癌の化学療法レビュー・1【新連載】
化学療法総論
仁瓶 善郎
1
,
市川 度
1
,
杉原 健一
1
Zenro NIHEI
1
1東京医科歯科大学医学部第2外科
pp.601-605
発行日 1998年5月20日
Published Date 1998/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903180
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
悪性腫瘍を扱う一般臨床外科医にとって,手術のみが根治を期待できる手段であるという信念をもって診療にあたっていることは論を待たないであろう.しかし悪性腫瘍の早期診断,早期治療による予後向上の成果が達成されている一方で,既に腫瘍の拡がりのため,根治術はおろか手術適応とされない症例は未だ後を絶たない.また根治術がなされたと考えられる症例においても再発の危険はつきまとい,外科治療の及ばない状態に遭遇することも日常経験するところである.
外科治療以外に,放射線療法,抗癌化学療法(以下,化学療法)が悪性腫瘍の治療の選択肢としてあげられるが,現在,消化器,呼吸器,内分泌領域において,化学療法が有力な治療法として選択される疾患は,肺小細胞癌や炎症性乳癌など,特定の臓器の特定の組織型を有するものに限られ,多くは延命効果あるいは症状の緩和を期待して用いられるものである.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.