看護学雑誌 49巻6号 (1985年6月)

特集 申し送り・再考—看護ケアの充実のために

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はじめに

 ‘看護における申し送りは,これから勤務につく者へ勤務を終わって帰る者から適切な情報の伝達がなされることにあり,しかもこれは非常に大切な連続的患者ケアを助長するためである’(V.H.Walker)1)

 24時間3交代という勤務体制での患者のケアに責任を持つ看護婦として,そのケアの継続をはかるためのさまざまな工夫がされている.看護記録,看護サマリー,看護添書,申し送りなどがその代表で,最も日常的に普及しているのが看護記録と申し送りであろう.

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はじめに

 申し送りとは,交替制勤務において継続した看護活動が行なえるよう,必要な情報を漏れなく伝達することであり,看護の質を向上させるものでなければならない.さらに,良い申し送りの条件としては,看護活動に対して評価が含まれている内容であること,要点が良くまとめられ,簡潔で重複していないことなどが挙げられる.

 当センターは開設されて7年が経過しており,従来から申し送りの手段としてカーデックスを使用している.救急入院に伴う脳卒中急性期の術前,術後から,ADL拡大の時期にある患者,および遷延性意識障害患者に至るまで各段階にわたっており,申し送りの内容も,脳外科特有の意識・麻痺の推移,看護ケアの内容,検査,処置,更に家族の抱える問題などで時間を多く費やしていた.そのため,業務開始が遅れ,カンファレンスが指示報告の場であったり,急性期患者の観察にとらわれ,ベッドサイドケアの時間が充分とれないなどの問題があった.そこで,申し送りのあり方を振り返る中で,カーデックスの活用方法の検討を重ね,幾つかの成果を得たので報告する.

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はじめに

 当病棟は1983年4月に,病床数20,看護婦8名,看護助手2名にて発足した新設内科病棟である.看護方式は,一部機能別の,リーダー1名によるチームナーシングを採用した.しかし,スタッフ構成が,新設に際し,各科より配属されたことや内科病棟勤務経験者がごく一部であったことなどから,業務がスムーズに流れなかった.

 中でも情報伝達が的確でなく,患者ケアに支障を来す場面が幾度となく見られた,特に申し送りに関しては,その方法が統一されておらず,情報整理,提供方法,内容に不均衡があるように思われた.また申し送りを受ける側も,口頭のみの情報伝達に頼り過ぎている傾向があることなどを顧みた結果,改善の必要性を感じた.

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はじめに

 看護業務の中で,朝の申し送りは,その日の看護活動に与える影響が大きい.しかし現状は,時間的,内容的に満足できるものではない.申し送りの良否は,看護婦による個人差が大きく,改善も容易ではない.

 そこで私たちは,現在の申し送りが,どのような状況の中で行なわれているか,また,看護婦各自が申し送りに対してどう考えているかなど,当院の実態を知り,改善の糸口を探ることにした.

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 昨年(1984年)の春ころ,私の勤務しているSt. Jude Hospitalの内科病棟で,看護スタッフのカンファレンスの折,申し送り方法の改善について討議したことがあった.各種の名案,珍案が提出されたが,最終的にはテープを利用して申し送りをしてみようとの結論に達し,ある病棟がテストケースとして選ばれ,早速実施された.

 それまでは,walking report(回診による申し送り)や,チャージナースがまとめて次の勤務者全員に申し送りする方法が一般的であった.例えばICUやCCUなどの特別ユニットを除く一般病棟(内科,外科,整形外科,小児科など)ではwalkingreportが,心臓モニター病棟(cardiac telemetry),産科病棟(mother-baby coupling),癌病棟などではチャージナースによるレポートが行なわれていたのである.

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 耳鼻咽喉科領域の疾患は,広く発声や呼吸,更には腋下の障害を来し,また直接表面に現われる機能と結びついているため精神的苦痛は測り知れないものがある.近年,頭頸部癌の外科的治療は,その再建外科の導入により著しい進歩が見られるが,その一方,再発を繰り返す終末期患者のケアのあり方は真剣に取り組まれるべき課題である.

 殊に頭頸部癌のターミナルケアは,全身状態はそれほど侵襲されず,意識も比較的明瞭な中で,頭頸部領域の病巣へのケアをしなければならないなど,種々の問題がある.この点で,他の臓器悪性腫瘍とは異なった特徴を有している.

ホスピスからのレポート 続・死にゆく人々のケア・6

家族のケア 柏木 哲夫
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 末期の患者を持つ家族は,実に多くの支えを必要とする.肉親を失うという悲しみはもちろんのこと,患者が死ぬまでに苦しみはしないだろうかという不安も強い.ホスピスにおいては,患者のケアとともに家族のケアが重要になる.臨終が近づくにつれて,患者よりもむしろ家族のケアが主になる場合もある.

 1人の患者とその家族の例を通して,日常の臨床の場において,末期患者の家族に対してどのような配慮をすればよいのかを,具体的に述べてみたい.

訪問看護 私たちの実践レポート・16

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はじめに

 私は現在ライフケアシステムで,訪問看護を主とした活動を行なっている.

 このシステムは,診療所を中心に‘病気は家庭の中で治すものである’‘自分たちの健康は自分たちで守る’をモットーに,会員組織を作り,会員がお互いに生涯にわたっての健康上のケアを行なってゆくことを目指している.また,在宅ケアを日本に根づかせるねらいもあり,他の2,3の病院の訪問看護を援助している.

癌患者の手記—私は前を向いて歩く たとえ声は奪われても・6

口からものが食べられる 吉見 之男
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食道開通式

 術後2週間もたつとやっと人心地がつき,窓外の景色にも目がいくようになる.朝な夕なに訪れる鳥たちの姿にも思いなしか晴ればれとしたものを感じ,木々の梢もふくらんできたようだ.やっと遅い春がやってきた.

 私の病気も今日(3月30日)は春を迎えた.待望の鼻へ入っていた管が取れたことだ.手術の日以来,鼻から食道を通り胃にまで入っていた管.唯一の食事取り入れ口.移植食道もOKという診断の結果,再度テストして抜く.長い間ご苦労さん.お陰で鼻孔の一部がすれて赤黄色く膿んでしまった.でもよかった.これで開通式がすみ,流動食から本格的な食事へと進んでゆく.

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 高齢者を対象としたリハビリテーションの目標は,その多くが身辺動作の自立と家庭復帰にある.身辺動作の中でも,排泄動作が自立するかどうかはADLの拡大に最も重要な要因の1つであり,一個の独立した人格を持った人間として存在できるかどうかを左右するほどの重要さを持つものである.入院中に排泄を中心としたセルフケアを自立できると,家庭復帰しても寝たきりになる例は少ない.

 今回,脳梗塞・右片麻痺で寝たきりの状態で入院してきた患者に対するリハビリテーション看護の中で,排泄動作の援助過程と患者の機能変化を中心に報告を行なう.なお本事例は,排泄動作全介助の状態から,便器使用自立,さらにポータブルトイレでの排泄が自立し,退院後も身辺動作の自立した生活を維持したものである.

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はじめに

 患者から拒否や攻撃を受けることは,精神科で働く私たちの日常において,しばしば遭遇することである.患者の攻撃は,妄想に基づくものであったり,歪んだ形での愛情の要求や,怒り,敵意などの否定的な感情によるものであったりする,攻撃の中には,暴力で表現されるものや,相手を言葉で罵倒して不愉快にさせたり,侮辱したりするものがある.

 A子は,‘自分は病気でない’‘お金がかかる’と言い,血圧測定や血液検査,また日常の私たちの援助を拒否し,看護婦,とりわけ既婚のH看護婦に対して‘卑しい,いつまで仕事するのか’などと罵倒することが多かった.同室の患者への不満もよく訴えてきた.

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 最近,目覚ましい医療の発達とともに,自動監視装置,人工呼吸器などが,患者に安易に装着される傾向になってきている.私の勤務する病棟でも,常時7,8名の患者に,種々の器械が治療という名のもとに装着され,延命がはかられている.

 意識のないまま,1年余りも経過している患者もいる.バイタルサインのチェックにより,薬剤は加減され,病状に合わせて器械の調節・操作がなされている.輸液ルートの確保,排泄量の流出状況等,細かな観察,状態が把握され,生命が保たれている.

ここまできた日本の医療・6

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血液浄化法としての血漿交換法

 —二重濾過血漿分離交換法は,進歩した血漿交換法と理解していますが,その血漿交換法の開発されてきた歴史から,お話いただきませんか.

 1914年にすでにAbelらは,動物から全血を取り出して,遠心分離装置により,血球成分と血漿成分に分離し,血球成分を体に戻し,電解質液を補充すれば,大量の血漿を体外に採取できることを報告しています.

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 プライマリ・ナースが新しく引き受けることになった役割や,彼らが働きやすいような新しい組織などの様々な変化は,当然ヘッドナースの仕事内容にも影響を及ぼしている.

CHECK IT UP 日常ケアを見直そう・42

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 ‘3時間待ちの3分診療’という言葉がよく使われる.日本の病院医療の悪い面を論じる時の代名詞とも言える言葉だが,外来部門が病院を代表するイメージとしてとらえられている点が興味深い.まさに外来は病院の“顔”なのである.しかし,この認識が医療側に定着しているにもかかわらず,改善は遅々として進んでいない.いまだに,事あるごとに冒頭の言葉が引き合いに出されるのが,そのことを物語っている.

 “無愛想”“不親切”──これらの言葉から想起されるイメージを人々に挙げてもらうとしよう.まず,都会に住んでいる人はタクシーの運転手をヤリ玉に挙げるかもしれない.そして,いくつかの答えの中に,病院の外来’という回答があったとしても,即座に疑義を唱えるだけの自信がないことを,残念ながら認めないわけにはいかない.しかも,このような状況が,外来における看護と無関係とは言い切れないところが,私たちのつらいところでもある.

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「熊さん.雨もあがったことだし,明日あたり,花見にでも行かんかね」

 「そうだなあ,八っつあん,わしもここんとこ,ずっと病院暮らし.部屋ん中ばかりで飽きちまっていたとこだ」

痛みの臨床・14

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GOMを効果的に使うには

 前回は麻薬性鎮痛薬の定義とその作用機序について,やや難解な最新の理論を紹介したが,今回は麻薬性鎮痛薬の具体的な使用法を中心に述べたい.

 麻薬性鎮痛薬の最大の適応となるのは,長期にわたる持続性の痛みを持つ癌性痛である.癌性痛に悩む末期患者にいかに麻薬性鎮痛薬を使いこなすかは,患者の人生最後の日々を有意義で豊かなものにするか,あるいは痛みの中で悲惨な思いを味わわせるかの鍵となる.

ぼけの臨床・2

ぼけの症状[1] 井上 修
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身体と精神

 ‘先生,膝が腫れて痛いんです.何でしょうか’

 ‘腕のところが赤くなってザラザラしてきたのですが,いい薬をいただけませんか’

変革の中の医療 21世紀をめざして・3

プライマリ・ヘルスケア 岩崎 栄
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WHOのアルマ・アタ宣言

 2000年までにすべての人々に健康を!

 Health for all by the year 2000!

病む人々へのカウンセリング・5

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自分が役に立つかどうか自問する

 さて,来談者の達成したいと考える目標が明確になった時,カウンセラーは次に何をなすべきなのでしょうか.

 カウンセリングを引き受けるかどうかを決める時にチェックしておかねばならない,もうひとつの大切な問題があります.それは,‘私が役に立つかしら’と自問してみることです.

インフォメーション 新しいナーシングケアのために

行動療法 山上 敏子
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 行動療法は心理学的治療法(心理療法)の1つである.まだ歴史は浅いがそれまでの心理療法とは少し違った考え方に基づいている.基になっているのは‘精神の活動.すなわち,考えや感情や振る舞い方などの種々の行動は体験によってつくられ,変えられる(学習)とする考えである.

 また,行動療法では,行動をそれだけではまとまりのある精神の活動とは考えていない.行動は行動を起こさせている,行動に先行している環境と,その行動が起こることで結果される環境の変化との因果関係でとらえることで初めて精神の活動として意味を持つことになる.行動をつくったり変えたりすることは,この因果関係を変えることである.したがって行動療法は,精神の活動を,環境との因果関係でみる人間理解法を持っているということにもなる.

教育婦長

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 研修への主体的取り組みを促す意味でグループワークを積極的に活用している.テーマやグルーブの編成を考えるのは主任3人,婦長5人で構成される教育委員会,研修参加者にはレポートを提出してもらい,プログラムづくりや運営に役立てている.‘卒後3年以上の看護婦,ママさん看護婦の多いのが当院の特徴です.ずっと病院に残ってくれるので教育のしがいはあるのですが,家庭を持つと時間外研修への参加が難しくなるというジレンマがあります.人生経験,キャリアの豊富さを生かした“考える看護”“気づく看護”を目指しています.

ちょっと一言 総婦長のつぶやき

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 炉には赤く燃える炭火,釜の湯はシューン,シューンと心地良い松風の音をたてている茶室には,せかせかと騒々しい外の世界とは掛け離れた空間が出現する.そこに身を置くと,不思議と心が落ち着き,緊張感とともに楽しい充実した時間が過ぎて行く…….

 私が茶の湯に親しむようになって,早二十余年になる.そのきっかけは,5年前に亡くなられた高橋宗代先生との出会いからである.

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 病院には,様々の職種の入が働いている.医師,看護婦,PT,OT,ST,検査技師,掃除の人…その模様はカラフルに見える.しかし,所詮は医師である病院長を頭としたピラミッド型の世界.上から下(患者)までピシッと権力構造は貫かれている.

 ‘自分もその権力構造の一部に組み込まれていましたね’付き合うのは医療スタッフ.話題も患者のことか医師か他の職種の人のこと.‘大学病院は特にそうでした.自分はそれに染まりたくない,ここにいるとダメになると思いました.’

南の島での保健医療 インドネシアで保健婦として働いて・6

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 Kader(カーダルと呼びます)とは,一般には何か少し特別な事ができ,それによって他人に奉仕する人のことを言うようですが,地域保健開発の分野では‘推進員’のことを指しています.日本にも生活改良普及員という職種がありますが,それと似ています.原則として無報酬です.

 Kaderは村人によって選出されます.人口l000から2000人の村が,5つから8つの班に分かれているので,各班から2,3人を選びます.選出の基準は示されており,選出の方法は村に任されていますが,往々にして村長の指名であったり,自選であったりして困ることがあります.

子供たちの痛み 指導相談科からのお便り・6

保育園での相談業務 中村 元子
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 核家族が増え,子供の数が減ったので,経験も少なく育児に不安を抱いている親が多くなり,熱が出た,ミルクを飲まぬと大騒ぎになる.こうした子育てに悩む母のために,県東部・中部・西部地区にそれぞれ10か所の保育園が指定されて,地域育児相談室が開かれている.

 草薙のD保育園の園長さんから,医療関係の相談があるからとお誘いを受け,出かけた.

基本情報

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看護学雑誌
49巻6号 (1985年6月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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