看護婦さんへの手紙
組織の中の自由—看護婦物語をみて
岡本 博
1
1サンデー毎日
pp.13
発行日 1964年12月1日
Published Date 1964/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912457
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「看護婦物語」というTV番組が好きで,はじめから今日まで欠かさないように見てきました。とくに看護婦という職業が好きだというわけではありません。第一,日本の看護婦たちが,このアメリカのTV映画の彼女らとそっくりな状況にあるかどうかもわからないでしょう。このTV映画のおもしろいところは,看護婦というひとつの独特な女性の職業に限られず,組織の中で働く現代人一般の問題,ことに職場という非常に現代的な世界のなかの個人の自由の問題がよく出ていると思われることです。
私がいつも気持よく見ていることは,ルーカスという正直な看護婦実習生が,病院や病院のおとなたちが変な考えをもち,変な行動をしようとしているナと思うと,心から心配して,自分の心配を解決しようとがんばることです。彼女の方がまちがっている時もあるわけですが,自分の属している病院という組織が,自分の考えなりにでも健全に運動していくように願っているルーカスの姿は,彼女がこの大病院にとってはまったくとるにたりない存在であるだけに感動的です。
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