学生の広場
与えられるものの大切さ—実習を通して学んだもの
大上 初美
1
,
人見 裕江
1
1聖華看護専門学校
pp.248-251
発行日 1992年3月1日
Published Date 1992/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900587
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
患者へのケアをする中で,患者の不安や痛みを共感できたと思うようなことがよくある.けれども,その関わりを振り返った時に,それが錯覚であったと気づくのである.
例えば,私は「この患者さんは苦しいんだな」と感じる.しかし,その苦しみがどれだけのものであるのか,どのような苦しみなのか.自分は,本当に患者の苦しみを理解しているのだろうか,という疑問を持ってしまう.患者と自分では,全く違う環境に育ち,経験そのものも違う.その両者が感じる「苦しみ」は,おそらく共通のものではありえないはず.しかし,それを「分からない」ままにしておくのではなく,少しでも分かりたい,受け止めたい,という努力は常に必要であると考えている.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.