連載 白い恋人たちへの応援歌[私の病院探訪記]・3
老人ケアは市民と手を結んで—松江生協リハビリテーション病院
向井 承子
pp.272-275
発行日 1992年3月1日
Published Date 1992/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900592
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お年寄りから学ぶこと
『おとしよりってすごい』というパンフレットに出会った時,私はとても驚いた.ピンクの紙を表紙にホッチキスで留めてあるだけの素朴な文集.発行者は島根県松江市にある松江生協リハビリテーションセンター病院看護部.市民の手が生み出した老人病院の看護婦さんたちである.そこに入院したり,訪問看護を受けているお年寄りたちの自分史が,看護婦さんたちの手で,ていねいに「聞き書き」されたものである.
戦争体験,被爆体験,明治から平成への長い時代の変遷…….さまざまな老人たちの人生模様が紙の上に蘇っている.ともすると年寄りの繰りごと扱いにされてしまい,忘却の彼方に追いやられてしまうひとりごと,「身の上ばなし」が,ていねいに聞き取られ,時代を証言する貴重なことばの渦になっている.
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