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はじめに
1960年に制定された身体障害者雇用促進法によって,わが国にはじめて身体障害者雇用率制度(以下,雇用率制度)が導入されたが,1976年の同法改正で,同制度は,従来の努力義務から法的義務に強化されるとともに,身体障害者の雇用を経済的側面から支える身体障害者雇用納付金制度(以下,納付金制度)が設けられた.
1987年には,法の対象を身体障害者からすべての障害者に拡大し,精神薄弱者については雇用の義務化は行わないものの,雇用率制度および納付金制度の対象とすること,雇用の促進に加え雇用の安定を図ること,ならびに職業リハビリテーションネットワークの中核として,職業リハビリテーション技術の研究・開発,情報の提供,および職業リハビリテーション関係者に対する研修などを行う障害者職業総合センターを設置するなど,職業リハビリテーション対策の推進を図ることなどを内容とする改正が行われた.この改正により身体障害者雇用促進法は,その名称が「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下,障害者雇用促進法)に変更された.
また,法定雇用率の見直しで,1988年4月から同雇用率は,各0.1ポイント引き上げられ,民間企業については1.6%となった.
さらに1992年5月には国際労働機関(ILO)の「障害者の職業リハビリテーションおよび雇用に関する条約」(ILO第159号条約)の批准を踏まえて,同法は再度改正され,重度障害者などの雇用の継続を支援するための助成金制度の拡充や精神薄弱者および精神障害者に対する雇用対策の強化が図られた.
本稿では,1976年以降のこうした障害者雇用対策の展開に基づく,障害者雇用状況の推移を踏まえながら,今後わが国の障害者雇用をさらに前進させるうえでの課題を,職業リハビリテーションを中心に考察することとしたい.
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