看護サービス・8
敬語の使い方
永井 敏枝
1
1中央鉄道病院看護婦養成所
pp.53
発行日 1961年8月15日
Published Date 1961/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911459
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好感のもてる話し方の最後に敬語の問題を考えてみます。そもそも敬語というのは尊敬の気持をことばで表現したものでありますので真心の伴わないただ単に形式的なことばの表現技巧では意味がありません。またその敬語も使い方,使う相手,使うところを正しくしないとかえつて誤解を招いたり,相手を傷けたり,自分自身の価値をも下げる結果となりましよう。ある言語学者は「不愉快なのは敬語の不存在よりも,不敬語の存在である」といつているくらいであります。では一般的に敬語はどのように使つたらいいか考えてみましよう。まず敬語を使うには,相手をうやまう気持を失わず,相手に不快な感じを与えないようまた相手に誤解や嫌悪を抱かせないよう配慮を常に心得ておくことが必要です。そして一般には(だ→です→ございます)のように語尾を変えることにより,(思う→存ずる)のように古いことばを使うことにより(食べる→いただく)のように別のことばを使うことにより,(君→あなた)のように人称代名詞を変えることにより,さらに(本→ご本)のように接頭語をつけることにより敬語となるという変化があります。(表参照)
これらの変化は1例ですが注意したいことに次のことがあります。「せていただく」「させていただく」を用いる場合「御説明させていただきます」は「説明させていただきます」でいいでしよう。これは原則として動詞には「御」はつかないものです。
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