Japanese
English
特集 職業リハビリテーションの最近の動向
精神障害者の就労問題
Vocational Rehabilitation of Psychiatric Disabled.
野津 真
1
Makoto Nozu
1
1東京都立中部総合精神保健センター
1Tokyo Metropolitan Chubu Comprehensive Mental Health Center
キーワード:
精神障害
,
職業リハビリテーション
,
就労条件
Keyword:
精神障害
,
職業リハビリテーション
,
就労条件
pp.293-298
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107334
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はじめに
院内作業療法やナイトホスピタルなど,伝統的な病院精神医療で試みられた社会復帰活動は,広い意味で職業問題を含んでおり,co-medicalの活動が今ほど活発でなく社会資源も乏しかった時代から,それぞれに工夫をこらして行われていた.入院治療との連続性を保ちつつ行われるこれらの活動は現在も続けられており,デイケアや援護寮などと共に医学的リハビリテーションの概念の下に位置付けることができる.
一方,昭和35年に身体障害者雇用促進法が制定されて以来,雇用率制度を軸に組織的な職業リハビリテーションサービスを提供するシステムが作られ,徐々にその対象となる障害の範囲が広げられてきた.昭和63年には精神障害者も部分的に対象とされるようになったが,医学的リハビリテーションとの接続には,まだすっきりしないものがある.それぞれに独立した歩みをしてきただけに,基本的コンセプトにも現れた施策にも少なからぬ隔たりがあるからである.
トータルリハビリテーションの理念から言えば,医学も職業も福祉も互いに補完しあい矛盾のないサービスシステムを構築するべきだが,現状からはまだ遠い道のりと言わざるをえない.欧米先進国の間では精神障害者を職業リハビリテーションの対象に含めるのが常識となっていると言われるが,それぞれの歴史的,文化的な背景も考慮しなければならず,わが国で過渡的,移行的な措置が取られなければならない事情があるのだろう.
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