臨床泌尿器科 43巻8号 (1989年8月)

綜説

新しい抗菌剤の特徴 斎藤 篤
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はじめに

 細菌感染症の変貌に伴い,それらに対応すべく抗菌剤の開発も日進月歩をとげている。最も注目されるのは,新しい系統のものが登場したβ-ラクタム剤であり,他にもアミノ配糖体剤,マクロライド剤,キノロン剤などがある。

 ここでは1984年以降に上市され,今日,実地臨床の場で広く用いられている以下の抗菌剤(表1)について,その特徴を概説する。

文献抄録

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 いろいろな原因で発生するpria-pismの治療に血管活性化薬剤が用いられているが,著者らの施設では,エピネフリン溶液のαおよびβマトレナジック作用を期待して臨床に用いてその成績について報告している。

 症例は11歳から64歳までの18名である。18名の患者の発生原因については,5名はいわゆる特発性の原因不詳のpriapismであり,6名はパパベリン,ペントラミソ注射に起因するもの,6名は鋳型赤血球(sicklecell disease)症によるもの,1名は白血病によるものであった。勃起症が発症してから治療までの経過時間は,4時間から5日にわたっている。24時間以上経過しているものは3名で,うち2名は36時間と5日間経過していた。

手術手技 外来小手術

尿道狭窄,外尿道口切開 松本 哲夫
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 尿道狭窄に対する諸種の治療法は,泌尿器科医にとって最も頻度の高い外来処置の一つである。尿道狭窄に対する治療法を大別すると次のごときものがある。すなわち,①ブジー療法および誘導ブジー法(Le Fort氏操作)を含む尿道拡張術(urethral dilatation),②Maisonneuve切開刀やOtis切開刀を用いた尿道切開術および内視鏡的直視下尿道切開術(optical urethrotomy)を含む内尿道切開術(internal urethrotomy),③Pull-through法など皮膚に切開を加えるすべての尿道形成術を含む外尿道口切開術,④外尿道口狭窄に対する外尿道口切開術などである。これら各種の治療法は,狭窄の程度,病態,原因などにより選択されて用いられるが,外来小手術として施行可能なものは前述の①,④および②の一部であると考え,これらの方法について図示する。

講座 泌尿器手術に必要な局所解剖・14

膀胱と前立腺 佐藤 達夫
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 膀胱と前立腺,この2臓器は骨盤泌尿器外科の最主要の対象物であろう。したがって別々の大項目として扱われるのが成書の通例である。しかし両者は隣接している上に,脈管・神経の経過と分布に共通性が大きいので,局所解剖としては一括して取りあげるのが能率的で理解しやすい。以下,位置関係,脈管,神経などについて説明を加えていくことにしたい。

 局所解剖で最も重要なのは位置関係と脈管・神経である。位置関係はその臓器の成り立ちを知っておくと理解しやすい。膀胱と前立腺の発生と比較解剖について簡単に触れておこう。

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 TVモニターによる経尿道的前立腺切除術(TV-TURP)を従来の内視鏡レンズをのぞいて行うTURPと比較した。従来のTURP群およびTV-TURP群で,切除時間,検血比,Na比,輸血頻度,循環不全頻度を比べると,両群間で有意の差はなく,TV-TURPは従来のTURPに遜色ないものであった。しかもTV-TURPは,①視野が拡大され,②周囲の人が術者と同一画面を同時にみられ,③切除鏡を自由に動かせる,等の長所があり,今後従来のTURPに取って代わるものと考えられる。

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 幼小児期に両側の精巣を欠損した4症例を最長15年にわたって追跡観察した。その結果,これらの精巣欠損児では思春期成長促進現象が認められず,−2.0SD程度の低身長にとどまった。これらの症例に思春期スパートをおこし,身長を伸ばすためには,性ステロイドの少量投与が必要であった。男児であればテストステロンでよいが,女児として育てられている場合にはエストロゲンによっても成長を促進させることができた。このような経験から精巣欠損児に対する思春期成長促進療法として,性ステロイドの投与開始時期と至適投与量を明らかにした。

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 ミオグロビン尿症による急性腎不全を4例経験した。原因は過激な運動,抗精神薬,外傷,抗不整脈剤であった。全例に,ハイパフォーマソス膜を使用した血液透析,血液濾過,吸着濾過を行い,3例は腎機能が回復し,1例は汎血管内凝固症候群で死亡した。血中ミオグロビン値は腎機能を反映する指標として有用であり,早期に血液透析を開始することが治療上重要である。しかし,外傷性は多臓器不全を起こすことが多く,本例でも救命できなかった。

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 同一腎に腎嚢胞と腎腫瘍が合併することは稀であり,診断の困難なことが多い。われわれは術前に診断のついた53歳,男性の1例を経験した。超音波検査,CT,嚢胞内造影,血管撮影で嚢胞内に小さい腫瘍を疑った。嚢胞液は茶褐色で混濁していた。右腎摘除術を行った。嚢胞内にポリポイド様に突出した赤褐色の充実性腫瘍を認めた。組織学的には嚢胞壁内面から発生した腎細胞癌であった。Gibson分類3型と考えられた。

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 頭痛および左半身麻痺をそれぞれ主訴とする腎細胞癌の2例を経験した。いずれも他の部位に転移巣を認め,保存的治療を行ったが数ヵ月以内に死亡した。脳転移症状で発見される腎細胞癌は少なく,その2例を報告する。

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 前立腺癌の既往歴がある70歳,男性。1987年5月に浮腫がみられたので精査したところ,前立腺癌の尿管浸潤による腎後性腎不全と診断した。尿管閉塞を解除するため超音波ガイド下に腎瘻造設を行った直後より著しい多尿をきたし,1日最高尿量は46.3lにもおよんだ。水分および電解質バランスが崩れないように補液などを行い,厳重な監視の下で経過を観察し,第14病日に多尿は改善した。尿路閉塞解除後の多尿は,時にみられる現象であるが46.3lにおよぶ多尿は稀である。過量の補液が著しい多尿の原因となっている可能性もあり,検討を要する症例であった。

翼状陰茎の1例 沢木 勝 , 井出 克樹
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 11歳,男子。包皮背面切開術および陰嚢皮膚のZ形成術にて治療した真性包茎を伴う翼状陰茎の1例について報告する。患者は陰茎の形態異常を主訴として来院した。治療に際しては陰茎腹面の皮膚が不足するので環状切除術を避けて背面切開術を行うことと,形成外科的手技の一つであるZ形成術の応用を薦めた。

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 22歳,未婚女性で,外陰部腫瘤よりの出血を主訴とした尿道平滑筋腫を経験した。腫瘍は尿道前壁より有茎性に発育し,表面に慢性炎症の副産物と思われる尖圭コンジローマをともなっていた。摘出された腫瘍の大きさは,35×30×22 mmであった。術後経過は良好で,6ヵ月を経過する現在,再発を認めていない。自験例は本邦報告第84例目にあたる。

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 27歳,男性の陰茎体背側に無痛性腫脹を契機に発見された皮下腫瘤を摘出し,病理組織学的に粘液嚢胞と診断された1例を経験した。国内文献を渉猟した限り,粘液嚢胞が陰茎体に発生した報告は本邦最初とおもわれる。

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 2歳6ヵ月,先天性無虹彩症を持つ男児。両親が右側腹部腫瘤と肉眼的血尿に気づき来院。IVP,CTにて右腎下極より発生する腫瘍を認めた。染色体形式は46XY,del(11,p13)であった。右腎摘出術が施行され,病理組織学的にはウイルムス腫瘍であった。この症例は染色体異常と無虹彩症を伴うウイルムス腫瘍の1例と考えられ,これまで本邦で17例が報告されているにすぎない。

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 陰茎プロステーシスの手術の成功・不成功の一つのポイントは,陰茎海綿体の長さの正確な測定と陰茎海綿体の十分な拡張にある。陰茎海綿体の拡張は従来ヘガールによる拡張が行われ,一般的には11番から13番程度の拡張が必要となる。

 図1の海綿体バルーン拡張器(seidman corpora bal-loon dilator®)はバルーンを最大限ふくらますと直径12mm,最長18cmの拡張が可能となり,最大圧は40PSI(per square inch)となる。

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 直視下内尿道切開術などが普及した今日でも,尿道狭窄に対するLe Fort操作による拡張は,最も頻繁に行われる泌尿器科的処置の一つである。その手技については,それぞれの施設で種々工夫され,"小さな工夫"欄にもしばしば登場している。

 ところでBlandyらも述べているごとく,糸状ブジーの挿入には,内視鏡を見ながらの操作が最も確実かつ容易である。われわれも糸状ブジーを盲目的に挿入することはせず,必ず内視鏡下で挿入しているが,問題は一般の糸状ブジーが短いことである。すなわち,内視鏡を抜去する際に,能登らも指摘しているように,狭窄部に挿入した糸状ブジーが抜けないようにするとか,はじめから尿道内で内視鏡の外側から糸状ブジーを挿入しておくなどの工夫が必要である。

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 回答は興味深いもので,さまざまな意見が寄せられた。

 32通の回答が返ってきたが,そのうち13通はIVPは不必要であると言い,13通は必要だと感じている,の2つに分かれた。

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 症例 59歳,男性。

 初診 1988年7月28日。

 家族歴 特記すべきことなし。

 既往歴 糖尿病。

 現病歴 1988年5月,健康診断の腹部エコーで下腹部にcystic massを指摘され,精査のため当院泌尿器科を受診した。自覚症状は特に認められなかった。

 検査所見 血液一般,血液生化学検査,および血中腫瘍マーカーに異常を認めなかった。■IVP 20分経過後においても左腎は描出されず,右腎は腎X線像の拡大および右水腎症を認める。

教室だより

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 東海大学医学部は,神奈川県の県央に位置し,北は丹沢山系の大山山麓を仰ぎ,南は湘南海岸を望む伊勢原市にある。東京は新宿より小田急線で約1時間の距離にあり,通勤圏のベッドタウンに存在するが,西へは小田原・箱根まで車で約40分と,リゾート地にも近接している。

 当教室は1974年1月東海大学医学部の開設と同時に設置され,当初は大越正秋教授(現非常勤教授)と河村信夫助教授(現教授)の2名のスタッフでスタートした。大学病院は1975年2月に開院され,1976年以後,岡田講師(現助教授),勝岡助手(現助教授),村上助手(現清水市立病院泌尿器科長)が相次いで着任し,ようやく教室としてのかたちが整えられ,1979年4月には大越教授が第67回日本泌尿器科学会総会を主催した。その後,河村教授の昇任,木下助教授,松下助教授の赴任によりスタッフが強化され,1982年には東海大学東京病院が分院として開院した。大越教授は初代院長に就任し,後に特任教授を兼任,1987年非常勤教授となり現在に至っている。

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 川崎医科大学泌尿器科学教室は,1972年4月現岡山大学泌尿器科学教授・大森弘之先生が主任教授として赴任され,前年講師として赴任されていた,現教授・田中啓幹先生と2人で誕生した。1973年12月川崎医科大学付属病院が開設し,現付属川崎病院より大学へ移り教室としての体裁が整った。1978年11月大森弘之教授が母校の岡山大学泌尿器科学教室の主任教授として栄転されたあと,1979年3月田中啓幹先生が2代目の主任教授に昇任され現在に至っている。教室員は1976年5月岡山大学より天野正道前助教授(1987年12月退職)が講師として赴任され,1976年5月に川崎医科大学第I期卒業生2名が入局して以後22名が志望して入ってきている。関連病院の整備拡充も年々進み,現在では東は福島県から西は福岡県まて15施設を数えるようになった。大学のスタッフは現在,田中教授のほか講師4名,助手4名,大学院3名,研修医1名の合計13名で構成されている。

 診療体制は一般外来が月曜日から金曜日まで毎日午前,午後ともあり,土曜日は午前中のみ行っている。特殊外来はそれと併設して腫瘍外来が月・水曜日の午前中,神経因性膀胱外来が月・金曜日の午後,不妊外来が水曜日の午後と土曜日の午前中に行われている。手術は,火・木曜日に行っている。

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 昨年7月からの連載の講座「泌尿器科手術に必要な局所解剖」は,臨床家にふさわしい知識が詳しく述べられており,初心者のみならずベテランにも好ましい企画である。解剖学といえば20歳のときに父から買ってもらったSpalteholzの4冊を,今も座右においてたびたび繙いているが,手術に必要な局所解剖の不足をいつも感じていた。

 現代の泌尿器科手術は,著しく広範囲,多様,複雑となっている。手術のコツは沢山あろうが,1つは正しい剥離面の発見であり,第2は側副血行路を持つ血管を思いきりよく切断することであろう。局所解剖をよく理解することによって,実行は初めて可能となってくる。

基本情報

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臨床泌尿器科
43巻8号 (1989年8月)
電子版ISSN:1882-1332 印刷版ISSN:0385-2393 医学書院

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