ベッドサイドの看護
対人関係に悩む精神科患者への援助
平岡 慶子
1
1杏林大学医学部付属病院精神科病棟
pp.1137-1146
発行日 1973年9月1日
Published Date 1973/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916751
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I.力動精神医学の立場から
医療そのものの姿が,近年,医学の進歩のなかで急速に変化しつつあります.そのなかでも,特に精神医学は,その取り扱う疾患の病因がいまだはっきりとつかめないものの多いこともあり,医療,特に看護について,わが国の伝統的な方法から種々の仮説のもとに,種々の新しい看護の方法が考えられてきたようです.
このような歴史的流れのなかでも,特に私にとって印象的だったのは,わが国の伝統的な考え方である精神障害を患者個人の問題または障害と考えないで,家族・社会を含めた対人関係の中にひそむ問題の結果として,また個人の精神的発達史に大きな関係があると考えることでした.このことからすると,患者に認められる症状は,必ずしもマイナスなものではなく,患者にとってプラスの面をもっているかもしれないのです.
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