看護学雑誌 28巻13号 (1964年12月)

特集 ナースと社会的評価

ナースをみる社会の目 西 清子
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世界的なナース不足

 ちかごろ,看護婦さんがたいへんに不足しているという。どうやら,なりてが少ないということらしいのだが,これは大問題だとおもう。私個人についていっても,いまは健康で元気だけれどもいつ,大病をして入院をし,看護婦さんの厄介にならないとはかぎらない。こんな交通地獄の世の中では,また,いつ大けがをするかも知れない。そんなとき,お医者さんはもちろんのことだが,何といっても,だいいちのたよりが看護婦さんである。それなのに,病気をしても,けがをしてもその何よりのたよりの看護婦さんの数が少なくって,ということになると,オチオチと療養どころではないだろう。それに看護婦さん自身も,そう数が少なくては,一人一人の負担が大きくて,仕事の責任を十分に果たすことができたないろうし,からだの方も大変である。

 それにしても,どうして看護婦さんの数が,欲しいだけ集らないのだろうか。これは何も看護婦さんだけでなく,いまは,どこの職場も,とくに年齢の若い人は欲しいだけ集らないというのが実情だから,ここだけの問題ではないかも知れないけれども,いま一つ,看護婦不足という現象は,やや世界的な共通の問題となりつつあることに,やはり何か考えさせられることがあるようにおもわれる。

看護婦の社会的地位 米山 桂三
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職業と社会

 個々の社会成員は,職業を媒介として社会的共同生活に結びついているといわれるが,社会生活が複雑化し,職業の種類が多岐にわたるようになった近代社会においては,職業の社会的意義が一段と増してきたように思われる。

 一般に職業とは,それを通して個々の社会成員が,おのおのの個性を発揮しながらも,そのことが社会生活全体の連帯性を高め,同時に職業が,これに携わるものの生計を保障するという意味で個人主義を基調として発達した西欧の近代的経済体制の下では,職業こそは人間の社会的地位と役割を決定する重要な基準であるとさえ考えられている。

看護婦の歴史的位置づけ 富岡 次郎
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 看護婦の不足は日ましに深刻になり,現在ではどうにもならないせっぱ詰ったところにまでたち至っている。それにたいし,一方ではもはや我慢できなくなった国立大学病院の看護婦たちは,国民の医療と自らの健康をまもるために,「夜勤制限」についての行政措置要求を人事院に提訴した。他方では,日本看護婦協会は昨年保助看法改正の要望書を厚生省に提出し,看護体制を根本的に改変しようとしている。今や看護体制のあり方について根本的に検討すべき時点にある。そこで筆者は日本の看護婦の歩んできた道を歴史的背景との関連において考察し,その問題点をさぐってみたい。

戦前における看護制度の展開

官製看護婦の養成

 目本における看護制度の歴史は,第2次大戦の終戦を劃期として,戦前と戦後に大きく分けられる。まじ戦前の歴史から考察する。

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 去る3月より8月まで約5か月にわたって,W.H.O.フェローとして,オーストラリア,ニュージーランドをみる機会を得たのでここでは両国におけるナースの社会的地位という観点からその現状を述べてみたい。

女性の職業としてみたナース

 女性の職業への進出はあらゆる方面にわたっており,メルボルン,シドニー,ニュージーランドのヴィクトリアの各大学においても女子学生が大勢学んでいたし,医学部においても女子医学生がかなりみうけられた。女性の職業として自分の能力を伸ばしていく上で大半を占めるのは,何といってもやはり,教師とナースである。殊にニュージーランドにおいては,国としての産業が余りないため,社会保障の下で医療には国の責任というか関心は大きく,従ってその中では,多くのナースがよい待遇をうけて元気に働いている。古い歴史のある大病院付属の看護学校では,若い女性が多くナースを希望するので,応募者のための受付簿にぎっしり名前がかかれている。年に4回,1回に4,50名採用し,一定の訓練期間の後看護学生となるのだが,1,2年のうちに約半数に近いものが結婚や転職のためにやめていくので結果的には不足をきたしている。

世界のナース気質 杉森 みど里
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 日本のような単一民族国家でなく,元来複合民族国家であるアメリカ,しかもその巨大な富の上に築かれた技術と学問に慕い寄る世界各国からの渡米者は,この国をまるで人種の展覧会のようにしている。ナースもまた例外ではない。私は滞米2年の生活中,諸外国から集ったナースとめぐり合い,語り合い,その人たちと友情を暖めることのできたのは一つの大きな収穫であった。その一端を思い出すままに手繰り寄せ,綴り合せて,各国のナースの絵模様を描き出してみよう。

フィリッピン

 米国の属国であるとまでいわれるこの国からの入国者は極めて多く,私の最初に出会ったのもこのフィリッピン人。ペニタ・ピッピは高校卒業と同時にロスの大学で看護学科をあえ,2〜3年働いて同国からきた技士と結婚することになっていた彼女は熱心な旧教徒で,週3回早朝のミサに出てから出勤する程だったが,何やかやと私の生活面にいろいろと忠告して,私を驚かせ,またいたく感心させもした。必ずお弁当持参で出勤する彼女は,昼食に80セントも支払うのは不経済だと私をさとし,さらにサンドイッチの紙袋は一食毎に捨てずにきれいにたたんで持ち帰り身を持って教える。休日等当宿の私は洗濯場で彼女に出会うことも多く,ある日私の糊づけを横から見ていた彼女は,余った糊を捨てようとした私に「何故それを捨てるの?きれいに洗ったものにつけた残りだから,きれいでしょう。捨てないで次まで取って置きなさいよ」と意見する。

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 清潔な明るい部屋,壁も,カーテンも,ベッドカバーの色もあたたかい感じで,色とりどりの花が美しく病室をかざっている。窓からは明るい太陽がさしこんで,ベッドに横たわる患者さんの表情も明るい。何の心配もなく,安心して療養に専心できる,そんな社会保障制度の完備した国々では病院の看護サーヴィスはどんな風に行なわれているのだろうか。赤道を中心にして,日本とほぼ対称の地点にあたるオーストラリアとニュージーランド,そんな遠い国の,いままであまり知られていない看護サーヴィスの実態を,写真を通しみなさまにご紹介したいと思います。これらの写真は,にわかカメラマンの私が,病院を訪れたとき写してきたものです。カメラ技術のよくない点はおゆるし下さい。

看護と経済・7

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看護に対する公共資金

 直接的にあるいは間接的に,連邦,州,地方の段階で使用されているものは,看護サービス,看護教育,看護研究の支援の重要な資源を代表する。この支援をそなえることで政府はさらに看護の将来の発展に大いに影響を与えている。そうであるから政府が看護に対してお金を使う方法をよく見たり,それが設置される先例をつくるのは義務である。

 相当な額が,看護サービス,すなわち,看護の給料に支払われている。政府はある種の疾患,たとえば,結核,精神病の患者の病院の世話をするのに主な資源をそなえ,合衆国の総合病院や他の特殊病院の1/3以上のものに少しの支配力がある。

精神身体医学講座・8

心身症の治療(1) 前田 重治
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精神療法と薬物治療

 心身症の治療を大別すると,精神療法と,薬物その他による身体的な治療とに分けられます。精神療法には,(1)積極的に説得や再教育,暗示などを与えて支持したり,訓練したりしてゆく方法と(2)抑圧され,うっ積している情動を自由に発散させたり,病気の背後にひそんでいる原因を探求してゆき,性格を建て直すようにしむけてゆく方法などがあります。(1)は,治療者の側の働きかけによって患者を支持し,適応力を強めてやるという意味から,「おおう方法」とよばれ,(2)は,心のもつれとなっている問題を,患者中心に探求して除いてゆくという意味から,「おおいをとる方法」とよばれることもあります。一方,このような精神療法と併行して,精神治療薬(リビリウム,プロクロールペラジン,クロールプロマジンなど)や,一般の薬物など身体的な治療が用いられます(第1表)。

 さきに心身症とは,「心理的なとりあつかいが重要な意義をもつ身体疾患」であるとのべてきました。それでその治療には,精神療法を行ないさえすれば片づいてしまうと考えられがちです。たしかに治療の過程で,ある時期には心理的な面に力をいれて治療をすすめることがあります。しかしある時期には,身体的な治療を中心に治療してゆくこともあります。いずれにしても,心身両面から病気をたえず多角的に,統合的に考えてみてゆくという立場を失なわないことが大切です。

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 「海外の看護」ことに「アメリカにおける看護」はすでに多くの先輩によって紹介され,現にわれわれの看護の動向に大きな示唆を与えてきていることは周知のとおりである。

 幸い,私も1962年9月から1か年間,ニューヨーク大学看護学部と,その実習病院である,ニューヨーク市立ジュームス・コーウイング病院において「アメリカの看護」を学ぶ機会を与えられ,さらにその帰路ロンドン市内,聖バーソロミュー病院において短期間ではあるが「イギリスの看護」を実習する機会を得たので,この両者を比較紹介しあわせて日本の看護を考えてみたいと思う。

Nursing Study

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 産婦人科学の領域において,月経周期と関連して,婦人体温がわずかながら変化することは,割に古くから知られてはいたが,近年Rubensteinなどがその測定法を考案して以来,基礎体温が診断の補助や治療上の指針として,重要な意義を持つことが認められるようになり,臨床的にも種々の目的で利用されるようになった。では,この基礎体温とはどんなものであろうか,またどんな意義をもつものであるか,こうしたことをより十分に理解した上で,より正しく患者の指導にあたることが,産婦人科診察室に勤務する看護婦の大切な役割の一つと考えていろいろ勉強し研究してみた結果を,不十分ながらここにまとめてみた次第である。

1.基礎体温とは何か

 基礎体温の基礎というのは,基礎代謝における基礎と同様の意味をもつもので,筋肉運動,飲食,精神活動などのいずれをも伴わない状態で測定された,基礎的な婦人体温という意味である。すなわち,その目的のために成熟婦人が毎朝覚有時に,就床のままで口腔舌下検温を行なって,得られた体温測定値を特定の温度表に毎日連続記入すると,月経周期の間に生理的な体温曲線の変化が明瞭に現われ,しかもこの体温曲線が,女性の内分泌機能と密接な関係を持っていることが明らかにされて,基礎体温と呼ばれ重要視されるようになったわけである。

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I.この症例を取上げた理由

 ①非常に症例の少ない疾患であること。

 ②疾病および看護面に興味があった。

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 抗結核剤C. S. が精神神経系統に作用するといわれていますが,まだその症例も少なく私どもの研究課題の一つです。たまたまC. S. による精神障害患者の看護に遭遇しましたのでその状態,看護についてまとめてみました。

 患者氏名 ○中○子 性別 女

統計

日本人の体格 西 真楠
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 昭和37年5月の国民栄養調査によると,わが国の国民の身体発育状況は上図の如くである。総括的にいって,11歳頃までは女は男を少し下廻りながら,類似の曲線を描いて発育しているが,その後13歳ぐらいまでは一時女の発育が優る。そして女は16歳ぐらいで発育が停滞するが,男はさらに19歳ぐらいまで発育をつづけてのち停滞する。発育の完了時の状態で男女を比べてみると,身長では男が164〜165cmであるのに対し女は153〜154cmと男の約93%であり体重では男が55〜56kgであるのに対し女は49〜50kgと男の約90%である。なお,脚長は男75cm,女68〜69cmで,男女とも身長のほぼ45%である。また胸囲は男85〜96cm,女81〜82cmで,女は男の約95%と性差が少ないが,身長に対する比はやや女が大きい。

看護婦さんへの手紙

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 「看護婦物語」というTV番組が好きで,はじめから今日まで欠かさないように見てきました。とくに看護婦という職業が好きだというわけではありません。第一,日本の看護婦たちが,このアメリカのTV映画の彼女らとそっくりな状況にあるかどうかもわからないでしょう。このTV映画のおもしろいところは,看護婦というひとつの独特な女性の職業に限られず,組織の中で働く現代人一般の問題,ことに職場という非常に現代的な世界のなかの個人の自由の問題がよく出ていると思われることです。

 私がいつも気持よく見ていることは,ルーカスという正直な看護婦実習生が,病院や病院のおとなたちが変な考えをもち,変な行動をしようとしていると思うと,心から心配して,自分の心配を解決しようとがんばることです。彼女の方がまちがっている時もあるわけですが,自分の属している病院という組織が,自分の考えなりにでも健全に運動していくように願っているルーカスの姿は,彼女がこの大病院にとってはまったくとるにたりない存在であるだけに感動的です。

ポイント

反省 二木 シズヱ
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 この1年間,私は医学書院の編集室の人たちの好意と,多くの若い看護婦さんの支援の手紙にはげまされて,日頃私の感じていること,考えていること,願っていることを書いてみた。もろもろの厚い壁にぶつかりながら足ぶみする時も,あとずさりする時も,看護が私を魅惑してはなさなかった。否生きるという尊さが,人間という未知なるものへのあくことなき探求心が,看護婦という職業をとおして私を捕えてしまったのかも知れない。

 住みにくい日本の中にも,腹がたつことの多い世相の中にも,真直ぐにのびようとする足音が,私を勇気づけてくれた。

患者とともに

プラスαの看護 小林 富美栄
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 私の勤務は午前8時から午後4時までの8時間である。勤務時間の間,患者の傍をはなれるのは,自分の食事時間と記録をする時間で,だいたい1時間くらい(時には食事が1時間くらいになることもあるので,そのような日は5時近くまで働くことにしている)である。

 このように,私自身にしてみれば極めて忙しく働いているのだけれども,なおあれこれと,看護の上にはサービスに心残りを感じている実情である。

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なぜ准看教育学会ができたか

 この5月,准看教育学会(全国准看護婦学校教育学会)が発足したのをご存知の方も多いであろう。准看教育については,看護教育制度が云々されるとぎも,ともすれば中心がいわゆる高看教育の短大化へと論じられがちである。しかし量的にも,また施設勤務外のクリニック准看護婦の占める位置は大きく重い。

 その教育実態はどうか。この会は何を目ざして結成されたか。初の学会長に就任された東京・新宿医師会准看護婦学校教務主任今井敏子さんにうかがってみた。

特別レポート

看護婦と生理休暇 菅谷 章
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(1)生理休暇の保護規定ができた理由

 先進諸国にも例をみない生理休暇の規定が注1),わが国でなぜ法認されるようになったのであろうか。その立法の趣旨を一口にいえば,わが国の女性のおかれている特殊な社会的・経済的条件や職場環境を考慮してもうけられたものといえよう。

 わが国のように女性の社会的地位が低く,家庭内の労働負担を負わされているところでは,女子の就業は,それだけ女子の労働を重課させ,疲労の増大をもたらすことになる。そこで職業婦人の健康保持と母性の健全をはかるため,過重労働による弊害を少しでも軽減せんとの配慮から,とくに生休を法律で認めるようになったのである。けれども折角設けられた保護規定も,その裏付けとなる休暇中の賃金がなんら定められていないので(後述)生理休暇を設けた主旨は実際上十分生かされているとはいえない。また女性の賃金が男子に比べ不当に差別されている現在では,有給の生理休暇も決して女性が特別に保護されているということを意味しない。むしろ生理休暇中の賃金が有給であったとしても,なおかつそれは女性の低賃金の穴埋めというほどの代償とはなっていないのである。つぎに看護婦の生理休暇の実状について触れてみよう。

連載 新・ナイチンゲール伝・9

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16.兵士たちの送金

 こうした労苦と闘争のうちに,冬がすぎ,春が来て,6か月の月日がたちました。1855年5月になると,スクータリの病院もようやく改善されて,息を吹き返したばかりでなく,秩序と清潔とを獲得し,物資は豊富に敏速に給与されるし,衛生施設も行きとどいて来ました。

 最初は42%だった死亡率が,いまは2.2%,つまり1/20にさがったのでした。

医療の焦点

医学教育はこれでよいか 水野 肇
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 全国大学医学部長会議は,10月13日「現行のインターンは廃止すべきである」という決議をした。インターン問題は,これまでもたびたびここでとりあげたのでくわしいことはさけるが,“いまのインターンでは,十分なことができず,インターン生をアルバイトにかり立てて,重要な1年間をあまり意味のない生活で終わらせてしまう”というのが理由である。だが,席上インターンに関連して,いまの医学教育制度についても大いに議論されたという。医学部学生 インターン 医局生活というのは,当然1本の筋として考えられるべきものでたまたま,インターン生の“さわぎ”がおきたから,インターン問題が焦点となっているわけで,このさい,医学教育制度が徹底的に論議され,前進することは,非常にたいせつなことだといえよう。

各教室独立した医学教育の現状

 いうまでもないが,いまの医学教育は,明治初年に輸入されたドイツ式医学が,多小の変遷はあったにせよ,根底として流れている。そこから来るいろいろの問題がでてきているともいえよう。

Medical Topics

胃冷凍法,他 R.T.
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 これまで吐血を認めた胃潰瘍患者の場合,安静,心窩部の冷罨法等が行なわれていたが,最近このような場合に胃冷凍法が行なわれて,かなりの好成績が報告されているので紹介したい。

 1958年Wanglensteenを中心とするMinnesota大学のグループにより始められた。この方法は,胃内部を冷却することによって胃内の酵素活性を低下させて潰瘍の安静をたもち,合せて胃液分泌を抑制しょうとするものである。方法は,二重管の尖端に風船をつけたものを胃内に入れ,注入管から冷却した液を風船内に注入して胃を冷却し,胃内で加温された液を流出管から排出し,還流するものである。

想園

大病院に就職して 円山 晴海
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 学院卒業後私たち40人は東京の大病院下に就職した。そこで知ったのは医療の最大目的は黒字経営であること,またその目的を達成するためにどの病院も企業化の道を着々と歩んでいることだった。現在の保険制度からすれば赤字が当然であるのに対し,経営者は黒字をさけぶ。このしわ寄せは微力な看護にくるのは明らかだ。私たちナースは企業体の中の小さな一個の歯車に過ぎない。疲れて油が無くなればギーギーと音を立てながら磨滅し落伍し惰性で仕事をするようになる。この惰性のなかに,看護というものがあるだろうかと疑問を持つのは私一人ではないでしょう。この問題の多い病院経営の中で,より身近な問題点を一看護婦の目で拾ってみよう。①低サラリー,3年間の専門教育また労働力に比して安すぎる。②重労働,業務分析は完全に行なわれず,事務,看護助手の業務もナースが行なわなければならない。ナース1人に対して患者数が多い。⑧変則勤務,遅出早出準夜深夜は1カ月の半分におよぶ。これらは他の職業に類の無い時間拘束である。④時間外勤務が多い,重症患者が多い。ナースー人で受持つ患者が多すぎる。⑤寮または宿舎,一室に数人もっとも大切なプライベートな時間が無に等しい。だが上記の理由から考えて下宿する能力もサラリーもない。低サラリーであるために夜勤時間外勤務を多くする。この悪循環が私たちの肉体をむしばみ,若いエネルギーを消耗させるのだ。

制度改正に必要なこと 大村 美代子
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 9月号の特集「看護制度=その問題点と動き」は私にとってたいへんためになった。とともにこの問題に対してどのような考え方をしたら良いのかがわかったような気がしました。

 2年前に進学コースに入学し,今秋やっと長い試練の期間を終えて卒業し,9月から勤めに出ています。私たち在学中に「保助看法改正案」なるものが出され私たちも例にもれず,将来自分たちが生きていく看護界に対して無関心ではいられず,学生の立場から准看時代の臨床での経験等も加えて話し合い議論しました。そしてそれを要望書として看護協会に提出したわけですが,その内容を考えますと,改正案として示されたものであるのに私たちはそれが実際に昭和43年度から実施されるような錯覚にとらわれ,改正案を批判したとはいえ,それが末端のことに対する批判であり,実施の困難さを指摘したりで,改正案が出された,という根本的なものへの批判ではなかったのです。もっとはっきりいうならば現在の時点においてこの改正案を出すということに,はっきりと反対ということをいえなかったのです。ただ,生半可な知識しか持たず,いかに以前准看として働いていたとはいえ,現状の労働条件,職場の状態がどう変ってきているかなどについて正しく把握せず,正しい判断力を持ちあわせていなかったために,ただあわただしい現在の動きにふりまわされてこのような結論をしたのかとも考えます。

准看護婦の会を 殿山 久枝
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 現行の保健婦,助産婦,看護婦法が実施されてから早やくも10余年の歳月が流れた今日,准看護婦から正看護婦への昇進問題が大きくクローズアップされていることは,時期的にあまりにもおそ過ぎた感じがする。

 なぜ今ごろこんな寝言めいたことを騒ぐのであろうか?

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 コロンブスのアメリカ発見,マゼランの世界一周など,地理学上の冒険は,18世紀でおわってしまった。新大陸であるアメリカでも,西部開拓の波が太平洋まで達すると,本当の意味でのフロンティヤーは,もうどこにもなくなってしまった。一方科学の発達は,おばけや神秘の世界をつぎつぎに明るみに出し,今日の子供たちは,情緒的なおばけには驚かなくなってしまい,この世はまことに散文的でしかなくなった。

 日本の近代小説は,ヨロッパの自然主義の流れをうけて成長したうえもともとこれ以上発展しようもない狭い島国のなかで,重くるしい家族制度の枠にはさまれて,ひしめいているところから生まれたのであるから,ハツラツとした行動の文学は,望んでも得られるはずがなかった。それを補うかのようにいわゆる大衆文学の世界では,秀吉や鞍馬天狗や机竜之助が,さっそうと活躍していたが,その活躍の舞台はきまって戦国時代か幕末の動乱期だった。作者も読者も,今日われわれが生きている社会には,たとえば,鞍馬天狗のような人物が縦横無尽に活躍する余地がないということを,はっきり知っていたのである。その事情は,現在でも同じことで今後ますます,こうした傾向が強まるとしか思えない。

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手を合わせ痛みを告ぐる細き声なぐさめの言葉もなく注射うつ

 〔評〕初句,痛いまでになまなましい。現代の医学ではどうする事もできない生の苦しみをみつめるのみである。

附録

看護手順—産婦人科
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 3.麻酔剤の用意をする。

 4.子宮破裂の前駆症状に注意する。

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基本情報

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看護学雑誌
28巻13号 (1964年12月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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