連載 死と看護・9
死の看護の実際(2)—心身医学的看護
河野 博臣
1
1河野胃腸科・外科医院
pp.1200-1207
発行日 1973年9月1日
Published Date 1973/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916763
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心身医学の立場
前回は,看護場面における患者との人間関係について述べました.信頼関係をもつということについて考えてみました.今回は,心身医学的なアプローチによる,患者を中心にした治療関係をみてゆきたいと思います.
急に驚いたり,好きな人に会ったりすると,私たちは‘心が踊る’思いをすると言います.実際には,心臓の鼓動も激しくなり,脈の速くなっていることも自覚しています.また気の合った者同士が集まって食事をすれば非常においしいし,食欲もまた出ます.反対に,腹をたてたり,心配ごとがあったり,好きでもない場所に出かけなければならないようなときには,食事がおいしくないし,食欲は落ちて,ときには胃の痛くなることもあります.また,胃が痛かったり,指の先にちょっとしたトゲが刺さったりしても,なんとなく気分がすぐれなくて,人の話すことも十分に聞けないし,たいした用事を頼まれた訳でもないのについ腹をたてたりします.
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