特別レポート
看護婦と生理休暇
菅谷 章
1
1厚生省病院管理研究所
pp.41-43
発行日 1964年12月1日
Published Date 1964/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912464
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(1)生理休暇の保護規定ができた理由
先進諸国にも例をみない生理休暇の規定が注1),わが国でなぜ法認されるようになったのであろうか。その立法の趣旨を一口にいえば,わが国の女性のおかれている特殊な社会的・経済的条件や職場環境を考慮してもうけられたものといえよう。
わが国のように女性の社会的地位が低く,家庭内の労働負担を負わされているところでは,女子の就業は,それだけ女子の労働を重課させ,疲労の増大をもたらすことになる。そこで職業婦人の健康保持と母性の健全をはかるため,過重労働による弊害を少しでも軽減せんとの配慮から,とくに生休を法律で認めるようになったのである。けれども折角設けられた保護規定も,その裏付けとなる休暇中の賃金がなんら定められていないので(後述)生理休暇を設けた主旨は実際上十分生かされているとはいえない。また女性の賃金が男子に比べ不当に差別されている現在では,有給の生理休暇も決して女性が特別に保護されているということを意味しない。むしろ生理休暇中の賃金が有給であったとしても,なおかつそれは女性の低賃金の穴埋めというほどの代償とはなっていないのである。つぎに看護婦の生理休暇の実状について触れてみよう。
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