巻頭言
「整形内科とリハビリテーション」のすすめ
山口 昌夫
1
1リハビリテーション加賀八幡温泉病院
pp.263
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107327
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ある日の整形内科の外来で,腰痛患者に対して―「夜,仰向けで寝るときは,膝を立てて寝て下さい」,「床の物を持ち上げるときは,膝を曲げて持ち,脚を使って上げること」,「朝,洗面するときは,軽く膝を曲げてして下さい」,「腹筋の運動は膝を曲げて,臍をのぞくように」,「仕事中は腰椎バンドをつけましょう」,「水泳をするなら,平泳ぎ,バタフライはだめですよ」などなど,くどくど説明し,診察台で実際にやらせる.患者が共稼ぎの主婦の場合,夫に家事の一部を手伝うよう協力を依頼する.疾患の説明に始まり,理学療法,作業療法,装具療法,家族指導を行う―この過程はまるでリハビリテーション医療のミニ版である.
医療法人のリハビリテーション専門病院へ勤務して7年になる.RPT14名,OTR8名,ST4名,MSW2名の陣容をもつ200床の病院であるが,周知のごとく入院患者のリハビリテーション医療だけでは採算性に乏しい.その打開のため.通院による維持的リハビリテーション医療に加えて,整形外科疾患の外来における保存的療法に力を入れてきた.従来からの温泉を含む豊富な物理療法に加え,PT,OTの技術を外来に投入し,患者のニーズに応えようというのである.
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