特集 みんなが知っておきたい透析診療—透析のキホンと患者の診かた
日常のマネジメント
血圧管理
田邉 淳
1
,
柴垣 有吾
1
1聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科
pp.1397-1403
発行日 2019年8月10日
Published Date 2019/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402226436
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Point
◎透析患者の血圧水準と生命予後の関係はU字型を呈し,収縮期血圧140〜160 mmHg前後と,一般人に比べて高めのほうが予後が良い.低い血圧は生命予後や心血管イベント,血管アクセスのトラブルに直結し,血圧を下げすぎない管理も重要である.
◎透析患者の高血圧では,体液量過剰と交感神経亢進などによる血管収縮が重要である.
◎体液量過剰への対応としてはドライウェイト(DW)の下方修正のほか,運動・栄養指導による筋力増加も検討される.交感神経亢進に対しては,十分な透析やRAAS抑制薬,βブロッカーなど交感神経抑制作用のある降圧薬も検討されるが,血管拡張効果の高いCa拮抗薬などの役割も大きい.
◎DWを下げても降圧効果の出現には時間がかかる.焦ってDWを下げ過ぎるとアクセスや心血管イベントを起こしたり,患者がDWを下げるのを嫌がるようになるため,降圧薬を併用して徐々に下方修正を行うことが重要である.
◎夜間の高度高血圧を伴う透析患者の急性心不全(CS1)の治療は,除水以上に血管拡張薬による降圧が重要であり,そのトリガーとして,虚血性心疾患や睡眠時呼吸障害(SDB)の可能性がある.
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