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関節リウマチは,近年劇的な治療の進歩を遂げた疾患の1つであり,さまざまなガイドラインやリコメンデーションが発表され,できるだけ早期に診断し躊躇なく強力な治療を導入して臨床的寛解と関節破壊阻止を目指すのが,現在のトレンドとなっている.その進歩の主たる要因はメトトレキサート,生物学的製剤および低分子分子標的薬などの強力な「抗リウマチ薬」の開発と適応にあることはいうまでもない.しかし,その一方で,数の増えたこれらの抗リウマチ薬をどのように使いこなせばよいのかという悩みとともに,一次・二次無効例の存在といわゆるバイオ難民の問題や,副作用,合併症,経済的理由などのさまざまな理由で最新のリウマチ治療が行なえない患者も多いのが現状である.
本書は,兵庫医科大学名誉教授の佐野統先生と兵庫医科大学リウマチ膠原病科の東直人先生が編集された,関節リウマチ治療薬のガイドブックである.「だから,これを選ぶ,こう使う」という副題が示す通り,「抗リウマチ薬の特徴と適正使用」で数多くの薬剤の特徴を総論的に解説し,「特定の状況下での薬剤選択と使い方」で小児,妊婦,高齢者,周術期や合併症を抱える患者における適切な使い方を解説し,「有害事象とその対策」で副作用の注意と対策を解説するなど,実臨床に即した構成と内容が平易に解説されている.ともすれば近年のガイドラインではエビデンスを重視するあまり従来の古典的な抗リウマチ薬を軽視ないし無視する傾向があるが,本書ではそれらについてもきちんと解説がなされている.もちろん本書に取り上げられた薬剤とその使い方については最新のエビデンスも踏まえている.末尾に各抗リウマチ薬の概要(剤型,用法・用量,特徴)と相互作用(併用禁忌と併用注意)が一覧表形式でまとめられている点も実用的でありがたい.また特筆すべきは執筆陣の豪華さであり,リウマチの薬物療法に造詣の深いわが国のリウマチ学における第一人者ばかりを集めた大変ぜいたくな布陣となっている.
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