総合リハビリテーション 21巻4号 (1993年4月)

特集 職業リハビリテーションの最近の動向

今月のハイライト
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 本号の特集は“職業リハビリテーションの最近の動向”である.この分野においても最近は障害の重度・重複化が進んでおり,その対応に苦慮しているのが実態である.医学的・社会的リハビリテーションに続くサービスとして,彼らのハンディキャップを前提とした就労の場が保障されるのは当然であり,ILO条約においてもこの方向は確認されているところである.

特集にあたって 伊藤 利之
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 職業リハビリテーションに関連する施策は,わが国においては労働行政だけでなく,厚生行政あるいは文部行政においても行われている.その中での最近の動向は対象者の重度・重複化が進んでいることである.とりわけ厚生行政における職業リハビリテーションの守備範囲は広く,その到達ゴールも職業的・経済的自立のみを目指すものではない.すなわち,労働行政の範疇と考えられる雇用をゴールとした,リハビリテーションの対象にはならないものも含んでおり,実際には一般雇用には至らない障害者の就労機会の提供が主たる業務になっていると言っても過言ではない.

 重度・重複障害者であろうと,精神薄弱者や精神障害者であろうと,医学的・社会的リハビリテーションに続くサービスとして,そのハンディキャップを前提とした就労の場が保障されるべきであるし,必要に応じて保護的措置がとられるべきである.ILOの条約においてもこの方向は確認されており,対象の拡大という点については国際的コンセンサスがあるといえよう.

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はじめに

 障害者のリハビリテーションが重い障害を持つ人々の自立生活と社会参加をそのゴールとして包含するようになったことは,職業的,経済的自立を目標としてきた職業的リハビリテーションのゴールの多様化と対象の拡大を促すようになった.国際労働機関(ILO)の「職業リハビリテーションと雇用(障害者)に関する条約」においても,あらゆる種類の障害者を含むことと,仕事に就いたりそれを継続し向上する見込みが相当に減退している,いわゆる重度の障害者を対象とすることがうたわれている.わが国においては周知のとおり職業的リハビリテーションに関連する各種施策は労働行政だけでなく厚生,文部など他の行政系列においてもそれぞれ独自に行われており,障害の種類によっても細分化されている.このため職業的リハビリテーションのサービスを提供する窓口機関や施設が所属する行政系列によって障害者の認定や重度障害者の定義,到達目標の設定,援助の内容などが異なり,対象の拡大についてもその基準や範囲は必ずしも明確でない.

 本稿ではこうした問題を実際にサービスを行っている現場の視点から検討し,これらが利用者にとって分かりやすいシステムとして機能する可能性について考えてみたい.

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はじめに

 1960年に制定された身体障害者雇用促進法によって,わが国にはじめて身体障害者雇用率制度(以下,雇用率制度)が導入されたが,1976年の同法改正で,同制度は,従来の努力義務から法的義務に強化されるとともに,身体障害者の雇用を経済的側面から支える身体障害者雇用納付金制度(以下,納付金制度)が設けられた.

 1987年には,法の対象を身体障害者からすべての障害者に拡大し,精神薄弱者については雇用の義務化は行わないものの,雇用率制度および納付金制度の対象とすること,雇用の促進に加え雇用の安定を図ること,ならびに職業リハビリテーションネットワークの中核として,職業リハビリテーション技術の研究・開発,情報の提供,および職業リハビリテーション関係者に対する研修などを行う障害者職業総合センターを設置するなど,職業リハビリテーション対策の推進を図ることなどを内容とする改正が行われた.この改正により身体障害者雇用促進法は,その名称が「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下,障害者雇用促進法)に変更された.

 また,法定雇用率の見直しで,1988年4月から同雇用率は,各0.1ポイント引き上げられ,民間企業については1.6%となった.

 さらに1992年5月には国際労働機関(ILO)の「障害者の職業リハビリテーションおよび雇用に関する条約」(ILO第159号条約)の批准を踏まえて,同法は再度改正され,重度障害者などの雇用の継続を支援するための助成金制度の拡充や精神薄弱者および精神障害者に対する雇用対策の強化が図られた.

 本稿では,1976年以降のこうした障害者雇用対策の展開に基づく,障害者雇用状況の推移を踏まえながら,今後わが国の障害者雇用をさらに前進させるうえでの課題を,職業リハビリテーションを中心に考察することとしたい.

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はじめに

 国際障害者年(1981年)以降の12年余,わが国の障害者分野において最も活発に展開された民間事業・運動のひとつに共同作業所の設置があげられよう.

 共同作業所は小規模作業所ならびに地域作業所などとも呼称され.いわゆる法定外事業・無認可事業として運営されている.「法定外」や「無認可」という響きにはどことなく「もぐり」とか「勝手にやっている」という感じをイメージさせるものがある.しかし現実はそうではない.いまや成人期障害者にとっての現実的な社会資源,すなわち働く場(職業リハビリテーション),デイ・ケア的な活動の場となっている.共同作業所設置運動の初期段階においては知的障害渚ならびに肢体不自由者を主対象としていたが,昨今(特に1980年代前半以降)では精神障害者や脳血管障害などによる中途障害者,内部障害者など,利用者の障害の範囲が大きく拡大されつつある.また全体として障害程度が重くかつ重複している者が利用者の相当数を占めている傾向にある.

 共同作業所のなかには健康増進や社会教育的な活動に重点を置いているところもあるが,その多くは活動の主柱に労働=作業活動を位置づけ,職業リハビリテーション分野の一翼を担うものになっている.

 以下,共同作業所の実態ならびにそこでの活動の実際,今後の課題などについて,職業リハビリテーションの視点から述べてみたい.

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はじめに

 横浜市総合リハビリテーションセンターでは「職能訓練コース」という名称の法外施設を設置し,昭和62年の開所以来,精神発達遅滞者を主たる対象に職能評価・訓練を実施している.

 本稿では,まず「織能訓練コース」が現行のサービス体系の中でどのような役割を果たすことを目的とし,そのためにどのような体制で評価・訓練を実施しているかを述べる.そして,それを前提として「職能訓練コース」が当初の目的どおり機能しているかを利用者の状況を分析することによって検証する.これはそのまま精神発達遅滞者のための職能評価・訓練における長期評価,短期訓練の必要性の検証でもある.

 なお,文中では一貫して「評価・訓練」という語を使用したが,これらの語は“専門家が一方的に障害者の進路を判断する”といった印象を喚起しやすいのも事実である.元より「職能訓練コース」が示す判断,つまり評価結果は利用者を拘束するものではない.利用者に対する一つの提案に過ぎず,その提案を採用するか否かは言うまでもなく利用者の判断に委ねられている.利用者にとって「評価」とは自己能力の“体験”であり,「訓練」とは“実績づくり”の機会であると規定できよう.文中の「評価・訓練」はこのような意味のものとして理解されたい.

精神障害者の就労問題 野津 真
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はじめに

 院内作業療法やナイトホスピタルなど,伝統的な病院精神医療で試みられた社会復帰活動は,広い意味で職業問題を含んでおり,co-medicalの活動が今ほど活発でなく社会資源も乏しかった時代から,それぞれに工夫をこらして行われていた.入院治療との連続性を保ちつつ行われるこれらの活動は現在も続けられており,デイケアや援護寮などと共に医学的リハビリテーションの概念の下に位置付けることができる.

 一方,昭和35年に身体障害者雇用促進法が制定されて以来,雇用率制度を軸に組織的な職業リハビリテーションサービスを提供するシステムが作られ,徐々にその対象となる障害の範囲が広げられてきた.昭和63年には精神障害者も部分的に対象とされるようになったが,医学的リハビリテーションとの接続には,まだすっきりしないものがある.それぞれに独立した歩みをしてきただけに,基本的コンセプトにも現れた施策にも少なからぬ隔たりがあるからである.

 トータルリハビリテーションの理念から言えば,医学も職業も福祉も互いに補完しあい矛盾のないサービスシステムを構築するべきだが,現状からはまだ遠い道のりと言わざるをえない.欧米先進国の間では精神障害者を職業リハビリテーションの対象に含めるのが常識となっていると言われるが,それぞれの歴史的,文化的な背景も考慮しなければならず,わが国で過渡的,移行的な措置が取られなければならない事情があるのだろう.

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 ある日の整形内科の外来で,腰痛患者に対して―「夜,仰向けで寝るときは,膝を立てて寝て下さい」,「床の物を持ち上げるときは,膝を曲げて持ち,脚を使って上げること」,「朝,洗面するときは,軽く膝を曲げてして下さい」,「腹筋の運動は膝を曲げて,臍をのぞくように」,「仕事中は腰椎バンドをつけましょう」,「水泳をするなら,平泳ぎ,バタフライはだめですよ」などなど,くどくど説明し,診察台で実際にやらせる.患者が共稼ぎの主婦の場合,夫に家事の一部を手伝うよう協力を依頼する.疾患の説明に始まり,理学療法,作業療法,装具療法,家族指導を行う―この過程はまるでリハビリテーション医療のミニ版である.

 医療法人のリハビリテーション専門病院へ勤務して7年になる.RPT14名,OTR8名,ST4名,MSW2名の陣容をもつ200床の病院であるが,周知のごとく入院患者のリハビリテーション医療だけでは採算性に乏しい.その打開のため.通院による維持的リハビリテーション医療に加えて,整形外科疾患の外来における保存的療法に力を入れてきた.従来からの温泉を含む豊富な物理療法に加え,PT,OTの技術を外来に投入し,患者のニーズに応えようというのである.

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 目的

 脳血管障害患者における非麻痺側筋力については,近年多角的に検討され,ADLに深く関与することなどが報告されてきた1-11).しかし発症から非麻痺側筋力の早期の経時的変化についての検討は十分とはいえなかった.

 脳血管障害患者における非麻痺側筋力が早期からどのような経過で推移し,歩行能力に影響を与えていくかを明確にすることは,訓練効果の判定,および治療内容や治療目標を再考するという点で重要であると考える.

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はじめに

 小児外反扁平足は日常外来で比較的よく扱う足部変形の一つである.本症に対する治療の適否に関してはいまだ確立したとは言い難い.本症は自然治癒する予後良好な疾患であり,積極的な治療は必要ないとするものもいる3,9,12)が,重度の変形例では二次的骨関節変化により変形は永続し,小児期以降,足部のみならず,下肢全体のアライメントの異常により腰痛や下肢痛の発生も懸念される.われわれは,こういった症例に対してはUCBL(University of California Biomechanics Laboratory)shoe insertによる装具療法を行っている.今回,重度例に対する本装具の矯正能について検討したので報告する.

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はじめに

 排泄の自立は脳卒中のリハビリテーション上,重要な問題である.排泄の自立のためには下部尿路機能だけではなく,排泄感覚,移動能力を含むADL上の問題などさまざまな要因が関わっている.さらに知的能力の低下が見られる場合にはますます排泄の自立が困難になるものと考えられている.

 下部尿路機能と知的能力の関係についてはすでに三島ら1)がWAISによる知能テストでIQ60以上の者とそれ以下の者で排尿障害の頻度に有意な差はなかったと報告しているほか,正門ら2)は長谷川式スケールとの関係でも差は見られなかったと報告している.

 排泄感覚については動作的に自立しているにせよ,介助を受けるにせよ,確実な排泄感覚(いわゆる尿便意がはっきりしているかどうか)が排泄自立のための前提条件となる.さらに失敗なく排泄を行うには,知覚から行為に至るプロセスの認知やそれに要する時間の予測あるいはその場の的確な状況判断なども必要とされ,そこには知的能力が深く関与しているものと考えられる.川平ら3)は長谷川式スケールを用いて知的能力の評価を行い,運動能力および知能のレベルにより排泄様式に違いが見られたと報告しているが,その他に知的能力と排泄の自立の問題についての報告はまれである.

 そこで今回われわれは脳卒中後遺症による障害老人に対し,知能テストの一つであるコース立方体テストを行い,その得点と排泄自立のために知的能力が要求されると思われる尿便意の確実性との関係について検討した.すなわち動作的能力障害のために介助が必要であるか否かは問題とせず,確実に尿便意を訴え排泄の失敗がなければ自立として考えた.

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はじめに

 喉頭全摘術は重度の嚥下障害例において嚥下性肺炎を防止するのに選択となる手術療法である1-3).ただし,術後経口摂取能を獲得するには,適確な術前評価とそれに基づく系統的な術前・術後の嚥下訓練が欠かせない.

 われわれは重度の仮性球麻痺の症例において喉頭全摘術を行い,経口摂取を確立して自宅退院に至った1例を経験した.今回はその経過について報告し,手術適応とそれに関わる嚥下訓練の方向付けについて考察した.

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はじめに

 慢性関節リウマチ(以下,RAと略す)は多発性の関節病変とともに,血管炎や心肺病変を特徴とした原因不明の慢性全身性炎症性疾患である3).本症の治療や運動療法に際してはこういったRA特有の病態を十分に理解することが肝要である.また近年では本症患者のQOL向上も提起され,関節病変のみならず,全身持久力など,適確な患者の全身把握が重要である.今回われわれは2例のRA患者に対して歩行時のエネルギー消費量や心肺系反応について計測したので報告する.

講座 リハビリテーションと臨床検査

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はじめに

 慢性関節リウマチ(RA)は関節痛を主症状とし,次第に関節破壊へと進行する難治性の疾患で,日常的な身体的苦痛のみならず生活動作にも困難をもたらすことで精神的苦痛をも伴いやすい疾患である.病因については近年の免疫学の発展にもかかわらず依然として不明のままであり,その治療も対症療法にとどまっているのが現状である.治療法についてはピラミッド型治療体系(図1)が知られているが1),消炎鎮痛や免疫能の回復を目的とする薬物療法と四肢機能の障害を防止するためのリハビリテーション療法が大きな柱となっている.しかしながらリハビリテーションの必要性が理解されていても,実際の診療場面では時間的・人的・経済的などの制約のために一般に広く取り入れられているとは言い難い.このため薬物療法に依存するあまり,機能障害への配慮が欠けていると思われる残念な症例を目にすることが少なくない.

 リハビリテーション療法の対象となるRA患者はまだ機能障害の現れていない初期の患者から日常生活動作に支障をきたし介助者を必要とする晩期の患者まで全ての病期にまたがっている.高度の頸椎病変や重篤な合併症を伴う症例はリハビリテーションが禁忌となるものの,薬物療法の進歩により急性関節炎症状だけでは必ずしも禁忌とは言えなくなっているので,RAにおけるリハビリテーション療法の重要性についてさらに関心が深まることを期待している.

実践講座 義肢装具の処方と価格

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はじめに

 長下肢装具は大腿部より足底に及ぶ構造を持ち,膝関節と足関節との動きを制御するものである.また膝装具は大腿部から下腿部に及ぶ構造を持ち,膝関節の動きを制御するものである.

 本講座の前回および前々回で短下肢装具の処方と価格について述べられているので本稿では長下肢装具の膝継手ならびに膝装具を中心に,その適応と代表的な処方例をあげ,実際の価格を示していきたい.

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 中村隆一君とは学生時代,整形外科教室員,研究生活そしてリハビリテーション医学分野とずっと一緒だった.今回の日本リハビリテーション医学会を会長として主催されるのは小生も我が事のように嬉しく思っている.

 中村君は学生時代,色あくまで黒く.何とはなしに品が良かったので“殿下”と呼ばれていた.物事に凝ることは有名で,それが後の学問上の研究にも続くわけである.学問はもちろんスポーツもよくこなし大体何でもできた.卒業して整形外科教室に入ったが,恩師の三木威勇治先生が将来を予見して,薬理学の江橋節郎教授の許へ一緒に行って研究するようにと言われた.

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 〔発足〕昭和34年(1959年)10月,被災3年後の補償打ち切り撤廃を緊急の課題とし,業務上・外を問わず,すべての脊髄損傷者に終身保障(補償)を要求することを目的に「全国脊髄損傷患者療友会」(旧称)設立.

 〔活動目標〕車イス使用重度障害者の人間性の復権を目指し無年金障害者の救済,公共交通機関など,社会が持つ障害の解消,障害者雇用の改革実現,国際的障害者運動への積極的参加.

Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション

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 川端康成の『伊豆の踊子』(大正15年)は,主人公の「私」と踊子との淡い恋心を描いた青春小説として読まれることが多いようだが.精神医学的には,踊子との出会い,特に踊子の洩らした一言が「私」に精神療法的な作用を及ぼしている点で,興味深い作品のように思われる.

 すなわち,高等学校の学生である20歳の「私」は,「自分の性質が孤児根性で歪んでいると厳しい反省を重ね,その息苦しい憂鬱に堪え切れないで伊豆の旅に出て来て」いた.彼はその旅先で,社会的な差別を受けている旅芸人一家と一緒になり,この「肉親らしい愛情で繋がり合っている」人々に親しみを感じはじめる.中でも彼が関心を引かれたのは,まだ年若い踊子で,彼はこの踊子と道中をともにするうちに,「朗らかな喜び」を感じたり,「頭が拭われたように澄んで来た」りするようになるのである.

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 今回の話題は「老人のリハビリテーション」であった.老人にリハビリテーションを行ううえで,運動負荷がどのような影響を与えるかを知っておく必要があるが.今回は生化学的な面からこれをとらえることにして,カルシウム代謝について長年研究を続けておられる和歌山県立医科大学整形外科助教授上好昭孝先生に話題の提供をお願いした.

 御講演の内容として,障害をもった老人においてはカルシウムのバランスがネガティヴになりやすいが,運動負荷によって改善されることがデータで示され,運動療法の効用を生化学的にわかりやすく説明していただいた.また老人の運動療法に携わる者に,良いアドバイスを与えて頂いた.

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 1.脳卒中患者の歩行時の床反力と日常生活の関係

  藤田保健衛生大学リハビリテーション科

   内田伸・土肥信之・梶原敏夫

   鷲見信清・小竹伴照・古橋健彦

   岸具弘・馬場尊・楠戸正子

 脳卒中患者にとって歩行は重要な関心事であるが,歩行能力と総合的な日常生活活動(ADL)が必ずしも結びつくとは限らない.今回床反力パターンとADLの総合的能力をみることを目的とし,脳卒中片麻痺患者20名(脳梗塞13例,脳出血6例.くも膜下出血1例)ですべて自立歩行が可能な者を対象にして,脳卒中患者の歩行の床反力計分析の結果とADLの関連について検討した.その結果,側方方向の分力%(Fx)は,stageが小さいほど大きく,前後分力%(Fy)はⅥで高値を示し,制動およびふみきり機能の向上が示された.U検定の結果,抜重と全荷重で有意差を認め,ADLとの関係で10m歩行速度と抜重時間で相関があった.今回,側方動揺性の指標であるFx,制動と加速と関連するFyとは,そのまま直線的な関連は認めなかったが,抜重や加重に要する時間と歩行速度が関連したことは歩行分析をADLに結びつける基礎データとなると思われる.

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 私が訳者の紹介で文部省の在外研究員としてテキサス大学(サンアントニオ)リハビリテーション科を訪れたのは1987年10月であった.ちょうどアメリカ筋電図学会が開催されていたので,学会や講習会に参加した.ビデオやプリントを利用し,分かりやすい講習であった.それ以来,筋電図の教科書には興味を持って接してきた.訳者は米国でリハビリテーション医学を学んだ医師であり,筋電図に関しても数冊の翻訳を行っている.本書もその中の一冊である.

 Ma,Livesonによってでき上がった本書は,学生や臨床神経学部門に携わる人たちを対象としたもので,4年間の蓄積,努力から得られたものであると解説されている.

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文献抄録

編集後記
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・バブルの恩恵は受けていないのに,それがはじけた途端その余波だけはしっかり押し寄せてくる.おりしも世の中春闘の折り,大幅賃上げなど論外と言わんばかり「雇用」か「賃上げ」かがメインテーマ,日本的であることの代名詞の「終身雇用制」も曲がり角にきているという.

・その平成不況の嵐が授産施設や作業所にまで吹き荒れている.昨年12月の共同作業所全国連絡会の調査によれば,受注がストップしたり,減らされている作業所が半数を越え,年間売上高が半分以下に落ち込んでいるそうだ.

基本情報

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総合リハビリテーション
21巻4号 (1993年4月)
電子版ISSN:1882-1340 印刷版ISSN:0386-9822 医学書院

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