看護学雑誌 56巻3号 (1992年3月)

特集 看護の質を高める臨床実習—自治医科大学附属病院における臨床実習

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 看護における学習とは,単に知識,理論の理解やその習得にとどまらず,それを現実に実践できる洞察力や共感する力,判断力,自立性,創造性を身につけることが大切である.その基礎を育てるために,学問(知識)と実践(技術)に加えて,人間性(心)の3つが統合された教育が不可欠であろう.これは,学校教育にとどまらず卒後教育にも共通するものであり,自治医科大学医学部附属病院(以下,当院)看護部ではこれを院内教育のあり方の基本として教育プログラムに生かしている.

 当院看護部の理念は,「自治医科大学附属病院の職員として,自治医科大学の教育理念である人道的医療の実践者であることを自覚し,医療チームにおける看護の役割を適正に達成するよう努力する」としており,そのための活動方針を以下の通り8項目定めている.

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病院の臨床実習指導の体制について

西元(司会) みなさんお忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます.本日は自治医科大学看護短期大学の臨床実習につきまして,病院の姫野教育担当婦長,小児科病棟の加藤婦長と同病棟の3人の臨床指導者にお集まりいただき,臨床実習のさまざまな問題について話し合っていただきます.

 さて昨年,新カリキュラムになり,3年課程の看護学校では1770時間だった実習時間が1035時間に短縮されました.この中でどうしたら効果的な臨床実習を展開できるかは,これからの我々の大きな課題です.来年度になりますと1年生から3年生までが,新カリで実習を行ないますので,ますます課題は大きくなります.

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1991年4月,臨床指導者に任命される

 自治医科大学附属病院に看護婦として入職して7年目になる.入職以来,小児科病棟に勤務しているが,その半分以上を併設されている未熟児センターで過ごし,昨年の4月に初めて,臨床指導者を命じられた.

 軽い気持ちで,その任務を引き受けたが,実習の間際になって,思い切り後悔する羽目になってしまった.

臨床実習病棟の印象—小児看護学実習を終えて

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 今までの実習では,6〜7人の学生に対して臨床指導者が1人で,指導者がいない時には主任が代行してくださることが多かったのですが,今回の小児科病棟の学生5人につき指導者が1人という学生の受け入れ態勢には,とても感謝しています.と同時に,臨床指導者の多忙ぶりに驚きました.

 私は実習初日から受け持ち患児が手術で,手術後はICU実習となり,個室ということもあり,病棟そのものに慣れるのに他の学生以上に時間がかかり,戸惑うことも多くありました.それでもどうにか1人で動くことができたのは,指導者が申し送り後の行動計画修正で細かい点にまで,チェックしてくださったおかげだと思っています.ただ私の場合は,他の学生に比べて1人で工夫してできるケアが少なかったので,受け持ち患児に対してもっと積極的な行動計画を立てたり,自分から指導者に相談したり,指導してもらったりして,もっと他患児のケアを見学,実践できればよかったなと感じています.

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 小児科病棟での総合実習では,病棟の看護スタッフのみなさんには,本当にいろいろなご助言をいただきました.とても感謝しています.

 特に,臨床指導者には大変お世話になりました.学生の作ったパンフレットを検討するために,わざわざ朝早く来ていただいたり,日々のケアについても,1つ1つのアドバイスに勇気づけられ,やる気が出て,実習期間は病棟に行くことが少しも苦になりませんでした.

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 小児外科病棟での実習で私が感じたことは,病棟の雰囲気がよく,学生を快く受け入れてもらっていることです.学生の存在を無視せず,申し送りで受け持ち患者に関する発言ができたり,看護チームメンバーの一員として,患者のケアを任せてもらえたので,自分の思っているケアが患者にできたように思います.

 また,自分で工夫した計画をケアの中に取り入れたりする時も,臨床指導者が,「一緒にやりましょうね」と声をかけて積極的に協力してもらえたので,大きな不安もなく行動できました.

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 小児看護学の実習は,今までと患者の年齢が違い,私自身どうしたらよいか戸惑う場面が多く,最初の1週間はとても長く感じられました.終わってしまえば,短かったと感じるのですが…….

 臨床指導者やスタッフを見て感じたこと,学んだことはいろいろありました.特に強く感じたのはとにかく看護婦さんは大変だということです.

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 患者へのケアをする中で,患者の不安や痛みを共感できたと思うようなことがよくある.けれども,その関わりを振り返った時に,それが錯覚であったと気づくのである.

 例えば,私は「この患者さんは苦しいんだな」と感じる.しかし,その苦しみがどれだけのものであるのか,どのような苦しみなのか.自分は,本当に患者の苦しみを理解しているのだろうか,という疑問を持ってしまう.患者と自分では,全く違う環境に育ち,経験そのものも違う.その両者が感じる「苦しみ」は,おそらく共通のものではありえないはず.しかし,それを「分からない」ままにしておくのではなく,少しでも分かりたい,受け止めたい,という努力は常に必要であると考えている.

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 臨床実習は患者,臨床指導者,病棟スタッフ,婦長,など多くの人の協力の上になりたっていて,病院側の対応が臨床実習の質を左右するといっても過言ではない.

 しかし,病院には厳しい現実がある.看護婦不足の中,日々の忙しい業務を完遂しつつ,学生を指導する.明日のナースを育てるためとはいえ,臨床実習が現場にもたらす負担は相当のものである.

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 高齢社会の医療の方向として厚生省は,長期入院の是正と在宅医療の推進を打ち出した.在宅医療は果たしてどれほど定着したのだろうか.かつて,地域医療を支えてきたのは,いわゆる開業医であった.ところが患者や国民の大病院指向,専門性指向,また高度医療の進展の中で医師の地域における活躍が次第に薄れ,在宅医療が不採算部門の1つと見られてきたことも一因.採算性の裏付けがなされれば,在宅医療はもっと進展していただろう.

連載 生体のメカニズム・3[感覚の生理]・3

聞こえるということ 大橋 俊夫
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音が聞こえる

 私たちは,「音が聞こえる」ありがたさなど全く意識せずに日常生活を送っています.もし,急に音が聞こえなくなったらどれほど困るでしょうか,想像してみて下さい.

連載 より良い終焉を求めて[国立療養所松戸病院PCU病棟の取り組み]・6

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本誌 本誌では,これまで5回にわたって国立療養所松戸病院緩和ケア病棟(以下,PCU)での取り組みを連載してきました.第1回目は開設当時を振り返っての思い出話などを御披露いただき,2回目からはケース・カンファレンスの形で,事例を検討してきました.今回と次回はこの連載の締めくくりとして,病棟医長の志真泰夫先生に,開棟から現在までの概況,それからケース・カンファレンスで共通して見られるいくつかの問題点などについてお話を伺います.それから国立がんセンターの新病院が本年7月にオープンする予定ですが,新病院でのPCUの構想についてもお伺いしたいと思います.

志真 ではまず,開棟から現在までの概況についてお話しします.

連載 看護研究のすすめ[看護情報学からのアプローチ]・12

統計処理の実際 辻 和男
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はじめに

 今回は,第21回日本看護学会老人看護分科会の学会集録から,看護研究における統計処理の実態について述べてみようと思います.

連載 白い恋人たちへの応援歌[私の病院探訪記]・3

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お年寄りから学ぶこと

 『おとしよりってすごい』というパンフレットに出会った時,私はとても驚いた.ピンクの紙を表紙にホッチキスで留めてあるだけの素朴な文集.発行者は島根県松江市にある松江生協リハビリテーションセンター病院看護部.市民の手が生み出した老人病院の看護婦さんたちである.そこに入院したり,訪問看護を受けているお年寄りたちの自分史が,看護婦さんたちの手で,ていねいに「聞き書き」されたものである.

 戦争体験,被爆体験,明治から平成への長い時代の変遷…….さまざまな老人たちの人生模様が紙の上に蘇っている.ともすると年寄りの繰りごと扱いにされてしまい,忘却の彼方に追いやられてしまうひとりごと,「身の上ばなし」が,ていねいに聞き取られ,時代を証言する貴重なことばの渦になっている.

連載 スウェーデンからこんにちは・12(最終回)

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日本からのお客さん

 みなさん,こんにちは.ご機嫌いかがですか.つい最近,日本からお客さんが見えました.ある病院の名誉院長をしておられるK先生です.気さくなお人柄で,話をしていても楽しく,若々しいのが印象的でした.私は先生をブラッケベリー病院に案内して,帰りに駅まで送って行きました.

 その時先生は.「自然環境が本当にすばらしい.森がこんなに近くにあって,緑がいっぱいですね。リスもウサギもバンビもいるんですか.ああ,あれが学校ですね.幼稚園もこんなに近くにあって,図書館も映画館も食料品店も薬局もありますね.あれはレストランですか,それに衣料品店も.生活のためのすべての施設が住宅街に集まっているのですね」と私にとっては見慣れた風景に,目を輝かせて話されるのです.

連載 でも、やっぱり歩きたい[直子の車椅子奮戦記]・3

かゆ〜い 滝野澤 直子
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眉毛からフケ!?

 サラサラの髪.シャンプーしてきちんと乾かした髪はふんわり軽くて,いい気持ち.髪が汚いのはイヤ.顔がベタベタもイヤ.女の子ならいつも清潔,爽やかにしていたい.

 それなのに.〈ハローリング〉を着けていた約4か月の間,ずっと髪も洗えず,顔も洗えず.もちろん,お風呂もダメ.う〜,思い出してもむずむずしてきます.フケは山盛り,顔中に吹き出物.サラサラの髪,すべすべの顔は,どこにいってしまったの?

連載 あした天気にしてあげたい[わたしの救急奮闘記]・12[最終回]

苦しみは明日の糧 中村 恵子
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看護の迷路

 看護婦という職業が,いや看護という職種が「3Kだ,5Kだ」と騒がれている昨今,不足している看護婦の数や問われている看護の質について,私も何とかしたい,しなければと考えている.日本看護協会や厚生省をはじめとする各機関も,この件に関しては取り組みを開始し,看護婦を確保するための大きな駒が動き出したようにも見える.私も協力は惜しまない.

 しかし,マスコミが伝えることは,「待遇が悪い」「労働条件がきつい」といった相変わらずの3K論.“看護”に対するマイナスイメージが強調されすぎてはいないだろうか.そう思っているのは私1人ではなさそうだ.今年からは,「よい仕事」「やりがいのある仕事」「優しさ……」という「3Y,6Y」が強調されるだろうとの話も耳にしている.

連載 のんちゃんのでこぼこMYロード・12

What is看護の巻 堀内 園子

連載 プッツン看護婦物語・19

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もっとも手のかかるもの。

「プレドニンが始まっていますけど、抗潰瘍剤は併用しなくていいんですか」と、ハッキリ聞くと嫌われます。

「プレドニンが始まるんですね。抗潰瘍剤……」と、申し訳なさそうに聞くと、でき看護婦とほめられる。

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 16年間にわたる訪問看護の現場を去り,昨年5月に「ケア・コーディネーション研究所」を設立した新津ふみ子さん.現場を離れることは「生涯1ナース」を自認する新津さんにとって重大な決意だった.しかも16年前と比較すれば,訪問看護に取り組む施設も看護婦の数もかなり増え,自らも指導的な立場にいる時にだ.

 ケア・コーディネーション—聞き慣れない言葉だ.

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節子さん「月並みな言葉ですけど,小さい時から白衣に憧れて,看護婦になりました.看護というのはやってみると本当に大変な仕事で,憧れだけではとても続けていくことはできません.辛さにまさる喜びを感じられる仕事だからこそ,続けていけるんだと思います.ただ,そのことがわかるようになるには,ある程度の時間が必要なんですね」みゆきさん「私は小さい頃,体が弱くて,ずっと病院通いをしていました.病院に馴染みというのもおかしなものですが,そんな感じだったんです.そこへもってきて姉が看護婦になって,これでますます私の行く道はこれしかない,と決めたわけです.今,患者さんが元気になって退院していかれるのが,とにかくうれしいですね」

基本情報

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看護学雑誌
56巻3号 (1992年3月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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