臨床眼科 68巻9号 (2014年9月)

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目的:滲出型加齢黄斑変性(AMD)に対するアフリベルセプト硝子体内投与の治療成績を検討した。対象と方法:滲出型AMDに対しアフリベルセプト硝子体内投与を行い,6か月以上経過観察できた64例64眼(典型AMD16眼,ポリープ状脈絡膜血管症44眼,網膜血管腫状増殖4眼)を対象とした。平均年齢は75.0±8.3歳であった。視力はlogMARで評価し,0.3以上の変化を改善,悪化とした。結果:投与前平均視力がlogMARで0.44±0.41であったのに対し,投与後6か月の平均視力は0.38±0.38であり,有意に改善がみられた(p<0.01)。視力変化は6%が改善,92%が不変,2%が悪化であった。中心窩網膜厚も298μmから209μmと有意に減少した(p<0.01)。アフリベルセプトの平均投与回数は2.4回であった。結論:AMDに対するアフリベルセプト硝子体内投与は,滲出性変化の改善,視力維持に有効である。

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要約 目的:PASCAL®のパターンシステムを利用したレーザー線維柱帯形成術(PLT)と選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)の眼圧下降効果について後ろ向きに比較検討した。対象と方法:開放隅角緑内障21例24眼のうち,12眼にPLT,12眼にSLTを施行し,レーザー前後の眼圧を6か月以上経過観察した。結果:PLT群,SLT群ともに6か月で有意な眼圧下降が得られた。眼圧下降率は,6か月の時点でPLT群およびSLT群ともに統計学的な有意差はなかった。結論:PLTは,6か月の経過観察期間においてSLTと同等の眼圧下降効果を示した。

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要約 目的:結膜に限局したMALTリンパ腫の臨床経過の報告。対象と方法:2011年までの24年間に受診した結膜リンパ腫患者のうち,結膜に限局し,生検でMALTリンパ腫と診断され,1年以上の経過が追跡できた43例58眼を対象とした。男性が14例,女性が29例で,15例が両眼性,28例が片眼性であった。27例40眼には放射線治療を行い,16例18眼は無治療とした。結果:全43例の10年全生存率は100%,10年無再発生存率は86%で,うち放射線治療群では96%,無放射線治療群では67%であった。再発は治療群に1例,無治療群に2例あった。有害事象としての白内障とドライアイは,いずれも治療群で有意に多かった(p=0.003,p=0.036)。結論:結膜に原発するMALTリンパ腫は,放射線治療を行わなくても経過がかなり良好であり,放射線治療後に局所再発があり,これに関連する有害事象が生じる。結膜に原発するMALTリンパ腫の治療方針は,これらを考慮したうえで決める必要がある。

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要約 目的:強度角膜乱視白内障眼に対する乱視矯正眼内レンズ(TIOL,Alcon社製)の術後成績の報告。対象と方法:強度角膜乱視白内障眼にTIOL(SN6AT6:12眼,SN6AT7:8眼,SN6AT8:3眼,SN6AT9:1眼)を挿入し,術後1か月以上経過観察できた22例24眼(平均年齢68.1歳)である。術前と術後1か月の視力(裸眼・矯正),角膜乱視,自覚屈折,軸回旋誤差を後方視的に検討した。結果:視力(矯正・裸眼)と自覚乱視は術後1か月で有意(p<0.001)に改善した。角膜乱視に有意差はなかった。TIOLの軸回旋誤差は2.8°であった。結論:TIOLは強度乱視白内障眼の乱視矯正に有効である。

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要約 目的:東日本大震災のため,仮設住宅生活を余儀なくされた被災者のドライアイ症状の変化の報告。対象と方法:2011年3月11日以前より気仙沼市立病院眼科に通院し,かつ震災で被災し,仮設住宅で生活することになったドライアイ患者30例を無作為に抽出した。ドライアイ症状の変化,治療経過についてレトロスペクティブに比較検討した。結果:自覚症状の悪化は17例(57%),不変は13例(43%),改善例はなかった。悪化した主な症状は眼乾燥感が47%,異物感が35%,霞みが12%,流涙が6%であった。症状が悪化した時期は震災から6か月以内が18%,6~12か月が53%,12~24か月が29%であった。震災後,新たな点眼の追加なく経過観察できた症例が41%,点眼の1剤追加が47%,2剤追加が12%であった。点眼を追加した10例すべてにジクアホソルナトリウムを追加しており,その後のドライアイ症状経過は改善が60%,不変が40%であった。結論:ドライアイ症状が悪化した原因は,主に心的外傷と環境ストレスが考えられた。震災後の継続的なストレス下では,数か月のタイムラグ後にドライアイが痛覚知覚に関連する症状が増加すると推測された。

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要約 目的:マイトマイシンCを併用した初発翼状片の切除術後の自発的瞬目の変化の報告。対象と方法:過去6か月間に同一術者によりマイトマイシンCを併用した初発翼状片の切除術が行われた5例6眼を対象とした。全例が女性で,平均年齢は68.6±6.9歳である。高精度瞬目解析装置を用いて,両眼の自発性瞬目を術前と術後3か月で測定した。結果:術後3か月に翼状片の再発はなかった。瞬目の回数,上眼瞼移動距離,瞬目時の移動距離,瞬目時間には,術前と比較して術後3か月で有意差がなかった。結論:マイトマイシンCを併用した初発翼状片の切除術では,その3か月後には瞬目に及ぼす影響が少なかった。

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要約 目的:光干渉断層計(OCT)で測定した網膜神経線維層厚と,Humphrey自動視野計で検出された視野障害の相関の報告。対象と方法:外来に通院中の緑内障患者27例54眼を対象とし,網膜神経線維層厚と,Humphrey自動視野計による視野障害を測定した。網膜神経線維層厚については,global loss volumeとfocal loss volumeを評価した。視野については,mean deviationとpattern standard deviationを検索した。結果:Global loss volumeと視野のmean deviation,focal loss volumeとpattern standard deviationの間に強い相関があった。結論:OCTで測定した網膜神経線維層厚は,Humphrey自動視野計で検出された視野障害と相関する。

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要約 目的:後天性視神経乳頭ピット(APON)を伴う緑内障眼において,深部強調光干渉断層計画像(EDI-OCT)にてAPONに一致した篩状板の亀裂を観察した2症例の報告。症例:77歳および69歳の男性。緑内障が疑われ精査したところ,視神経乳頭の耳下側辺縁に半月状の急峻な陥凹を伴うAPONが認められ,その部分のリム狭小化と網膜神経線維層の菲薄化がみられた。EDI-OCTにて視神経乳頭深部の断層検査を施行したところ,APONの部分の篩状板に楔状の亀裂が認められた。Humphrey視野検査では,APONとリム狭小化に一致した上方の緑内障性視野障害を認めた。結論:APON部分の篩状板には亀裂があり,この部位の軸索障害が視野欠損の原因である可能性がある。

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要約 目的:ブリンゾラミド点眼液からブリモニジン点眼液への変更による安全性と有効性の報告。対象と方法:対象は3か月以上ブリンゾラミド点眼液を使用中の患者16例16眼(男性8例,女性8例,平均年齢77.1±8.8歳)で,ブリンゾラミド点眼液からブリモニジン点眼液にウォッシュアウト期間を設けず変更し,眼圧,血圧,脈拍数,角膜スコア,充血スコア,瘙痒感スコアを変更前,変更1か月後,3か月後,6か月後で検討した。結果:ブリモニジン点眼液に変更前の平均眼圧16.3±3.7mmHgが,変更1か月後12.9±3.5mmHg,3か月後12.6±3.4mmHg,6か月後13.9±3.6mmHgで,各時点で有意に下降した。副作用に関しては変更3か月後に脈拍数が減少したが,臨床上問題となるものはなかった。結論:ブリンゾラミド点眼液からブリモニジン点眼液への変更により眼圧は有意に下降し,脈拍数が減少したが,臨床上問題となる副作用はなかった。

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要約 目的:緑内障に対する円蓋部または輪部基底結膜切開による線維柱帯切除術の短期成績の比較。対象と方法:2012年までの4年間に線維柱帯切除術を行った48例62眼を対象とした。男性28例,女性22例で,原発開放隅角緑内障34眼,原発閉塞隅角緑内障11眼,落屑緑内障13眼,続発緑内障4眼であった。円蓋部基底切開を27眼,結膜切開を35眼に行った。手術の3か月後にその成績を評価した。結果:手術の3か月後の眼圧は,円蓋部基底切開群で有意に低かった(p=0.0058)。視力,薬剤の投薬スコア,周術期の合併症,追加処置については,両群間に差がなかった。強膜フラップのレーザー切糸は,円蓋部基底切開群で有意に多かった(p=0.03463)。結論:円蓋部基底切開群では,周術期に追加処置を要した症例が少なく,良好な眼圧が得られ,強膜フラップのレーザー切糸の症例が有意に多かった。

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要約 目的:角膜実質炎で初発し,全身性の炎症性病変を併発したCogan症候群の報告。症例:36歳女性。2か月前より左眼充血を繰返していた。所見:発症から2年間で両眼周辺部角膜実質炎,右眼虹彩炎,大動脈炎,壊疽性膿皮症,無菌性多発肝膿瘍,内耳障害,上顎洞炎,右眼中間部ぶどう膜炎,右眼無菌性結膜下膿瘍が生じた。角膜実質炎,感音性難聴,内耳障害に加え各種炎症性疾患の合併からCogan症候群と診断した。いくつかの炎症性病変は再燃する傾向にあるが,初診から2年後の現在まで,ステロイドと免疫抑制剤の全身投与,ステロイド点眼で症状は軽快しており,外来にて診療中である。結論:Cogan症候群を発症した場合は全身の炎症性病変の発症にも注意が必要である。

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要約 目的:水晶体欠損と第一次硝子体過形成遺残が併発した朝顔症候群の症例の報告。症例:2歳男児が6か月前から右眼が内方に向くことで白内障が疑われ,紹介受診した。周産期に異常はなく,正常産であった。右眼に水晶体の部分欠損,第一次硝子体過形成遺残,朝顔症候群の所見があった。左眼は正常であり,全身的な異常はなかった。結論:本症例では,第一次硝子体過形成遺残が朝顔症候群と水晶体部分欠損の原因であることが推定された。

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要約 目的:外傷を契機に増大したと推定され,視神経萎縮で発見された眼窩深部の巨大表皮様囊胞の症例の報告。症例:53歳女性が次第に悪化する左眼の眼球突出と視力低下で受診した。12年前に左眼を殴打された。所見:矯正視力は右0.6,左光覚なしで,眼球突出度は右18mm,左29mmであった。左眼に強い視神経萎縮があった。CTで左眼窩の筋円錐内に眼窩先端部に及ぶ長径50mm大の楕円形腫瘤があり,視神経を鼻側に圧排していた。MRIのT2強調画像で腫瘍内部は高信号で造影効果はなかった。経頭蓋的に腫瘍を摘出した。病理学的に表皮様囊胞と診断した。結論:本症例での眼窩深部の表皮様囊胞は,過去に報告されたものよりも巨大であり,眼部への打撲がその増大に寄与していると推定された。

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要約 目的:加齢性眼瞼下垂手術前後の視機能変化について評価した。対象と方法:過去17か月間に手術を施行した加齢性眼瞼下垂症例66例132眼を対象とした。手術前後のmargin reflex distance(MRD),矯正視力,コントラスト感度,眼球収差,8方向視野を測定した。結果:MDR術前0.73±0.94mm,術後2.89±0.94mm(p<0.001)。術後コントラスト感度は改善し(p<0.05),視野は全方向にて改善した(p<0.001)。結論:加齢性眼瞼下垂症は手術治療によりコントラスト感度の改善,視野改善を認めQOVの改善に有効であった。

連載 今月の話題

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 感染性ぶどう膜炎は,眼内液を用いた塗抹,培養による病原体の検出および眼内液と血清中の抗体価率(Goldmann-Witmer coefficient:GWC)により診断されていたが,1990年代に入り,polymerase chain reaction(PCR)が新たな診断法として用いられるようになった。しかし,従来のPCR法は,1回の検査で1種類のプライマーしか用いることができないため,臨床所見から診断された疾患の確定診断法であったが,multiplex PCRの開発によりその検出率は改善され,原因疾患を網羅的にスクリーニングし,診断することが可能となった。

連載 目指せ!眼の形成外科エキスパート・第1回【新連載】

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 さあ!これから31回,2年半にわたる「目指せ!眼の形成外科エキスパート」の連載開始です。最近,各社から「眼の形成外科」に関する書籍が続けざまに出版されていますが,本連載では,不肖,柿﨑が責任編集者として他書籍とは異なる斬新な切り口で編集を行ってゆきます! 読者の皆さんに必ずや「読んでよかった!」と思っていただけるような編集を行います!

 本連載では,眼の形成外科全般の基本,眼瞼,眼窩・腫瘍,涙道の各分野を万遍なく解説してゆきます。柿﨑の担当以外の執筆は,その道のエキスパートに依頼してあります。乞う,ご期待!

 読者のみなさんに楽しんでいただけるよう,各項のはじめとおわりは,ちょっとくだけた(ふざけた?)感じになっています。お堅い医学書院が果たしてこんな編集を許すのか!? 柿﨑と担当の一騎打ち!? しかし,本文は読みやすさを優先して「である」体を用いています。それでは,これから2年半の長い航海へ“Let's get started !”

連載 何が見える? 何がわかる? OCT・第20回

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Point

◎OCTはより早期に構造的変化を捉える助けになる。

◎Preperimetric glaucomaにおいても黄斑部の構造的変化に注意する。

◎OCTによる経過観察の有用性。

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 症例は49歳,女性。2年前からの変視症を主訴に近医を受診し,当科を紹介された。初診時視力は右(1.0),左(1.2),前眼部異常なし,中間透光体は両眼軽度白内障,眼底には両眼後極部全体に集簇した多数の軟性ドルーゼンが認められた。

 フルオレセイン蛍光眼底造影(以下,FA)では初期よりドルーゼンに一致した過蛍光がみられ,インドシアニングリーン蛍光眼底造影(以下,IA)では中期から後期にかけてドルーゼンに一致した過蛍光が認められた。光干渉断層計(以下,OCT)では網膜色素上皮が連続的に隆起し,網膜色素上皮下に中等度の反射を伴う多数の空隙が認められた。視神経乳頭の鼻側にもドルーゼンがあり,家族歴も認めたことから常染色体優性遺伝の家族性ドルーゼンと診断した。

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 本シリーズは,その道のエキスパートたちが自らの経験,哲学とエビデンスに基づいた「新しいスタンダード」を解説,明日からの診療に役立つことを目標としている。本書はまさに300ページを超える大冊で,原発閉塞隅角緑内障(PACG)だけで,こんなに充実した内容のテキストブックは国際的に見ても比類がなく,基礎から臨床まで,正にバイブル的存在といえる。この方面のリーダー,澤口昭一・谷原秀信両教授による編集で,計33名のエキスパートが執筆している。分担執筆書はまとまりに欠ける傾向がみられるが,本書は一人の著者がPACGのために苦心し,研究し,学問し,診療してきた大量の経験をつぶさに書き上げたかのように編集され,熱気や息吹が感じられ,全編がそのような魅力で溢れている。またこと細かに問題となる項目を挙げ,アカデミックな立場から,つぶさに,これに答えるような編集は,謎を解くみたいに面白い。読みながら知識が豊富になること請け合いで,教わるところが多い。

 澤口教授の総説の要点を押さえながらの語り口が面白い。新潟で眼科医として初めてPACGに接し,後日PACGの頻度の高い沖縄に渡り,幾多の困難と研鑽と疫学調査の末に合理的で最高といえる診療レベルに至った経過が物語風にまとめられている。それはまたPACG学および眼科学の進歩の歴史でもあり,興味深い。本書はこの総説を入れて全体が5つの章からなり,疫学と基礎,診断,治療,白内障手術という具合に,基礎から始まり,最終的な診療に至るまで,順序よく解説されている。PACGに接することが少ない地域でも,ひとたび急性発作が起こったら予後がひどいことを知悉している眼科医にとって,ポイントとなるいくつかのリスクファクター,予防法,検査法,危険管理法,治療の要点,手術法の選択,術後管理等,平生わきまえていなければならないことが解説され,それぞれの項目について明快ながら,あたかも医局で高度の知識と豊かな経験を持つ先輩から,直接こと細かに教えを受けているような記述がなされている。例えば,レーザー虹彩切開術は通常2―3ページ解説されているだけであるが,本書ではほぼ10ページを費やして,適応,手技,成績,合併症と対策など,15の小項目に分けて解説されている。

やさしい目で きびしい目で・177

いつまでもお元気で 石岡 みさき
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 カルテや問診票は和暦での記入が多いと思いますが,年齢入力が必要な検査機器は西暦のためメーカーさんからもらった換算表を使っています。前医診療時より抗緑内障点眼薬を使っていて,経過観察をしている患者さんの視野検査をやろうとして早見表を見たところ,あれ,ない…?

 最近もらった早見表は大正12年,1923年が一番最初だったのです。この患者さんは大変お元気な方で,92歳になられたとはびっくり。早見表にないから視野検査をしてはいけない,ということではありませんが,この方にいろいろ検査や治療をすることは医療経済的にどうなんだろうと,ちょっと疑問に思ってしまいました。

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要約 目的:全身サルコイドーシスに巨大虹彩結節が合併し,超音波生体顕微鏡でその経過を観察した報告。症例:33歳男性が右眼の霧視で受診した。矯正視力は左右眼とも1.2で,右眼に巨大な虹彩腫瘤と虹彩炎の所見があった。X線検査で肺門リンパ腺の腫脹があり,CTで縦隔などにリンパ腺腫大と,陰囊に腫瘤があった。生検でサルコイドーシスの診断が確定し,虹彩結節もこれによると推定された。ステロイド薬の点眼を行い,4か月後に虹彩結節は消退した。その3か月後に再発があったが,ステロイド薬の局所治療の強化で寛解した。結論:サルコイドーシスによる巨大虹彩結節の診断と治療効果の判定に,超音波生体顕微鏡が有用であった。

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要約 背景:眼内レンズを固定する方法として,その支持部を前囊の前に乗せ,光学部のみを囊内に固定するout-in-out法と,囊外固定法などがある。後者よりも前者で,術後の屈折がより安定するという見解がある。目的:眼内レンズ固定法の術後長期の屈折変動の報告。対象と方法:過去58か月間に白内障手術を行った症例のうち,眼内レンズをout-in-out法で固定した25眼と,囊外で固定した23眼を対象とした。それぞれ6~225週(中央値54週)と,8~212週(中央値94週)の経過を追った。術後早期の屈折を基準値とし,それから±0.50Dまたは±1.00Dを超えた時点を脱落とし,生存率曲線を比較した。同様な26眼と27眼で,SRK/T式による目標屈折度数を基準値とし,それから±0.50Dまたは±1.00Dを超えた時点を脱落とし,生存率曲線を比較した。結果:いずれの基準値に対しても,両群の生存率曲線の間に有意差はなかった。結論:眼内レンズをout-in-outまたは囊外で固定した群とで,術後の屈折に差がなかった。

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要約 目的:網膜と脈絡膜の循環障害が生じた本態性血小板血症の症例の報告。症例:64歳女性が前日からの右眼の眼痛と視朦で受診した。血小板が増加する本態性血小板血症が7年前からあった。所見:矯正視力は右手動弁,左1.2で,右眼の網膜静脈に口径不同,拡張と蛇行があり,後極部が白濁し,乳頭の発赤腫脹があった。左眼には異常所見はなかった。蛍光眼底造影では,造影開始が遅延し,網膜中心動脈閉塞症と診断した。光干渉断層計と網膜電図の所見もこれと一致した。赤外蛍光造影検査では後極部脈絡膜の循環障害があった。初診時の血小板数は,84.6万/μlであった。3か月後に左眼に視朦が生じた。視力は良好であったが,左眼の網膜静脈の拡張と蛇行があり,乳頭が発赤していた。右眼に乳頭新生血管があり,2か月後に硝子体出血,さらに虹彩ルベオーシスが生じ,眼圧が上昇した。初診から1年後の現在,視力は右手動弁,左1.5で,血小板数は24万/μl前後で安定している。結論:本態性血小板血症は網膜だけでなく,脈絡膜にも循環障害が生じる可能性のあることを,本症例では示している。

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欧文目次

第32回眼科写真展 作品募集
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 第68回日本臨床眼科学会(神戸ポートピアホテル・神戸国際展示場)会期中の2014年11月13日(木)~11月15日(土)に開催される「第32回眼科写真展」の作品を募集します。

べらどんな Cogan先生
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 バイオリンの4本の絃には本来は腸線が使われていた。英語ではcatgutだが,ネコではなく,ヒツジの腸で,プラスチックのもある。

 プロの演奏家はEの絃に鋼線を使うことが多いという。その中でソ連のDavid Kogan(1924-1982)だけは,4本すべてに鋼線を使っていた。こうすると,微妙な味は出せないが,力強い感じになるのだそうだ。

べらどんな 武士の情
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 Duke-Elderの本にミスがあるのを発見した。

 Sir Stewart Duke-Elder(1898-1978)は,20世紀の眼科を代表する臨床家である。

ことば・ことば・ことば ときめき
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 医学部では,2年生の後半になると,内科診断学がはじまりました。触診,聴診,打診が診断の基本でした。もちろん視診もあり,偉い先生になると,患者が診察室に入ってくる足取りだけで診断ができたそうです。

 その当時はドイツ語でしたが,英語だと,触診がpalpationで,聴診がauscultationになります。打診はpercussionで,肺結核の空洞だと,直径が8mmあれば分かると言われました。

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あとがき 中澤 満
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 夏も終わり,いつしか暦の上では秋となりました。秋は勉学のシーズン,学会シーズンでもあります。特筆すべきことに『臨床眼科』では今月から新しい連載がスタートします。柿﨑裕彦先生の編集による「目指せ!眼の形成外科エキスパート」です。しかも嬉しいことに,この連載は今月から2年半という長期にわたり掲載されます。これまで眼球付属器の疾患にはあまりなじみのなかった方や,ちょうど眼形成外科に興味を持ち始めた若い眼科医の皆さん,そしてもちろんベテランの先生にも時宜を捉えた格好の読み物となるでしょう。昨年には日本眼形成再建外科学会も発足しましたし,これからは日本の眼科のなかでもひとつの重要なサブスペシャル領域として眼形成外科が発展するためのお役にも立つことでしょう。

 「今月の話題」は竹内大先生による「感染性ぶどう膜炎の診断:分子生物学の進歩」です。本邦におけるぶどう膜炎の原因疾患で長年続いた不動のビッグ3,サルコイドーシス,原田病,Behçet病の順位が崩れ,2009年の集計ではサルコイドーシス,原田病に続いて急性前部ぶどう膜炎が第3位となったことは記憶に新しいところですが,これまで原因不明とされてきたぶどう膜炎のなかに眼圧上昇を伴う病型にはサイトメガロウイルス感染症がかなりの数でみられることが述べられています。しかも最近のmultiplex PCRを用いた新しい眼内液の診断法により,診断率が飛躍的に上がるという知見です。原因が明らかになれば治療法の幅が広がるのは医学の定石ですので,これも大いに役立つ情報です。

基本情報

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臨床眼科
68巻9号 (2014年9月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

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