつ肝癌症例に対しては非常によい適応と考える2〜6)

臨床外科交見室

胆嚢手術法の変遷史瞥見 佐藤 裕
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 臨床外科52巻13号に掲載された佐々木克典氏の論文(外科医のための局所解剖学序説;腹部の構造,4)で,肝胆膵領域を専門とする外科医にとって気になる記述があったので,外科学史の立場から,意見を述べさせてきただきます.

 まず「Calot's triangle」であるが,これはCalotが1890年に卒業論文として発表した「De la Cholecystectomie」のなかで,「cysto-hepatic angle」と命名したことに端を発する冠名であり,Calotは胆嚢摘出の際に胆管損傷を避けるためにこのような「三角形の領域」を想定したのである.Jean Francois Calotは1861年生まれで,1890年にパリ大学を卒業した.卒業後はほとんど消化器外科に手を染めることなく,もっぱら当時難病であった脊椎カリエス[Pott病;その病態解明と治療に貢献した英国の医家Per-civall Pott(1714-1789)を記念した冠名]の治療に取り組み,中央の医学界に出ることなく,1944年に南仏の片田舎で83歳で生涯を終えた.

病院めぐり

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 山口県の交通の要所,小郡より車で約20分南下すると,ペリカンのカッタ君で有名な宇部市の東端に当院が正面に望める.8階の食堂からは,遠く大分の国東半島,見晴らしの良い日には由布岳まで見渡せ,瀬戸内海の穏やかな青海原が患者や職員の心を和ませる.

 当院は,昭和28年宇部興産サナトリウムとして,内科,外科,呼吸器科で発足した.西日本では一般病院初の脳外科を昭和34年に開設し,先代の渡辺浩策院長が外科脳外科部長として就任した.他県からも広く患者が集まり,一般市民のための開かれた病院としての性格は,現鈴木敞院長(前山口大学第2外科教授)に受け継がれた.市内の山口大学医学部とは密な関係を保ち,市民病院的な性格を持っている.精神科を除く全16科から構成され421床で稼働している.そのうち,外科は約50床であるが,症例数の増加と共に他病棟へ“浸潤”し,慢性のベッド不足は解消されそうにもない.

高知市立市民病院外科 山川 卓
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 本院は高知市内中心部,官公庁街の一角に位置し,すぐ間近には山内家由来の高知城があります.城周囲の公園内には四季折々の花が咲き乱れ,たくさんの人々の目を楽しませています.本院の前身は1893年に設立された高知市立伝染病隔離病舎(30床)であり,1898年高知市立市民病院として現在地へと移転しました.今年は病院創立100周年にあたり,記念誌の発行,地域へ出張しての医学講座開催,柳田邦男氏を招いての講演などが予定されています.診療科目23科,病床数449床(一般352床,結核52床,伝染45床),常勤医師42名であり,臨床研修指定病院,臨床修棟指定病院(外国医師対象),救急病院,開放型病院などの特殊機能をもつ高知県の基幹病院の一つであります.

 本院では心臓血管外科,呼吸器外科が併設されているため,当科は消化器外科,乳腺外科を中心に一般外科を担当しています.スタッフは7名で,徳島大学第2外科(4名)と京都大学外科(3名)の教室員より構成されています.外来は,月〜土曜日の午前:消化器・一般外来,火・金曜日の午後:乳腺外来,木曜日午後:ストーマ外来であり,手術は月,水曜日に終日施行,消化管造影,血管造影,超音波などの検査は火・木曜日に行っています.

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 鎖骨下静脈穿刺時に,稀に気胸を引き起こしてしまうことがある.胸膜が鎖骨下静脈の数ミリ後方に存在するため,穿刺角度によっては,胸膜を誤穿刺してしまうためである.なぜ胸膜を誤穿刺してしまうのか? それは穿刺針が患者背面に対して斜めに刺入されるからである.針を患者背面に対してできるだけ平行に進めれば,胸膜誤穿刺の危険性は減少する1,2).それには,皮膚穿刺時点での穿刺針の方向が重要である.

 鎖骨下静脈は腕頭静脈から分岐した後,鎖骨と第一肋骨との間を通って,鎖骨下を腋窩方向へ走行する.したがって,仰臥位の患者の側面に立って鎖骨下静脈を穿刺するときには,鎖骨下縁と第一肋間との間隙を走行する鎖骨下静脈領域を穿刺することになる.私は皮膚の上からみてこの領域にpuncture win—dowと名付けた穿刺面を想定している.この穿刺面にできるだけ直角方向に針を刺入すれば,針は患者背面に対して平行に進む.この穿刺において,私は外科手技全般において基本的に大切とされる「左手(利き手でない手)」の使い方が重要であると考える3,4).すなわち右鎖骨下静脈穿刺において,鎖骨下の皮膚を左手親指の指腹でできるだけ深く凹ませて,皮膚上にpuncture windowを作り,この底面を皮膚穿刺部位とする(図).そうすれば,皮膚穿刺の時点から針を患者背面に対して平行に進めることができる.

メディカルエッセー 『航跡』・21

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 1970年代の終わりから1980年にかけて,ニッポンの各学会で専門医制度委員会が設けられ,学会として専門医を認定する方向に動きはじめた.近代医学が導入されて百年に及ぶ日本医学史の中で,これは画期的なことであった.それまでは「医者の上に医者を造らず,医者の下にも医者を造らず」という日本医師会の方針に逆らわねという弱腰の政府は,勉強としての制度の検討すらおぼつかぬ状況であった.

 その頃,わたしの専門の小児外科は,先達の大変な苦労が実を結び,外科や内科と並ぶ標榜科となった.それまで外科の一隅を占めるにすぎなかった小児外科が独立した科として政府に認められたのだから,小児外科医一同の喜びはひとしおであった.標榜科になる前には,小児病院の診療科目を表示する看板に「小児外科」と表記することは許されず,単に「外科」と書くしかなかった.以前勤めた小児病院では門前を通る人達の間に,「あれ,あそこの病院ではうちの父ちゃんの痔も切ってくれるのかしら,“外科”と書いてあって“こどもの外科”とは書いてなかったわよ」という笑い話が流行ったほどである.

癌の化学療法レビュー・1【新連載】

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 悪性腫瘍を扱う一般臨床外科医にとって,手術のみが根治を期待できる手段であるという信念をもって診療にあたっていることは論を待たないであろう.しかし悪性腫瘍の早期診断,早期治療による予後向上の成果が達成されている一方で,既に腫瘍の拡がりのため,根治術はおろか手術適応とされない症例は未だ後を絶たない.また根治術がなされたと考えられる症例においても再発の危険はつきまとい,外科治療の及ばない状態に遭遇することも日常経験するところである.

 外科治療以外に,放射線療法,抗癌化学療法(以下,化学療法)が悪性腫瘍の治療の選択肢としてあげられるが,現在,消化器,呼吸器,内分泌領域において,化学療法が有力な治療法として選択される疾患は,肺小細胞癌や炎症性乳癌など,特定の臓器の特定の組織型を有するものに限られ,多くは延命効果あるいは症状の緩和を期待して用いられるものである.

遺伝子治療の最前線・11

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はじめに

 Interferon-gamma(IFN-γ)を含むサイトカインは免疫反応の制御にかかわる生理活性物質で,これを用いて癌細胞を攻撃する免疫反応を高めようとする治療法が試みられてきた.臨床例でのrecombinant-IFN-γの全身投与あるいは局所投与では,腎細胞癌,悪性リンパ腫,菌状息肉症,Bowen病,基底細胞癌などでCRを含む有効例を認めたと報告されている1,2).しかし,サイトカインは一般に生体内半減期が短く,治療効果を導くためには大量投与を余儀なくされ,これに伴う副作用の発現のため投与量を制限せざるをえないことも多い.この理由からサイトカインの遺伝子を腫瘍細胞3,4),生体側の効果細胞(effector)5,6)などに導入し,全身への影響を少なくし,局所での免疫反応をより高める治療法が試みられてきている.ここではIFN-γ遺伝子導入腫瘍細胞を用いた癌遺伝子治療について,筆者が京都大学医学研究科腫瘍外科で行った実験を含めて概説する.

外科医のための局所解剖学序説・22

骨盤部の構造・1 佐々木 克典
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 骨盤の体表解剖は骨を指標にできるため腹部より明確に説明できる.正常の状態で恥骨結合と仙骨の岬角とを結んだ線は水平面に対して60度を成す.骨盤のこの傾きを骨盤傾斜という.先ほどの線と弓状線を含む面は小骨盤腔,すなわち骨盤内臓の存在する空間の入り口に相当する.産婦人科領域では計測用にさまざまな線が引かれるが,それらとは関係なく,ここでは恥骨結合の上縁を通り水平面に平行な線を考えてみよう.傾斜しているが故にこの線は後方で仙骨と尾骨の境あるいは尾骨の下端を通り,小骨盤腔を上下に二分する.したがって,立位で正面から見た場合,恥骨結合の上縁より上では仙骨の大半を透視できる.この把握は重要だ.なぜなら骨盤に分布する血管,自律神経は仙骨を中心にして存在するからである.一方,尿で充満した膀胱や発達した子宮の頭・体部を除いて骨盤内臓は一般に下にある.極端な見方をすれば骨盤内臓とそれに分布する血管,神経の大元は分離して捉えることができ,その境が恥骨結合の上縁だということになる.上前腸骨棘と恥骨結節の間に張るのが外腹斜筋の腱膜が肥厚した鼠径靱帯である.両側の上前腸骨棘を結ぶ線の右から1/3の部位はランツの点として知られており,この場所に盲腸に入る虫垂が投影され,この線を含む水平な面に岬角が含まれる.両側の腸骨の頂点を結ぶ線は第4,5腰椎の間を通ることは常識であろう.

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はじめに

 抗体に抗癌剤や放射性同位元素などの毒物を結合することで,選択的に癌細胞のみに傷害を与える,いわゆるミサイル療法はモノクローナル抗体の開発以来急速に発展してきた.臨床応用もいくつか進められ,その問題点もほぼ明らかになってきている.抗体に結合する物質としては抗癌剤をはじめ,毒素,放射性同位元素など様々な物が試みられている.また,抗体の結合する分子目標も,初期の腫瘍マーカーから,癌遺伝子産物や転移や浸潤に関与する癌細胞膜上の分子標的へと変化してきている.そして,抗体もマウスモノクローナル抗体から発展して,遺伝子組み替え技術や,高分子合成化学技術を駆使した,新しいタイプの抗体が開発されてきている.本稿ではモノクローナル抗体の開発以来どのようなタイプの抗体が用いられてきたかを概説し,それらがどのように治療に応用されてきているか,将来の展望を含めて紹介する.

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はじめに

 肝切除術において肝離断の際にできるかぎり出血量を少なくし,短時間に終了することは重要な手術操作のひとつである.一般的な肝離断法としては超音波メス(CUSA)の使用,forceps fracture法などによって肝離断を行い,離断面に露出される細い脈管などは電気メスで凝固切離し,太い脈管などは結紮切離する方法で行われる.しかし,肝静脈などの切離の際は慎重な操作を要し,血管が引き抜けたりする副損傷が生じないように細心の注意が払われ,結紮切離に時間を要する場合がある.脈管などの結紮に際して,ヘモクリップを使用すれば短時間に安全に施行できると思われるが,従来のヘモクリップは金属性であるため,術後CTにおいてアーティファクトが出現するため,肝切除においては使用されなかった.最近,体内で吸収される非金属性の吸収性クリップが開発され腹腔鏡下胆嚢摘出術で使用され始めている1).今回この吸収性クリップを肝離断における脈管の切離に使用したところ,肝離断操作をスムーズに行うことができ,術後出血・胆汁瘻などの術後合併症の発生も認めなかった.吸収性クリップは肝切除における肝離断の使用において非常に有用と思われたので報告する.

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はじめに

 呼吸器外科手術に際する鋭的損傷に起因した外傷性横隔膜ヘルニアの1例を経験した.

 筆者らはこの症例が閉塞絞扼期に至った後に根治手術を施行したが,反省点も含めその概要を報告する.

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はじめに

 腹腔内ヘルニア(内ヘルニア)は稀な疾患で,その中でも大網の異常裂孔に腸管が嵌入する大網裂孔ヘルニア(以下,本症)の報告は少ない.今回,大網遊離端にある大網裂孔に回腸が嵌入,絞扼性イレウスを生じた1例を経験したので報告する.

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はじめに

 内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection;EMR)は早期胃癌の治療法として広く普及している.今回われわれは,スネア操作が困難な噴門部胃腺腫に対し,大腸癌の開腹下手術中に経胃壁的にEMRを施行し,病変を切除し得た1例を経験したので報告する.

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はじめに

 外膵液瘻とは何らかの要因により膵管が破綻し膵液が体外に排出される状態を示す.この時,膵管と消化管とが何らかの交通を持っていれば保存的に治癒する場合が多いが,そうでない場合は完全外膵液瘻と呼ばれ,保存的に治癒する可能性は低い.今回,われわれは,膵頭十二指腸切除後に発生した完全外膵液瘻に対して低侵襲なinter-ventional radiology(以下,IVR)を応用して内瘻化に成功した1例を経験したので報告する.

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はじめに

 インスリノーマは膵ラ氏島より発生する腫瘍のなかでは最も頻度の高いもので,本邦でも既に800例以上の報告がある.しかしながら,そのうち明らかな無症候性インスリノーマは10例程度と稀である1).今回われわれは,無症候性であった膵体部インスリノーマの1例を経験したので報告し,本邦における無症候性インスリノーマ症例につき検討した.

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はじめに

 胸腺脂肪腫は1916年Lange1)により初めて報告された胸腺組織と脂肪組織よりなる稀な縦隔腫瘍である.本邦では45例の報告をみるにすぎない.今回われわれは健診で心拡大として発見された本症例の1例を経験したので報告する.

基本情報

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臨床外科
53巻5号 (1998年5月)
電子版ISSN:1882-1278 印刷版ISSN:0386-9857 医学書院

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