臨床検査とその介助
神経系の検査とその介助
里吉 営二郎
1
,
古和 久幸
1
1東邦大学阿部内科
pp.66-70
発行日 1961年8月15日
Published Date 1961/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911463
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1.はじめに
神経系は中枢神経と末梢神経とからなり,これら神経系統を形づくる細胞をノイロンと呼んでいます。ノイロンは神経細胞とその突起からなり,われわれの五感よりはいった刺戟は数個のノイロンを通って大脳にある中枢に伝わり(求心性ノイロン)これに反応する動作は運動中枢からの命令が遠心性ノイロンを伝わって筋肉に達し行動となってあらわれます。したがって神経系疾患では運動障害や知覚の障害があらわれてきますが,大脳全般に障害があるときには意識障害が出てきます。
中枢神経系は脳髄と脊髄とからできていますが,脳髄は頭蓋腔内にあって大脳半球,間脳,中脳,橋,小脳,延髄にわかれ,それぞれ異なった機能を行なっています。中枢神経障害の患者のなかで一番多いのは脳卒中といわれますが,このような患者ではしばしば半身不髄がみられます。これは髄意の運動を行なっている一側の大脳皮質か,その命令を伝える連絡が切れたり破壊したためおこったもので,このような髄意運動を支配している系統を錐体路系と呼んでいます。一方いろいろな運動をするときには,筋肉の緊張や互いに筋肉の間の運動は調節されているもので,この調節の中枢も大脳にあります。これを錐体外路系といっていますが,これがくるうと手を上にあげようとしても右へいったり曲ってしまってうまく動いてくれません。
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