medicina 56巻9号 (2019年8月)

特集 みんなが知っておきたい透析診療—透析のキホンと患者の診かた

志水 英明
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 高齢化が進むわが国では腎機能の低下した患者が増加しており,現在約33万人が透析を受けているとされる.当然,内科外来で透析患者を診る機会は今後さらに多くなるだろう.しかし透析患者においては,診療上,注意すべき点が数多く存在する.例えば,以下のような事例があった.

1)維持透析中の患者が手術のために外科系診療科へ入院し,透析翌日に手術を行う予定となった.しかし手術当日,挿管後の採血で高度の高カリウム血症が判明し,手術を「中止するか・継続するか」で慌てる事態となった.幸い,グルコース・インスリン療法でカリウムも安定し,無事手術が施行できた.

特集の理解を深めるための26題

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非専門医であっても透析患者を診察する機会は多いと思いますが,その際には透析患者特有の対応や注意すべきポイントがあります.本日は,透析患者を日常的に管理している透析クリニックの三木祐介先生と,大学病院の救急外来で透析患者を診療することもある岩田充永先生に,お越しいただきました.クリニックや救急外来において,「透析患者を診るうえで困ること,注意すべきこと」をお話しいただければと思います.(志水)

透析についての基本事項

透析の種類とその実際 宮内 隆政
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Point

◎血液浄化の方法は,除去したいもの,透析時間・透析効率をどうするかによって決定する.

◎オンライン血液濾過透析(HDF)は,透析液の厳密な水質管理ができる施設でのみ行うことができる.

◎エンドトキシン吸着療法(PMX)やセプザイリス®の使用は,現段階では推奨度は低い.

◎透析患者のドライウェイトを適正に設定するために,心胸郭比(CTR)や浮腫などの身体所見,血圧などのバイタルサインを評価する.

◎週3回の透析では最低限の腎機能しか担保できない.

透析導入の適応は? 谷澤 雅彦
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Point

◎基本的に透析導入の適応は“AIUEO”〔Acidosis(アシドーシス),Intoxication(薬物中毒),Uremic symptoms(尿毒症症状),Electrolyte disturbance(電解質異常),volume Overload(体液過剰)〕で考える.

◎急性期の透析導入の適応は,急性腎障害に伴う“E”の電解質異常(主に高カリウム血症)と“O”の体液過剰(肺水腫)が中心である.

◎慢性期の透析導入の適応は末期慢性腎臓病に伴う“U”の尿毒症症状が中心である.

◎透析導入の適応に関して,腎機能,電解質,体液量,貧血など明確なカットオフ値があるわけではない.

◎尿毒症症状という測定困難な身体所見や患者の訴えが透析導入の適応となることが多い.

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Point

◎腹膜透析は末期腎不全の腎代替療法として,血液透析,腎移植とともに重要な地位を占める.

◎腹膜透析には大別して持続携行式腹膜透析(CAPD)と自動腹膜透析(APD)があり,どちらも在宅透析として患者のQOLを向上させるメリットがある.

◎すべての患者で腹膜透析を選択できるわけではないが,腹膜透析のメリットと合併症を踏まえ,腎代替療法の1つの選択肢として検討する必要がある.

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Point

◎急性薬物中毒に対する血液浄化法に関して,治療上の有用性を示したエビデンスは乏しい.

◎中毒物質の分布容積,血漿蛋白結合率,内因性クリアランスといった特性に応じて血液浄化療法を行うかどうかを判断する.

◎血液浄化療法が有効と考えられる代表的な中毒物質について記憶しておくことが望ましい.

日常のマネジメント

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Point

◎透析患者の定期検査の主な目的は,合併症および透析量の評価である.

◎基本として,透析患者の定期検査は中2日の透析前に行う.

◎目的によっては,透析前だけでなく透析後,あるいはその両方で検査を実施する.

◎透析量は,Kt/V ureaで評価する.

透析回診で注意すること 志水 英明
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Point

◎透析回診は,通常の外来診察や入院時回診とは異なる.

◎日常的に患者と接している透析スタッフは重要な情報をもっていることが多く,信頼の置ける透析スタッフと良好な関係を築いておく.

◎薬剤アレルギーやペースメーカーの有無といった重要情報は必ず自分でも確認し,患者サマリーにまとめておく.カルテ以外にも「透析施行条件記録」や「看護サマリー」なども確認する.

◎腎障害(透析)患者への薬剤投与量がわかる書籍や情報サイトを入手・把握しておく.

◎透析間の体重増加は重要なバイタルサインである.

血圧管理 田邉 淳 , 柴垣 有吾
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Point

◎透析患者の血圧水準と生命予後の関係はU字型を呈し,収縮期血圧140〜160 mmHg前後と,一般人に比べて高めのほうが予後が良い.低い血圧は生命予後や心血管イベント,血管アクセスのトラブルに直結し,血圧を下げすぎない管理も重要である.

◎透析患者の高血圧では,体液量過剰と交感神経亢進などによる血管収縮が重要である.

◎体液量過剰への対応としてはドライウェイト(DW)の下方修正のほか,運動・栄養指導による筋力増加も検討される.交感神経亢進に対しては,十分な透析やRAAS抑制薬,βブロッカーなど交感神経抑制作用のある降圧薬も検討されるが,血管拡張効果の高いCa拮抗薬などの役割も大きい.

◎DWを下げても降圧効果の出現には時間がかかる.焦ってDWを下げ過ぎるとアクセスや心血管イベントを起こしたり,患者がDWを下げるのを嫌がるようになるため,降圧薬を併用して徐々に下方修正を行うことが重要である.

◎夜間の高度高血圧を伴う透析患者の急性心不全(CS1)の治療は,除水以上に血管拡張薬による降圧が重要であり,そのトリガーとして,虚血性心疾患や睡眠時呼吸障害(SDB)の可能性がある.

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Point

◎隠れた肺野を意識する.

◎肺葉虚脱(無気肺)と紛らわしい画像所見を理解する.

◎少量の胸水を見逃さない.

◎骨折,透析アミロイドーシス,大動脈瘤といった胸部X線で同定できる透析患者に多い骨・血管病変を知っておく.

透析患者の診療

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Point

◎透析患者の感染症診療は,基礎疾患のない患者と同様に,「患者背景→感染臓器→原因微生物→抗菌薬」の順で考える.

◎透析患者に特徴的な免疫不全は,リンパ球減少に伴う細胞性免疫不全と,透析ごとのシャントの穿刺や透析カテーテル挿入に伴う皮膚バリアの破綻である.

◎透析患者の発熱の原因として(特に感染臓器がはっきりしない場合),ブラッドアクセス関連血流感染症(特に黄色ブドウ球菌)と結核感染症(肺外結核を含む)を必ず鑑別に加える.

透析低血圧 春日 弘毅
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Point

◎透析低血圧の原因は,除水速度とplasma refillingの不均衡,不適切なドライウェイト設定,心疾患による心拍出量の低下などが関与する.

◎透析低血圧の原因は,心胸郭比(CTR)や心エコー所見の推移,ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(HANP)などの検査を組み合わせて評価する.

◎透析低血圧には,適切なドライウェイト,透析時間とともに,透析の設定や間歇補充型血液透析濾過(I-HDF)などモードの変更,薬物治療により対応する.

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Point

◎透析患者では出血と虚血という相反する要素が併存し,止血アプローチが困難な場合がある.

◎BUNの上昇や,他病態では説明のつかない貧血を認めた際には,上部消化管出血を疑い,緊急内視鏡検査も考慮する.

◎透析患者の持続する腹痛には注意が必要である.「腹痛+アニオンギャップが開大した乳酸アシドーシス」は腸管虚血を示唆する所見である.

◎透析患者の膵囊胞性病変を見つけた場合には,積極的に専門科へコンサルトをする.

透析患者の循環器疾患 石井 秀樹
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Point

◎透析患者では,無症候症例でも虚血性心疾患,心臓弁膜症,心房細動が潜んでいる可能性が高い.

◎透析患者は非常に高い頻度で冠動脈病変を有しており,多枝病変,石灰化病変も特徴である.

◎透析患者では心外膜側冠動脈のみならず,微小循環障害にも注意する.

◎透析患者では非透析患者以上に,治療方針決定において栄養状態やフレイルの評価が重要となる.

◎透析患者の心血管イベント抑制に有効性が証明されている薬物はほとんどない.

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Point

◎慢性腎臓病(CKD)患者では,高リン(P)血症,活性型ビタミンD低下,二次性副甲状腺機能亢進症を背景に,骨病変や血管石灰化をきたす.このような病態を“慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)”と呼ぶ.

◎透析でのP除去および食事でのP制限のみで高P血症を管理することは難しい.そのため,多くの症例でP吸着薬が必要となる.

◎P吸着薬は,薬剤の選択・用量調節に加え,患者の内服コンプライアンスも重要である.タイミングや飲み方を含めた患者指導を適切に行う.

◎二次性副甲状腺機能亢進症の治療は,活性型ビタミンD製剤とカルシウム(Ca)受容体作動薬が中心となる.ともに副甲状腺ホルモン(PTH)値を低下させるが,血清Ca・P値に及ぼす影響が異なる.

◎透析患者が合併症のため入院となった場合,P摂取の低下や長期臥床による脱灰により,それまでは安定していたCKD-MBDの病態が変化することがある.

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Point

◎腎性貧血はエリスロポエチンの相対的不足によって生じるため,赤血球造血刺激因子(ESA)製剤により,エリスロポエチンを体外から補充して治療する.

◎透析患者に貧血がみられた場合,他の原因がないか検索が必要である.

◎ESA製剤を投与しても改善しない場合は,ESA低反応性を考慮する.

糖尿病管理 森 克仁 , 稲葉 雅章
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Point

◎血糖管理の指標として,腎性貧血の影響を受けないグリコアルブミンを使用する.

◎血液透析では,透析による低血糖や透析起因性高血糖などが生じる.

◎経口血糖降下薬はDPP-4阻害薬やα-グルコシダーゼ阻害薬,ナテグリニドを除く速効型インスリン分泌促進薬が使用可能である.

◎インスリン療法では低血糖をきたしにくい超速効型・持効型インスリン製剤の選択を考慮する.

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Point

◎血液透析患者の皮膚瘙痒感は患者のQOLを低下させるだけでなく,生命予後も不良にする重大な合併症である.

◎原因として,腎不全や透析治療,ドライスキン,内因性オピオイドなどの因子が複合的に関与する.

◎治療としては原因別かつ包括的なアプローチが必要であり,尿毒症性物質の十分な除去,スキンケア,生活指導を行う.

◎さまざまな治療に抵抗性の場合は,選択的κオピオイド受容体作動薬(ナルフラフィン塩酸塩)の投与を検討する.

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Point

◎透析患者では薬物動態が変化し,通常用量を投与しても期待した効果が得られない場合や,副作用を引き起こす可能性がある.

◎患者の状態をさまざまな側面から観察し,他職種と協同して治療を行うことが大切である.

◎透析患者では多くの診療科から薬剤が処方されており,お薬手帳を活用することで,副作用などを予防できる.

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Point

◎サイコネフロロジーは慢性腎臓病患者の心の問題を取り扱う学問である.

◎透析患者はその病期によって,さまざまな心理的変化を呈する.

◎透析患者に対する心理的ケアの大原則は「良好な治療関係の構築」である.

◎うつ病を疑う患者や対応が難しい患者では,精神科医・心療内科医との連携を模索する.

透析患者で注意すべき検査 龍華 章裕
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Point

◎透析患者に対して,ヨード造影剤を用いた直後の造影剤除去を目的とした透析は原則不要である.

◎透析患者に対するガドリニウム造影剤の投与は原則禁忌である.

◎透析患者において,大腸内視鏡検査の前処置で使用する薬剤には注意が必要である.

◎透析患者に対する周術期の絶食は高カリウム血症のリスクがある.

HIV感染症と透析 横幕 能行
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Point

◎今後,糖尿病など非HIV陽性者と同じ理由で要透析となるHIV陽性者が増加する.

◎HIV陽性者に対応可能ということは,標準予防策など適切な感染管理ができる施設の証である.

◎曝露後対策には,最新かつ正確な疾病知識の習得および拠点病院との連携が重要である.

透析患者がERを受診したら

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Point

◎血液透析患者が救急外来を受診した際には,特に動脈硬化リスクが高い患者であることと,免疫不全患者であることを意識して診療にあたる.

◎心不全を呈する患者では,単なる体液過剰のほかに急性冠症候群や肺炎などの合併の有無を評価する.

◎透析用アクセス関連のトラブルでは,閉塞・感染・破裂の兆候に注意して診察を行う.

◎血液透析患者では常に高カリウム血症を鑑別に挙げる必要があり,場合により緊急透析を検討する.

◎腹部症状を呈する患者では,出血や腸管壊死の有無を評価する必要がある.

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Point

◎腹膜炎は腹膜透析に伴う重篤な合併症の1つである.

◎腹膜透析関連腹膜炎では,腹部症状を伴わないケースがあることに留意する.

◎腹膜炎を疑った段階から,適切な手順で排液検査をオーダーし,速やかに抗菌薬治療を開始することが重要である.

透析患者の心不全 安田 隆
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Point

◎透析患者ではほとんどの症例で心臓の異常を有するため,臓器うっ血症候が認められた際には心不全として対処する.

◎透析患者においても,心不全はリスクを有する段階から進行していく疾患と捉え,病期に応じた治療を行う.

◎透析患者の心不全管理については明確なエビデンスに乏しいため,多くは非透析患者の管理に基づいて行われている.

透析患者の外傷 冨永 聡 , 岩田 充永
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Point

◎透析患者は健常者に比較して転倒リスクが高い.問診で背景因子を把握しておく.

◎透析患者は骨折や,頭部外傷による慢性硬膜下血腫などのリスクが高い.

◎出血リスクが高い患者においては,持続的腎代替療法(CRRT)での抗凝固法としてクエン酸を用いる方法がある.

透析患者が入院したら

術前・術後管理 寺下 真帆
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Point

◎透析患者は周術期死亡のリスクが高いため,外科・麻酔科と連携して全身管理を行う.

◎周術期は透析条件やドライウェイト(DW),赤血球造血刺激因子(ESA)製剤の見直しが必要となる.

◎絶食時間が長くなるとfasting hyperkalemiaを起こしうるため,ブドウ糖含有輸液を投与する.

脳卒中への対応 祖父江 理
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Point

◎透析患者は脳卒中(脳出血,脳梗塞)のリスクが高い.

◎急性期に体外循環が必要な際は,頭蓋内圧上昇をきたしにくい持続的血液濾過透析などの透析方法を選択する.

◎抗凝固薬による出血傾向に注意し,基本的にメシル酸ナファモスタットを用いる.

◎腎不全による薬剤の蓄積に留意する.透析患者では直接経口抗凝固薬(DOAC)は禁忌である.

連載 見て,読んで,実践! 神経ビジュアル診察・16

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 これまでに触覚・痛覚・振動覚・皮質感覚と,感覚障害を色々な角度から見てきました.深部感覚障害のなかでも位置覚の障害は重要な検査です.しかし位置覚の検査法は鋭敏な検査ではなく,運動拙劣がないと検出感度が低下します.ではどのような検査が,位置覚異常を検出するためによいのでしょうか? 今回は,そんなときにとっても役立つ「母指探し試験」についてお話します.

連載 目でみるトレーニング

連載 物忘れ外来から学ぶ現場のコツ 認知症患者の診かた・15

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ポイント

医学的に確立された予防法はまだありませんが,糖尿病治療,生活習慣の改善は健康上大切なことですし,目標・励みになります.患者さんと介護者の状態・生活環境に配慮したアドバイスをします.

連載 母性内科の「め」 妊婦・授乳婦さんのケアと薬の使い方・14

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症例(前回のあらすじ)

 40歳のHさんには8歳の女児と5歳の双子の男児がいます.今回4人目を自然妊娠で授かりましたが,近医の産婦人科で高血圧であることが判明し,周産期センターのある当院での出産を勧められ,妊娠7週で母性内科外来を紹介受診しました.

 診察時,血圧138/88mmHgとすぐに治療を要する状態ではなく,自宅での血圧測定を行うように指示され,血圧は123〜135/70〜80mmHgと安定していました.

 妊娠11週,再度母性内科外来を受診し,低用量アスピリン(low dose aspirin:LDA)の内服が開始されました.

連載 医師のためのビジネススキル・15

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事例

200X年4月,累積債務と医師退職により経営困難となった市立○○病院が民営化された.新院長として赴任したA医師.何から始め,どのようにリーダーシップを発揮すべきか.

職員 「院長,これからこの病院をどうするんですか? 方針を示して下さい」

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 私は変わった主訴の患者さんが大好きだ.

 なぜなら,考えてしまうからである.「なんでこの患者さんはこういう訴えをするんだろうか」と.

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 関節リウマチは,近年劇的な治療の進歩を遂げた疾患の1つであり,さまざまなガイドラインやリコメンデーションが発表され,できるだけ早期に診断し躊躇なく強力な治療を導入して臨床的寛解と関節破壊阻止を目指すのが,現在のトレンドとなっている.その進歩の主たる要因はメトトレキサート,生物学的製剤および低分子分子標的薬などの強力な「抗リウマチ薬」の開発と適応にあることはいうまでもない.しかし,その一方で,数の増えたこれらの抗リウマチ薬をどのように使いこなせばよいのかという悩みとともに,一次・二次無効例の存在といわゆるバイオ難民の問題や,副作用,合併症,経済的理由などのさまざまな理由で最新のリウマチ治療が行なえない患者も多いのが現状である.

 本書は,兵庫医科大学名誉教授の佐野統先生と兵庫医科大学リウマチ膠原病科の東直人先生が編集された,関節リウマチ治療薬のガイドブックである.「だから,これを選ぶ,こう使う」という副題が示す通り,「抗リウマチ薬の特徴と適正使用」で数多くの薬剤の特徴を総論的に解説し,「特定の状況下での薬剤選択と使い方」で小児,妊婦,高齢者,周術期や合併症を抱える患者における適切な使い方を解説し,「有害事象とその対策」で副作用の注意と対策を解説するなど,実臨床に即した構成と内容が平易に解説されている.ともすれば近年のガイドラインではエビデンスを重視するあまり従来の古典的な抗リウマチ薬を軽視ないし無視する傾向があるが,本書ではそれらについてもきちんと解説がなされている.もちろん本書に取り上げられた薬剤とその使い方については最新のエビデンスも踏まえている.末尾に各抗リウマチ薬の概要(剤型,用法・用量,特徴)と相互作用(併用禁忌と併用注意)が一覧表形式でまとめられている点も実用的でありがたい.また特筆すべきは執筆陣の豪華さであり,リウマチの薬物療法に造詣の深いわが国のリウマチ学における第一人者ばかりを集めた大変ぜいたくな布陣となっている.

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 このたび,Alan Hauser著の“Antibiotic basis for clinicians:The ABCs of choosing the right antibacterial agent, 3rd edition”の日本語版である『医師のために論じた判断できない抗菌薬のいろは』が発刊されることとなった.

 監訳者はわが国を代表する感染症医である,神戸大学大学院医学系研究科微生物感染症学講座感染症治療学分野の岩田健太郎教授である.すでに前2版は岩田教授の監訳により『抗菌薬マスター戦略』として刊行されており,今回,内容・タイトルを一新しての発刊となった.

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 本書は,救急のマニュアルとしては最も有名なものの1つである,田中和豊先生の『問題解決型救急初期診療』(医学書院)の姉妹本にあたる同著者の「検査版」の第2版である.

 検査と銘打たれているが,本書の本質は検査の解説本やマニュアル的な内容ではない.

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 「ER診療に一片の悔いなし」,稀勢の里,いやラオウのようなコメントはとても私にはできない.もう少しきちんと病歴を聞けばよかった,バイタルサインの異変になぜ気付かなかったんだ,検査の前にやることがあった,理解しやすいように病状説明するべきだった,などなど,いくつも反省すべき点がある.

 ERは,限られた時間で緊急性の高い疾患や重症度の高い疾患を診る必要があり,診断エラーに陥りやすい場である.また,忙しくなると,夜間であると,自分自身のコンディションがよくないと,そのリスクはさらに上昇する.

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medicina
56巻9号 (2019年8月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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