看護学雑誌 37巻9号 (1973年9月)

マイ・オピニオン

看護婦の勤務時間 山口 瑞代
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 最近,週休2日制が各方面で検討され,一部の企業ではすでに実施されている.また,政府においても,学校をはじめ官公庁での実施が準備されていると聞く.

 このような時代に,われわれ看護婦の労働時間は,ほかの職業と比較してどうであろうか.現在,私は手術室看護婦として勤務しているため,特に勤務時間について考えたい.

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病気は共同体験できるか

 患者のベッド・サイドに立って,わたしたち看護婦は,病気を患者とともに共同体験できるだろうか.

 患者中心のとか,患者のための看護と,わたしたちは言う.ためのということは,どういう意味をもっているのか…….

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ハーレー街(Harley Street)

 1853年に当時のイギリスにおいて,また,ナイチンゲールの生涯においても画期的な事件が起きた.それは,ナイチンゲールが,ハーレー街のNursing Homeの監督になったことであった.

 ナイチンゲールにとって,独立してやる初めての看護の仕事であった.

ベッドサイドの看護

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 最近,医療関係者の間では,老齢患者の増加が問題にされてきているが,当病院においても,その傾向が目だち,そのなかでも,特に退院を喜ばない患者が目だってきている様子である.その理由は,複雑であろうが,現在の社会状勢からみても,今後こうした傾向はふえるだろうと予想される.

 私たちはこのような患者に対して助力の限界を痛感させられることがしばしばある.そこで,ひとりの老齢患者への援助をまとめてみることで反省と今後の助力のひとつの糧としたいと思い,取り上げてみることにした.

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 肢体不自由児の多様なリハビリテーション看護において,その最も代表的な疾患としては,まず脳性麻痺に焦点をあてるべきであろう.

 わが国,肢体不自由児施設77か所に入園する児童のうち,脳性麻痺の占める割合は,全国平均51%で,かつての骨関節結核やポリオは,抗生物質,化学薬品およびポリオ生ワクチンの登場で消退し,医学の進歩とともにそれらの病気はほとんど姿を消してしまった.

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 日常の臨床看護にたずさわっていると,予想外に長期間の入院を要し,身体的にも精神的にも不完全な状態に陥る患者が少なくないことを経験する.患者によっては医師の治療方針がしばしば変更される場合もある.このような患者に対して,私たちはいかに看護すればよいのか,具体的方策を得られないもどかしさを感じている.

 ここに紹介する患者は,食道癌手術後,吻合部縫合不全および気管支瘻を併発し,8か月間にわたり経口摂取ができず,治療方針も定まらないまま空腸瘻による栄養補給を受けていた.一方,同時期に入院し,同様の手術を受けた患者のなかには,軽快退院するものもあれば,不幸の転帰をとった人もあった.

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患者のニードを推し測り,そのニードを満たすことをめざして看護活動は展開される.そのためには患者と看護婦の間に親密な人間関係が前提として不可欠である.とくにリハビリテーションを目標とするときには看護活動を進めるうえで重要な要素である.最近私たちは言語障害があり,無気力・自閉的な患者を看護する機会を得,暗中模索のなかで自立への援助を試みましたのでご紹介します.

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I.力動精神医学の立場から

 医療そのものの姿が,近年,医学の進歩のなかで急速に変化しつつあります.そのなかでも,特に精神医学は,その取り扱う疾患の病因がいまだはっきりとつかめないものの多いこともあり,医療,特に看護について,わが国の伝統的な方法から種々の仮説のもとに,種々の新しい看護の方法が考えられてきたようです.

 このような歴史的流れのなかでも,特に私にとって印象的だったのは,わが国の伝統的な考え方である精神障害を患者個人の問題または障害と考えないで,家族・社会を含めた対人関係の中にひそむ問題の結果として,また個人の精神的発達史に大きな関係があると考えることでした.このことからすると,患者に認められる症状は,必ずしもマイナスなものではなく,患者にとってプラスの面をもっているかもしれないのです.

カンファレンス・9 九州大学医学部付属病院脳神経外科病棟

患者の安静をめぐって 伊藤 洋子
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 私たちの病棟では,毎日20分程度の患者カンファレンスと,週1回1時間の病棟カンファレンスをもっている.そのおもなテーマは,患者個々の問題点と解決策の検討,脳神経外科学,事例研究,抄読会などさまざまであり,企画・司会はすべての看護婦が受け持つている.

 患者カンファレンスの時間は,その日の病棟の状況により決めているが,朝のケアや処置が一応終了して,看護婦が受け持ち患者の状態を把握し,患者の新しい問題点を発見したり,情報を収集した時期であること,カンファレンスで新しい計画がたてられたとき,それを実施するだけの余裕をもつことができる時間,また看護婦の昼休みは11時より交替制なので,スタッフが全患者の状態を確認できるように,などのことを考慮して午前10時30分ごろから開始している.

インタビュー 小林冨美栄日本看護協会会長に聞く

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日本看護協会員にとってICNとは

 ──ICN(国際看護婦協会)の第15回大会がメキシコ市で開催され,4年後の1977年には日本での開催が決まりましたが,まずICNと日本の看護協会員1人1人との関係についてお聞きしたいのですが……

文献の紹介と考察・9

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 火曜日の朝,私は病気の世界への旅を始めました.その旅とともにウルバン病院の特別な規則を検討してみました.

 対人コミュニケーションの専門家として,私の注意は院内コミュニケーションのパターンに集中しました.私は病院の階級制の複雑なコミュニケーション・ネットワークに興味をもっていました.しかし,入院中のある夜のコミュニケーションでの私の興味は,期待はずれで,悲劇的なものになりました.あの急患室で何が起きていたか,だれが私に話したでしょう.だれがこの傷心な時間を支えてくれることができたのでしょうか.

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I.はじめに

 当病棟では,悪性腫瘍のなかでも比較的頻度の少ない陰茎腫瘍切断患者にたずさわる機会が多く,過去5年間に8例の症例を経験している.この疾患の術後,特に問題となるのは排尿姿勢の変化であり,そのすべての患者が女性と同様にしゃがんで排尿しなければならず,患者は非常にとまどっている現状にある,このなかでいかにして術前に近い排尿方法をとらせるかは看護上の重要な課題であると考え,術後の排尿補助器具のくふうと考案を試み,若干の成果を収めたのでここに発表する.

カラーグラフ 職場のユニホーム・13

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 ユニホームを私たち自身の手でデザインしてみようということで 既成のタイプから脱皮し 機能性とファッション性を取り入れました.動きやすく 軽く着くずれのしないよう考えプリンセスラインを取り入れ ゆるく飾り程度のベルトをつけバックのボタンで調節しました.スタイルは好みによって選べるようにスタンド スゥイングカラーの2種類にし そでは半そで 長そでにして 職種によって色別しました.

 素材は 適当な厚地の布でノリ アイロン不要で伸縮性があり 静電気防止加工がされております.このユニホームを着用してから仕事はいっそう楽しくなっており まわりの人々からたいへん好評を得ております.

カラーグラフ 人体臓器の正常と異常・18

消化器系(8) 金子 仁
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肝硬変症 肝臓が萎縮し 表面がデコボコになる.割面にも小さい区画(偽小葉)ができる.肝炎が治らないと肝硬変症になる.こうなると もはや助からない,腹水や脾腫が出る.通常病理学的に甲型と乙型に分ける.

グラフ 看護界ニュース

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看護の現状と問題点を国民にアッピールするために 日本看護協会(小林冨美栄会長)と日本看護連盟(関 光会長)の主催による“第5回国民の健康を守る看護大会”が6月25日 東京新宿の日本青年館ホールで開催された.

 全国からの看護婦代表のほか 患者・婦人団体・医療労働者団体・病院連盟の代表者など約1500人が集まり 自民・社会・公明・共産・民社の各党代表者を招いて 看護政策についての質疑応答と討論が行なわれたが 東京都議会議員選挙の告示を目前にして 具体的な対策を求める会場からの質問にこたえて各党代表者の答弁にも熱がこもり 盛りあがった.

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 ラジウム病棟におけるケア 放射線治療中の患者のそばで やさしいコトバをかけ全身状態を観察する.照射場所や条件を決めるのは医師であり 機械を操作するのは放射線診療技師であるが 不安やあせりの大きい患者に励ましを与え ケアをするのは看護婦である.そのためには‘放射線宿酔’などの放射線障害についての一般的な知識も必要である.看護婦自身も放射線障害から身を守るために ポケット線量計・フィルムバッヂを着用し 防護壁の側に身を置いている.

 患者の流れをスムーズにするために 外来患者の正面入口は2階にあり 1日平均350人が訪れる.その80%以上が名古屋市を中心とする愛知県内からの患者である.待合室には‘がん’についての一般向け解説のパネルが掲げられており 熱心に見入る家族・面会人も多い.

連載 看護の原点“助力論”・9

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‘過保護’援助の害

 さて,最初のほうで,現在のわたしたちが,援助を求めている人に出会ったとき,無意識的・常識的にやっている援助の方法として次の3つをあげました.

 お説教タイプ──教示的方法

連載 看護関係の心理・9

構造できまるbad object 小此木 啓吾
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愛を向ける憎しみが!

 看護者,とりわけ精神科看護者である以上,ゲルトルット・シュウィング(Gertrud Schwing)の名を知らない人はいないだろう.かつてウイーンで,分裂病者の精神療法に偉大な足跡を残した彼女のパーソナリティーは,まるで中世の聖者をほうふつとさせるものがあったという.そして,彼女が分裂病者と接触するうえで,最も基本的な態度として説いたのが,母性愛であったが,それは忍耐つよい,無私の受容(acceptance)とよび得るような‘やさしさ’であった.

 ところが,彼女や彼女の師であった精神分析医Paul Federnによってその道を開かれた分裂病の精神療法は,やがてウイーンからアメリカへとその舞台を移すのだが,この推移とともに,Federn,Schwing式の接近が必ずしも妥当ではないという臨床経験が注目されるようになった.

連載 死と看護・9

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心身医学の立場

 前回は,看護場面における患者との人間関係について述べました.信頼関係をもつということについて考えてみました.今回は,心身医学的なアプローチによる,患者を中心にした治療関係をみてゆきたいと思います.

 急に驚いたり,好きな人に会ったりすると,私たちは‘心が踊る’思いをすると言います.実際には,心臓の鼓動も激しくなり,脈の速くなっていることも自覚しています.また気の合った者同士が集まって食事をすれば非常においしいし,食欲もまた出ます.反対に,腹をたてたり,心配ごとがあったり,好きでもない場所に出かけなければならないようなときには,食事がおいしくないし,食欲は落ちて,ときには胃の痛くなることもあります.また,胃が痛かったり,指の先にちょっとしたトゲが刺さったりしても,なんとなく気分がすぐれなくて,人の話すことも十分に聞けないし,たいした用事を頼まれた訳でもないのについ腹をたてたりします.

連載 医学と文明・9

創造的育児 水野 肇
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人間には育児本能がない

 自分の産んだこどもを殺してコインロッカーに入れるという犯罪がふえている.ひとむかし前の入にはおよそ想像もつかなかったもので,たびたびおきるこの種のニュースを聞いて唖然としている人は多いだろう.しかし,私はこの種の‘実子遺棄’のような犯罪は今後もふえるのではないかと思っている.

 それというのは,人間には本来育児本能がないために,本能的にこどもを育てるのではなく,こどもは人間の場合には創造的に育てるために,こどもを育てるという創造的意欲がない場合には実子遺棄になるという可能性が強いといえるからである.人間には育児本能があると言い張る人がいるが,それは‘本能’というべきものではない.この点については,いずれ順を追って説明する.

2色ページ 統計

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日本の社会保険は,年金保険・医療保険・失業保険そして業務災害補償保険の4つが主たるものである.1972年度の収入額からいうと,その金額の大きさは上述の順序である.年金保険の1年だけの収入がなんと3兆円,医療保険もこれに劣らず約2兆6千億円という巨額の収入である.社会保険といっても,この2つが膨大な金額で,その他は金額的にはかなり影が薄く感じられる.

 1968年からの5か年間で最も急増したのが年金の収入で‘年金時代’といわれるゆえんである.もちろん,医療保険の支出額増加もあなどれない.1968年から1972年までわずか5か年間に,その収入額は約2倍にはね上がっている.私たちの保険料もそれだけ多くなっている.これに応じて診療報酬や医療従事者の給料も大きく増えたのかどうか.その点は,宿題として残しておくことにする.

2色ページ 老年病学・9

老人の呼吸器疾患 福島 保喜
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 呼吸器には外呼吸を営むために必要な全ての器官が含まれることになるが,ここでは肺を中心に,とくに老人の場合を考えてみることにする.もちろんこのような場合にも老人には胸郭の変形の問題がいつでもついてまわるのであって,これを切り離してしまえば老人の特徴が大きく消えるといっても過言ではない.

 呼吸器病学一般の立場からは老人にのみ特別に発症する疾患はない,というのが大方の見方である.しかし老人であればこそ,他のいい方をするならば多くの年月を経た呼吸器であるからこそ,年齢という条件とあわせて常に考慮されなければならない疾患も確かにある.同時に同じ疾病であっても老人に起こっているということで,その経過やその療養生活の中の補助指導にいっそう注意の払われねばならぬ事柄もある.

2色ページ 症状の病態生理・6

嘔気,嘔吐 中野 昭一
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嘔気(Nausea),嘔吐(Vomiting)とは

 いろいろの病気の症状や種々の薬物の副作用として,ごく一般的にみられる症状の1つに嘔気,嘔吐がある.

 嘔気とは,今にも嘔きそうになる切迫した要求であって,いわゆる“むかつき”という感覚であろう.一般に嘔吐運動に先んじて現われ,咽頭後壁や,胃・十二指腸付近に一種独特の不快感があり,食欲がまったくなくなり,むしろ食物をみることによって,さらに嘔気が助長されることが多い.

2色ページ 人間発達学入門・2

生物としての赤ちゃん 上田 礼子
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人間の赤ちゃんの特徴

 人間は動物の一種なので,生物,動物の世界に存在する自然の法則からのがれることのできない運命にある.ここでは人間の赤ちゃんが,他の動物の子どもに比較してどのような特徴をもっているのかについて述べてみたい.

 まず,いろいろな動物について,出生時にその大人と同じ能力をどの程度備えているかについて比較してみると,大まかに2つの極に分けられるという.一方の極に属するものは,離巣性の動物といわれ,出生後まもなく大人と同程度の能力をもっているものである.たとえば,哺乳類では,ウマ・ゾウ・ウシ・キリン,鳥類では,ニワトリ・カモ・シギなどであるが,ウマは出生後,数時間経たないうちに母ウマから離れて自由に動きまわるというぐあいである.他方の極に属するものは留巣性のものであり,出生時に感覚器官は機能しておらず,運動能力も未熟で親の保護なしには生存できない動物たちである.たとえば,ウサギ・リスなどがそれである.このような離巣性と留巣性との間にはもちろんいろいろな段階のものはみられるのであるが,動物の種類によってその型が決まっている.

2色ページ トランスファー・テクニック・2

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 前回にひきつづいて,トランスファーの方法についてまとめてみる.全介助の場合の方法と,独力(部分介助,要監督を含む)の場合の方法のうち,ここでは独力(部分介助,要監督を含む)の場合のトランスファーについて,片マヒと対マヒに分けてあげてみる.

 今までに紹介されたトランスファー・テクニックについてまとめることがねらいであったが,結局その一部を列挙したにすぎない.次回より当リハビリテーション医学部運動研究室,にて作成したトランスファー・テクニックのスライドとテキストに基づいて,順次紹介してゆくことにする.

基本情報

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看護学雑誌
37巻9号 (1973年9月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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