看護学雑誌 25巻8号 (1961年8月)

特集 夏の衛生 夏季に起こりやすい疾病とその予防

内科について 宮原 正
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 日本のように四季の区別のはつきりしている国では,季節によつておのずから疾病の様相も異なつてくる。夏はとりわけ伝染病その他多くの病気にかかりやすい季節である。人びとは暑さにうだり,寝不足になやみ,とかく心の鍵をはずして,健康管理がおろそかになる。あまつさえ水泳,登山などのレクリエーションに伴う不測の事故や,交通事故なども激増の傾向にある。とつさの場含どうしたらいいか—救急処置をふくめて,夏季に起こりやすい疾病とその予防につき,各科の先生からカルテをいただいた。これだけは知つておきたい,夏の衛生の小特集である。

小児科について 吉田 久
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 夏期に比較的多くみられる小児の疾患のうち,代表的なものをいくつかあげ,その予防・救急処置などにつき簡単に解説してみよう。

 感染症は小児疾患として見逃すことのできないもののひとつであるが,夏期に多いものとしては赤痢,疫痢がまず頭に浮かぶ。ポリオも夏期の疾患である。いずれも径口感染症である。夏には,感染症のうちでもこのような径口感染の病気が比較的多いのである。また感染にも関連のある小児疾患として消化不良症がある。消化不良症は以前には梅雨時から夏にかけて最も多く,しばしば重症となつて大変おそれられた。最近では一般に重症例が少なくなり,発生にみられた夏季の山もいちじるしく減少した。しかし,やはり一応注意しておく必要があらう。簡単にふれよう。

外科について 幕内 精一
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 夏は山に海に,あるいは高原のハイキングに身体を鍛える絶好の季節である。近年レジャーブームにのつて老いも若きも盛んに出かけるようになつたが,楽しいレクリエーションも一寸した不注意から思わぬ不幸を招くことがある。したがつて夏に起こりやすい病気や外傷を知つておき,これにたいする応急処置と予防法などを理解しておくことは,われわれの務めでもある。

 1.陽やけ

 冬から春の生活をへて夏にはじめて海水浴に行つたとき,急に強い日光に長時間さらされると,とくにこの陽やけがはなはだしく悩みの種になる。皮膚は真赤になり,海水浴から帰つた夜は強い痛みで寝がえりも自由にうてないほどである。広範囲の皮膚が「陽やけ」したときは発熱することもあり,ときには重態に陥ることさえある。これは太陽光線のうら,紫外線が一番強く作用するためである。この紫外線は高い山ほど豊富であるから登山でも陽やけする。ただ,海水浴のように裸にならないので顔面,手など小範囲にとどまるので大したことはない。

皮膚科について 安田 利顕
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1.アセモ(汗疹ならびに汗疹性湿疹)

 小児に多い。暑い日,とくに湿度が高くてむしむしする日に,急に汗をかくと起こる。厚着をさせた幼児では,とくに多い。汗が汗管を通して,ヒフの表面に流れ出ないときにおこりやすい。これには,第1図のように,二通りある。汗口の直下に汗がたまつて,小さな水ブクレをつくつてくるものと,真皮から表皮にはいる部分に水ブクレをつくるものである。いずれにしても,アセモは,小さな水ブクレが全身にできてくるものであるが前者は白い水ブクレとして,後者は紅味をもつている。白いアセモと紅いアセモである。このちがいは,水ブクレのできる場所のらがいによるものである。

 こういつたアセモでは,かゆみがほとんどない。ただ,乳児では,発熱することがある。ところが,この水ブクレが破れて,汗がヒフのなかにしみこんでいくと,かゆみが現われてくる。ひつかいているうちに湿疹化してくる(汗疹性湿疹)。

耳鼻咽喉科について 小川 常二
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1.耳科疾患

 外耳炎

 耳鼻咽喉科領域において,夏期に起こりやすい疾患として最も多いものは,なんといつても外耳炎であろう。これは夏季高温多湿で汗をかきやすいので皮膚疾患が多くなるが,その部分的疾患として外耳炎と,一方には子供は夏期水泳をするのでとくに外耳炎が多くなり,外来患者の2〜3割は外耳炎患者であるほど多い。海水浴後は淡水で泳いだ以上に外耳炎が多いという統計もある。症状的特徴としては耳介を引つ張つたり圧したりすると強い疼痛を感じることであり,ときには耳漏も出る。中耳炎では決して耳介部を引つ張つたり圧したりしても疼痛はない。これは圧力が中耳迄は及ぼないからである。以上のようにして痛みを覚えるときは外耳炎と考えてよい。外耳炎には2種類あり,瀰漫性外耳炎いわゆる外耳の湿疹と,限局性外耳炎,すなわち耳節の2型がある。

 瀰漫性外耳炎(外耳湿疹):顔面湿疹の一部としてよく乳児などに見られるが,また単独にも水泳後などに起こる。処置は外耳道を清拭して軟膏塗布,スルファミン剤,抗生物質の投与で治癒するものであるが,ときには慢性で治りにくい場合は副腎皮質ホルモンやX線照射が著効を奏することがある。

眼科について 杉浦 清治
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 夏の眼の衛生を問題にするときまずとりあげなければならないのは,強い日光光線の眼に与える影響とこの季節に多い伝染性急性結膜炎の問題とである。以下これらの問題点を少しく述べてみる。

 1.強い日光光線の影響

 1.まぶしさ

 強い日光光線が眼に入ると,「まぶしさ」を感ずる。「まぶしさ」を表わす医学用語には眩輝と羞明とがある。

とびら

節度を保つ 金子 光
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 最近のけつ作に,婦人議員達の協動作業でできあがつたいわゆる通称「トラ退治法」があることは,男性も女性も大いに関心深く,銘記されていることと思います。トラ退治もさることながら,もつとおそろしくて迷惑な「狼退治法」を,次にはつくつてほしいなどと考えているのは私ばかりではないでしよう。が,これは別として。

 さて,この「トラ退治法」の第2条に,「すべて国民は,飲酒を強要するなどの悪習をやめ,節度を保つように努めなければならない」として,お酒ののみ方を教えています。

グラフ 続・写真解説看護技術・26

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 中央滅菌材料供給室については,ここ十数年にわたり設備・方法など各病院において,それぞれ適合したものが研究され,設置されてまいりました。私の病院でも開院と同時にセントラル・サプライ制度を採用して,診療や看護面に多大のプラスになっております。この任務に当たる者は,消毒物品を取り扱う者としての強い責任感と,正確な技術を必要としますが,そのチーム・ワークと熟練とは,より一層の能率をあげ,よい成果をもたらすと言えましょう。しかし包帯材料の作製,器械器具の洗浄,消毒など,必ずしも看護婦でなければならないという仕事は少なく,その指導的役割が看護婦に課せられた主たる任務となっております。

 従業員の数は,その機構と内容によって定められてまいりますが,私のところの人員構成は,主任看護婦1名,看護婦1名,看護助手女子4名,男子2名の計8名からなっており,任務の分担は次のとおりです。

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地位の向上はおしつけられた結果か

 長谷川 きょうは,看護協会総会のお忙しいところありがとうございました。

 戦後,看護婦の社会的地位が大いに向上したように思いますが,この過程を振りかえってみますと,戦前低かったナースの地位が,戦後GHQの指令によって制度や教育が変えられ,社会的に高められたわけです。これは日本の看護界の中から自然発生的,あるいは主体的に生まれて来たのでなく,GHQのあと押しによって,つまり外力によって動かされた点が多いと言えると思います。この点では,他から与えられたものであると言えると思います。

——

「対症看護」の必要性 内田 郷子
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 臨床にたずさわる看護婦として,毎日いろいろの患者に接するわけだが,その中には,症状のきわめて,はつきりとしている者もあれば,一見何の変りもない人もいる。そこで,はじめから診断がついて,入院してくれば○○の看護の方法を,習つたように計画をして実行をすれば良い。しかし,実際の病室においては,そのように典型的なものは少なく,多少はいろいろの病気を合併していて,教科書通りに行くものでない。

 そして,私共の取扱う患者は刻々と変る社会を背景とし,その中にあつて病気のために生活の一部が病院に移されるわけであるから,生活も,物の考え方も,病気に対する知識も社会と同じく変化して行くものである。

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 ポリオ(小児マヒ)は,全世界にひろがつている危険な病気のひとつで,世界各国がポリオ問題をすみやかに解決することに切実な関心をよせ,この問題をめぐつて国際会議や,多くのシンポジュム,医学者会議がひらかれている。

 現在,ポリオはいたるところで人々をおびやかしているのが実情である。多くの予供たちがポリオの集団発生の犠牲となり,その後長い年月にわたつて,この病気のひどい後遺症にくるしむ運命を負わされている。ポリオ後遺症の完全治療は非常に困難な仕事であることは指摘されなければならない。それはワクチン接種によつて発病を予防するに越したことはないことが明白となつた。

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 わが国の病院管理は,従来主として慣習によつて行なわれていたが,戦後いちはやく,占領軍から「日本の病院は欧米の中世期の状態にある」という指摘を受け,法制的には,医療法,保助看法などの制定が行なわれ,また病院管理研修所が発足して,病院の幹部職員の研修が行なわれるようになつたことはご承知のとおりである。

 そして日本の病院も,病院管理の合理化にめざめ,看護部の独立,病院給食改善などいろいろな面の改善運動が全国的に広がり,終戦直後にくらべると,近来格段の進歩のあとが見られるようになつた。

特集号をよんで
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 特集号を拝見して,まずそのボリュームにおどろきました。

 巻頭の「特集に当つて」の趣旨で,特集のネライがわかりました。個人の力の限界で解決しうる問題に重点をおいたということですが,その限りにおいては主題のえらび方や執筆者のメンバーなど充実したものといえましよう。また各地の婦長さんや教務主任のアンケート。こんなにたくさんの記事がのせられると,みんなでつくりあげた雑誌のような感じがしてきます。

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 看護学院はすべて病院附属であるが,国立大学においては医学部附属看護学校となつている。しかし予算面においては附属病院が担当している。医学部附属の名称が明文化していて表面からいえば,すべてが医学部において担当されるべきであるが,事実は二本立のような形態である。

 これがため学校側の運営は非常に複雑で,その上,専任の職員は教官のみの最低人員で運営しなければならぬという。少数の教官で多くの学生を任されても,その任務を完うすることは不可能であり,また各種学校とは申せ,一応教育機関としての体制は,とらなければならぬと思うとそれはなかなか困難なことであり,また無理である。

癩療養所の日記〔6〕 倉重 節子
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☆6月27日

 職業を通じ患者に対する感情の中にはできるだけ好き嫌いがあつてはならないのですが,それでもやはり一場所に1人や2人のどうにもならない悪感情を呼びおこす患者がいるものだ。

 その1人,S患者も実に厭な患者だ。

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 本誌4月号に掲載した“ナースの居ない診療所”の一文は,その後予想外の反響を呼びその診療所で働きたいとの手紙が,直接診療所や当大阪出張所に多数寄せられて来た。

 診療所の友人からは,4月のはじめに“働きたいと言ってくれたナースがある”と連絡して来たが,いよいよ採用を決定したと言って別項のお礼状が送られて来た。聞くところによると全国各地から30通あまりの手紙で,そういうところで是非働きたいとの申出があったとか。その人々との何回かの具体的な交渉や連絡,あるいは直接の面接なども行ない,1人を選んでいよいよ5月の連休明けから勤務を開始したとのことである。

連載 限りある命をおしんで・4

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 癌癒えしと素朴に喜ぶ老人の影ゆらぐ春の夕暮れ「俺,御前様たちの御恩は一生忘れねえあい。皆さんたちも元気になったば,俺の家さ遊びに来てけさい。うめえ野菜つこうんと食べさせるでな,きっと遊びさ来てけさい。」見送りに出て来た患者の一人一人に別れの挨拶をして,智楽婆さんは故郷へ帰って行った。

 私はその後姿を見送りながら,お婆さんが語ってくれた数々の話の中から,無医村の悲劇,いまなおのさばる封建性と迷信,そうした生活にあえて耐久している村の人々のことを思いやった。福島の片田舎から単身出て来て,「しもが悪いだども,どこさ行ったら一番よかんべ」と言って交番のお巡りさんを驚かしたこのお婆さん。村の神様はお婆さんを一人で東京へ寄こした。信玄袋のような荷物をひとつ持たせて。働くことだけが楽しみのこのお婆さんは,恐しいことを知らない。それがまたこの人の寿命をのばしてくれたのであろうが。

連載 詩人の話・2

島崎藤村 山田 岩三郎
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 島崎藤村は昭和18年8月,72歳で大磯の寓居で逝くなられた。その年の2月まで,東京?町六番町に住まわれていました。私が,六番町のお住居に,藤村を訪問したのは,この年よりさらに2年前の昭和16年でした。

 その時の用件は,藤村の書かれた色紙を,高村光太郎が所望されて,その応諾を得るべく参上したのでした。前に“詩の話”の中にも書きましたが,ちょうどこの時私たちが刊行していた“詩宰府”という雑誌の同人が,“詩の展示会”を銀座の紀の国屋書店ギャラリーで催おしていたのです。藤村も,詩句を書いた色紙を飾らしてくださった。いまその詩句は記憶にないが,筆墨のたたずまいもさりながら,まことに気品のある色紙でした。ことに,歌や俳句とはちがった独自の色紙の字くばりは,他の何10点とあるものには見られない特色がありました。色紙の左にひろく余白を残し,右寄りに詩句が2行,藤村の個性ある王羲之風の楷書で書かれてある。なるほど,現代詩を筆墨で色紙にとどめるには,かようになすべきか。と,私などは教えられる思いでした。会場でこれを見た高村光太郎が,ぜひにと所望したのです。

 六番町の藤村宅に,私が訪問したのは夜でした。

連載

新薬のはなし【1】 増山 善明
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 この欄では,現在日常の治療に使われだしている新しい薬について,毎号二つあてとりあげて説明することとする。本号では高血圧に用いられる降圧剤を二つとりあげてみよう。

 デカセルピン(Decaserpine)

 (10-メトキシ・デセルピジン 10-methoxydeserpidine)

附録 看護手順・6

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 2月号から附録として「看護手順」をつけています。

 ○1枚1枚切りはなしてカードにして使つてください。毎号4頁,合計4枚のカードになるようにできています。

臨床検査とその介助

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1.はじめに

 神経系は中枢神経と末梢神経とからなり,これら神経系統を形づくる細胞をノイロンと呼んでいます。ノイロンは神経細胞とその突起からなり,われわれの五感よりはいった刺戟は数個のノイロンを通って大脳にある中枢に伝わり(求心性ノイロン)これに反応する動作は運動中枢からの命令が遠心性ノイロンを伝わって筋肉に達し行動となってあらわれます。したがって神経系疾患では運動障害や知覚の障害があらわれてきますが,大脳全般に障害があるときには意識障害が出てきます。

 中枢神経系は脳髄と脊髄とからできていますが,脳髄は頭蓋腔内にあって大脳半球,間脳,中脳,橋,小脳,延髄にわかれ,それぞれ異なった機能を行なっています。中枢神経障害の患者のなかで一番多いのは脳卒中といわれますが,このような患者ではしばしば半身不髄がみられます。これは髄意の運動を行なっている一側の大脳皮質か,その命令を伝える連絡が切れたり破壊したためおこったもので,このような髄意運動を支配している系統を錐体路系と呼んでいます。一方いろいろな運動をするときには,筋肉の緊張や互いに筋肉の間の運動は調節されているもので,この調節の中枢も大脳にあります。これを錐体外路系といっていますが,これがくるうと手を上にあげようとしても右へいったり曲ってしまってうまく動いてくれません。

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まえがき

 私たち精神病院に長く勤務している看護婦は,精神病に対する看護に注意を払うあまり,ともすれば合併症に対する看護を忘れ勝ちであります。たまたま結核病棟に勤務する場合は,結核看護の心構えとともに,結核に関する新しい知識の導入を急がねばなりません。医師・看護婦が1年ごとに交代している私たちの病院では,能率的な看護を行なうためには,これが大きな障害となります。しかし医師と看護婦の方針が合致し,長期の看護計画が立てられて,おのおの次代にうまく継承され運営されてゆけば障害とならず,むしろ新詳な気風をかもし出して,患者に希望をもたせることもできます。

 ここに松沢病院における結核病棟管理に際して看護者の役割を具体的に報告し,先輩諸姉の御批判を仰ぎたいと思います。

患者の手術衣の工夫 原田 イズモ
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 患者が身につける手術衣は,それこそ毎日なんべんとなく使われるものでありながら,あんがいその改善と工夫がおろそかにされている。ここでは国立国府台病院手術室婦長の原田イズモさんが,長い間いろいろ苦心された結果,従前のものとは比較にならないほど,使いやすく合理的な手術衣を完成されたので,その作り方と使用方法について,ご紹介することにした。

 〔作り方〕用布は90c幅,長さ235c,洗たくのきく綿布がいい。四角布と違つた刺激の少ない色,たとえば水色系統のものがよいと思います。柄ものならば,割合に大柄のものを選ぶこと。写真や図のように,後身頃を思いきり広くとり,紐の結び目が背部に当たらないようにし,丈は膝関節部より10〜15C下までとして短く,ネックは頭部手術の場合,着用したままできるように広く開け,袖は血圧測定時マンシュッテが巻きやすいようにと思つて,袖なしにしました。

看護サービス・8

敬語の使い方 永井 敏枝
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 好感のもてる話し方の最後に敬語の問題を考えてみます。そもそも敬語というのは尊敬の気持をことばで表現したものでありますので真心の伴わないただ単に形式的なことばの表現技巧では意味がありません。またその敬語も使い方,使う相手,使うところを正しくしないとかえつて誤解を招いたり,相手を傷けたり,自分自身の価値をも下げる結果となりましよう。ある言語学者は「不愉快なのは敬語の不存在よりも,不敬語の存在である」といつているくらいであります。では一般的に敬語はどのように使つたらいいか考えてみましよう。まず敬語を使うには,相手をうやまう気持を失わず,相手に不快な感じを与えないようまた相手に誤解や嫌悪を抱かせないよう配慮を常に心得ておくことが必要です。そして一般には(だ→です→ございます)のように語尾を変えることにより,(思う→存ずる)のように古いことばを使うことにより(食べる→いただく)のように別のことばを使うことにより,(君→あなた)のように人称代名詞を変えることにより,さらに(本→ご本)のように接頭語をつけることにより敬語となるという変化があります。(表参照)

 これらの変化は1例ですが注意したいことに次のことがあります。「せていただく」「させていただく」を用いる場合「御説明させていただきます」は「説明させていただきます」でいいでしよう。これは原則として動詞には「御」はつかないものです。

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看護婦に吾を育てし父にしてみとりも受けず逝きたまいたり つつがなく夜勤終え来て庭に佇つ春のしめりもつ土はかがよう

 〔評〕 1首目父に対する切々たる情をうたい,2首目生活と自然が相和している。

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草焼いて遠く幼き頃をふと連翹に見覚えがあり露路曲る春愁やいつか遅れて歩きおり

 〔評〕 ほのかな春の感情のただよういい俳句です。今までとかく下手物の俳句が多かつたのですが,こういう品のいい句をつくるよう心掛けて下さい。

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角度

 影よそのうなじを あげておくれ!出米ることなら おまえを消し去つてしまいたい とどれ程 思うことだろう

基本情報

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看護学雑誌
25巻8号 (1961年8月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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