medicina 38巻5号 (2001年5月)

今月の主題 動きながら考える内科エマージェンシー

Editorial

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3つの困難

 夜間や休日の救急外来や急変のコールにおいては,一般外来や安定しているときの病棟診療とは比較できないほどの困難がつきまとう.なかでも以下の3つは代表的なものである.

緊急救命

心肺停止 小田 浩之
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ポイント

 準備がすべて.常に,頭の中でシミュレーション.

 チームプレーを重んじよ.スタンドプレーは場を乱す.

 全体の流れをつかんでから,細かい点を学ぶべし.

 家族・チームメンバーのケアを忘れるな.

ショック 木村 雅英
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ポイント

 血圧低下と脳血流低下に伴う症状(意識障害,痙攣,片麻痺などの神経学的な局所症状)があれば,救急室ではショックとして迅速に対応.

 鑑別診断を念頭に,病状・病歴と身体所見より診断の絞り込みを行い,迅速に治療を開始.

 外傷の確認を怠ってはならない.

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症例

救急隊より連絡「72歳の男性.急な呼吸困難を訴え,意識状態が急速に低下.酸素マスク10l/min吸入下でSpo2が62%より上昇せず搬送中.」

症状からのアプローチ

中高年の胸痛 澤 祥幸
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ポイント

 胸痛3大疾患(心筋梗塞,解離性大動脈瘤,肺塞栓)と緊張性気胸を見逃すな.処置,検査,鑑別診断も3大疾患を最優先する.いかに短時間に診断し治療を開始できるかにより,患者の生命,QOLが大きく左右される.

 己の技を知れ.所属する施設(病院)は,胸痛3大疾患の緊急治療〔冠動脈インターベンション(CAG,PTCA・ステント),大動脈手術,肺動脈造影〕が実施可能か.

 患者から目を離すな.胸痛3大疾患は一瞬の隙にも容態が変化する.

強い上腹部痛 雨田 立憲
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症例

救急隊から「67歳,女性.上腹部痛を主訴に救急搬送中.バイタルはショックではないが,冷や汗をかいて,かなりきつそうです.5分後病院着の予定.」

強い腰痛 中村 権一
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ポイント

▶成人の約2/3が腰痛を経験している.

▶急性腰痛患者の約80%は約1ヵ月以内に軽快する.

▶腰痛患者の約1%未満に,癌の骨転移,骨髄炎など重篤な疾患が隠れている.

▶50歳以上の腰痛患者では,特に注意深い問診と身体所見を行う.

▶膀胱直腸障害などの神経障害があれば,専門医への早急なコンサルテーションが必要である.

女性の下腹部痛 窪地 淳
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症例

 女性の下腹部痛.

激しい頭痛 林 寛之
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ポイント

 激しい頭痛は必ず,①くも膜下出血,②髄膜炎,◎高血圧性脳症のワースト3をまず鑑別すべし.

 キーワード「人生最大の頭痛」かどうかを聞き出すべし.

 CTが正常でも,くも膜下出血を疑ったら腰椎穿刺を迷わず行う!

 細菌性髄膜炎を疑ったら検査結果を待たずに抗生物質を投与!

 40歳以上で初発の激しい頭痛は,痛み止めだけで帰してはいけない.必ず精査を!

突然の動悸 木村 勝智
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ポイント

 動悸を訴える患者の多くは不整脈であるが,時に他の呼吸・循環系疾患の場合もある.病歴と身体所見および検査所見から,素早くこれらを除外診断する必要がある.

 緊急に治療が必要な不整脈を迅速かつ的確に診断し,適切な初期治療を開始することが何より重要である.

高齢者の失神 木村 眞司
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ポイント

 失神は日常の臨床で非常に多くみられる.

 失神の鑑別診断は多岐にわたるが,病歴・基礎疾患・年齢によって頻度が大きく異なるため,詳細な病歴が何よりも重要である.

 一過性脳虚血発作が(随伴症状なしに)失神のみを起こすことは稀である.

意識障害を伴う痙攣発作 島田 耕文
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ポイント

▶病歴・既往歴の聴取をできるだけ詳しく.目撃者や家族に必ず聞くこと.

▶痙攣が続いている場合は,呼吸・循環のチェックを行いながら,迅速な治療と原因検索を同時進行で.

▶痙攣重積は30分以内にとめる.phenytoin(アレビアチン®)の使い方を知っておくこと.

▶痙攣重積では,輸液路は静脈留置針で2カ所確保すること.

中高年のめまい 大石 延正
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ポイント

 めまい診察の順番バイタルサインの確認,一般身体診察,神経学的診察,神経耳科学的診察の順番で行う1)

 急性期めまいの診察は,生命に危険のあるめまいかどうかを鑑別することにある.

 問診は身体診察と同じくらい重要,可能な限り詳しく聞き出す.

 まず最初に回転性めまい(vertigo),動揺性めまい(dizziness),失神(前)様めまい(presyncope)のどのタイプに属するかを区別することが正しい診断への第一歩である1)

 めまい疾患に対する知識をつけよう.知識なく診察しても効率が悪い.

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ポイント

 神経学的局在徴候を伴わない意識障害では,脳の占拠性病変よりまず代謝性脳症を考えるべきである.ただし,くも膜下出血と急性髄膜炎は脳の器質的疾患であるが,神経学的局在徴候を伴わないので注意を要する.

 意識障害の原因を同定し適切な治療を行うのが原則であるが,このために治療が遅れてはならない.重度の意識障害の患者では,まずバイタルサインの評価を迅速に行い,救急処置を最優先する.

 患者自身から病歴をとれない場合には,周囲の人からの情報は貴重である.また患者自身の所見に,診断に重要な情報が潜んでいる.

 血液検査,頭部CT検査は必須であり,髄液検査は必要に応じて迅速に行う.

不穏状態 保坂 隆
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ポイント

 まず不穏を落ちつかせようと薬剤でセデーションを図ると,意識障害によるものである場合には,その後の経過観察に悪影響を与える.

 抗ドパミン剤によるアカシジア(静座不能症)も不穏と思われてしまうことがある。診断のポイントは,患者本人でさえ「なぜかわからないがじっとしていられない」といった意味のことを言う点である.

発熱 青木 泰子
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ポイント

 感染症による発熱と感染症以外の原因による発熱の鑑別が重要.

 緊急の治療を要する感染症のサインは,意識障害,ショック,出血傾向,髄膜刺激症状,発疹などである.

 市中感染症に対する最大公約数的な治療は,血液培養後に広域スペクトラムの抗菌薬を投与すること.

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ポイント

 血を吐いたとの病歴であっても,耳鼻科領域,呼吸器領域からの出血もあるので注意を要する.

 初期診断には病歴が重要であり,早期処置と併行して誘因・状況・既往歴などを聴取する.

 上部消化管出血は早期の内視鏡検査が必須であり,専門医に直ちに連絡をとる.

 内視鏡検査の前に必ず心機能,呼吸機能,肝機能,腎機能,出血傾向の有無を,少なくとも病歴と身体所見により評価する。

 緊急の輸血が必要となることも多く,病状と併せ本人と家族に十分な説明を行う.

一般医に必要な救急治療

高カリウム血症 福成 健一 , 佐藤 隆
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ポイント

▶心電図変化を伴った高カリウム血症はメディカルエマージェンシー.しかし心電図変化が軽微な重症例もある.

▶高度の高血糖症例にはインスリン投与のみで十分な治療となりうる.

▶初期治療でのメイロン®のルーチンな投与は勧められない.

低血糖発作 川畑 秀伸 , 山本 和利
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ポイント

 低血糖症状は非特異的であるので,低血糖を疑ったら血糖値を測定し,強く疑う場合は結果を待たずに50%ブドウ糖液20mlを静注する.

 原因の頻度からは糖尿病患者とそれ以外の患者に区別できる.

 再発を防ぐために,原因確定と治療,教育が重要である.

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ポイント

 DKAとHHNSの2つが緊急を要する高血糖である.

 DKAとHHNSの治療の基本は,輸液による脱水の矯正であり,次にインスリン持続投与による高血糖是正,電解質補正である。

 DKA,HHNSの誘因を検索することを忘れてはならない.

熱中症 西垂水 和隆
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ポイント

 高体温,中枢神経障害,高温状況への曝露歴があれば熱射病の診断.

 熱射病は高体温による多臓器不全.解熱までの時間が予後を変える.

 無汗は古典的熱中症.運動誘発型では発汗がみられることあり.

 原因薬物服用歴や基礎疾患を見逃さない,

急性薬物中毒 武田 多一
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ポイント

 急性薬物中毒による意識障害は,その他の器質的疾患や機能性疾患を除外してから診断される.

 自殺企図の場合には,複数の薬剤や劇毒物を併用したり,ほかの自殺手段を併用していることが多い.

 誤飲による急性薬物中毒では,拮抗薬投与,胃洗浄,活性炭投与,下剤投与,強制利尿,血液浄化法の適応を考えて施行する.

ターニングポイントの判断

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ポイント

 治療可能な腎前性腎不全を見逃さないこと.常に腎前性の要素を探す意識が必要である.

 体液量の評価をせずに利尿剤を投与しない.

 腎前性,腎性の鑑別診断は検査所晃だけでなく,常に臨床像と合わせて判断する.

 腎前性要素があると判断できたときには,等張液で輸液負荷を行う.

 迷ったときには専門医とともに迷うプロセスも経験すること.

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ポイント

 急性左心不全(肺水腫)のなかには喘鳴のみで湿性ラ音を聴取しないものがあり,心不全か喘息かの鑑別で迷う場合がある.

 喘鳴は心不全の存在を除外しない.

 心不全(特に左心機能不全)を疑わせる病歴や身体所見があれば,まずその治療を試みる.

 他方を完全に除外してどちらかに決める必要はなく,可能性が高いと思われるほうの治療から試みる.

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ポイント

▶著明な血圧上昇を認めた場合,高血圧緊急症を鑑別するためには臓器障害の有無を確認することが大切である.

▶臓器障害の心配のない,いわゆる偽緊急症(pseudoemergencies)では一般的には降圧の適応はない.

▶高血圧緊急症の治療には,nifedipine(アダラート®)の舌下投与ではなく,経静脈投与で,降圧薬を使用すべきである.

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ポイント

 症状,徴候と身体所見から喘息の重症度を評価し,緊急性を判断する。

 喘息発作と認識したら,β2刺激薬の吸入投与を開始しながら手短に病歴と身体所見をとる.酸素飽和度は90%以上に保つ.

 β2刺激薬の吸入治療に反応しない患者には,ステロイドの全身投与を行う.

 入院の適応は,喘息死のリスクファクターも考慮して決める.

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ポイント

 腹痛の患者が救急外来にいる,と聞けば,「腸閉塞かもしれない,とすれば基本的に外科疾患,今日の外科コンサルトは何先生かな?」と考えながら救急外来に向かう.

 診察に当たっても,今すぐ手術の必要な緊急の病態(○○○:絞扼,血栓症,穿孔など)をまず想起して,保存的に対処する場合も「この患者さんではこの症状(徴候)がないから○○○ではなさそう.だから,少しこのまま様子をみても大丈夫かな?」というふうに判断を進めてゆく.

 脱水,アシドーシスを見逃さない!→バイタルサインをはじめ,全身状態の観察を!必要に応じて動脈血ガス分析.腸管の循環障害は一刻を争う緊急事態!

 症状では,最後に排便,排ガスがあったのはいつか?痛みの有無とその特徴は?吐物の性状は?症状は急速に進行しているか?などがポイント.

 身体所見では,なんと言っても腹膜刺激症状の有無(反跳圧痛:rebound tenderness)と,機械的閉塞か否か(腸管の金属音:metallic sound)がポイント.典型的な所見を何とか一度は経験しておきたい.腹部の診察では,視診のあと,まず聴診器を当てて,じっくり腸雑音を聴取する習慣をつける.

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ポイント

 患者の病歴,身体所見などより,検査前確率の評価を試みる.

 診断に確信が持てない場合は,帰宅させずに経過観察を行う.また,検査結果が陰性でも専門医への紹介を躊躇しない.

 発症から6時間,CK-MBの経過を追うことで,心筋梗塞の除外はほぼ可能である.しかし,心筋梗塞以外の重要な疾患の鑑別もまた,重要である.

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ポイント

 本症は様々な診療科で発症し,致死的となりうる疾患である.

 呼吸困難や胸痛,失神を主訴とした患者を診療する場合は,常に本症を鑑別疾患として念頭に置くべきである.

 心電図,動脈血液ガス分析,胸部X線,一般血液検査(凝固系を含む),心エコーのうち可能な検査を行い,疑わしい所見がある場合には,速やかに確定診断への検査を行い,専門医へコンサルトするべきである.

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ポイント

 血管内治療の適応,所属する施設・地域の設備,システムに精通しておくこと.

 「今回新たに,いつ,何が起こったのか」発症前ADLの聴取と,ルーチン化された皮質,脳幹機能テストで迅速に評価する.

 脳梗塞診断未確定の段階での抗血栓療法,降圧剤の使用は控えること.

TTPとDICをどう見分けるか 井野 晶夫
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ポイント

 初診時に破砕赤血球を認める場合はTTPの可能性が高い.

 TTPではプロトロンビン時間,活性化部分トロンボプラスチン時間,FDPなどに異常を認めることはほとんどない.

 TTPでは血漿交換療法が有効である.

救急外来でのコミュニケーション

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ポイント

 コンサルトでは結論を先に言う,

 搬送時確認項目=年齢,性別,主訴,バイタルサイン,到着時間,名前.

 言葉の間(ま)には沈黙か接続詞を使う.一文を短く.

 再受診のポイントを具体的に説明する.

 親しい間柄でも,引き継ぎは緊張感をもつ.

 コンサルト理由を明確にする.「一応,念のため」は禁句.

 家族に診療状況を随時伝える.

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 医療従事者にとって,患者・家族とのコミュニケーションが重要なのは言うまでもない.しかし,混乱した救急診療の場面では何かと行き違いが起こりやすいのも事実である.また,コミュニケーションのトラブルは医師と患者の間に限らず,病院の看護・技術・事務職員と患者・家族・付き添い人など,あらゆる組み合わせで起こりうる.このようなトラブルが発生したときにも,医師は現場の最高責任者として,誠意をもって患者・家族に接するべきである.誰しも不愉快な思いをするために病院に来るのではない.

 さて,患者・家族とのコミュニケーションを「ちょっとした心掛けさえあれば誰にでもできること」と軽く考えては大変なことになる.コミュニケーションというものは技術と時間と場所が必要で,そのうえ記録に残さなくてはならない厄介なものである.そこで,筆者の経験から,救急外来におけるコミュニケーションについて,「やらなくてはならないこと」と「やってはいけないこと」をまとめた.筆者自身は3次救急施設に勤める脳神経外科医であり,いささか特殊な立場ではあるが,コミュニケーションの基本は共通であると信じている.

理解のための29題

演習 心電図の読み方・7

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Case

 症例1:66歳,男性.胸痛.

 既往歴:特記すべきことなし.

 現病歴:2日前よりかぜ気味のため自宅で安静にしていた.約2時間前より急激に胸痛を覚えるようになった.座位にて前屈の姿勢をとると少し楽になるので我慢していたが,家人に連れられて来院した.

 身体所見:血圧142/88mmHg,脈拍115/min,呼吸数17/min.奇脈は認めない.聴診では胸骨左縁第4肋間で蒸気機関車音様の三部調の異常音を聴取した.呼吸音に特記すべき異常なし.腹部にて異常所見を認めない.

図解・病態のメカニズム—呼吸器疾患・7

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はじめに—結核の起こり方

 結核症(tuberculosis)は結核菌(Mycobacteriumtuberculosis)による感染症で,肺結核患者が咳をしたときに出るしぶき(飛沫)中の結核菌が,周囲の水分の蒸発により空中を浮遊し,これが吸い込まれ肺内に病巣を作って起こる(飛沫核感染;空気感染).肺胞に定着した結核菌に対して,まず好中球を主体とする非特異的炎症,続いて肺胞マクロファージやリンパ球などによる浸出性病変が起こり,次いで類上皮細胞や多核巨細胞などを主体とし周囲を膠原線維が取り囲む肉芽腫病変(繁殖性/増殖性反応)が形成される1).順調に経過すると炎症性肉芽は膠原線維に置き換えられ,病巣は密で硬い組織に変化する(硬化反応).一方,繁殖性病巣などの中心部にアレルギー的機序による乾酪壊死が起こると,内容物が気道を介して排除され,欠損部位としての空洞ができる.空洞は菌の散布源になる.

 感染したものの一部が結核を発病するが,発病形式としては,感染に連続して起こるもの(一次結核:primary tuberculosis)と,感染後年ないし数十年の後に起こるもの(二次結核:postprimarytuberculosis)とがある.

プライマリケアにおけるShared Care—前立腺肥大症患者のマネジメント・4

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 shared careの必要性

 先進国では人口の高齢化によって高齢者特有の疾患が増加し,その結果,医療費の増加による国家財政の圧迫などが深刻化し,医療制度の見直しが取り上げられている.その1つの解決法として,医療の中心が専門医のケアから,費用がかからず,かつ効率的な医療の提供ができるprimary careへと流れが変わり,制度改革が進んでいる.わが国においても,最近同様の傾向が認められ,病・診連携や診・診連携の重要性がとりわけ専門医の間で再認識されるようになり,地域の核となる病院とかかりつけ医との間に密接な関係が成り立とうとしている.数年後には,欧米に類似するが,わが国の文化に適合した特有の制度が確立されると推測される.

今求められる説明義務・2

説明義務と医師の裁量 古川 俊治
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 インフォームド・コンセントの一般的対象事項

 医師は一般に,患者に対し,①病名と病気の現状,②これに対して採ろうとする治療の方法,③その治療の危険性(危険の有無と程度),④それ以外に選択肢として可能な治療方法とその利害得失,⑤患者の疾病についての将来の予測(予後),の各事項を説明しなければならない1)

 以上の一般的対象事項のおのおのについて,どの範囲の情報を提供しなければならないかが問題であるが,この点について,法律上4つの基準が挙げられている(表1)2).このうち,従来は合理的医師説が採られ,患者が同意の意思決定をするのに必要と思われる内容を説明すれば,医師は一応の説明義務を果たしたことになると考えられてきたのであるが,今日では,二重基準が有力となっており,患者の個別性に応じてより多くの内容を説明することや,通り一遍の説明ではなく個々の患者の立場に即して説明の工夫をすることが求められるようになっている.

新薬情報・10

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 適応■気管支喘息の予防と慢性治療でのコントローラーの位置づけである,同薬は重症度としては軽・中等症から重症の喘息まで,病態としては寒冷・運動・アレルゲン誘発性の喘息まで広い範囲の喘息で効果が確認されている.米国では,喘息に対する単独での使用が認可されているが,欧州では吸入ステロイド薬でコントロールが不十分な患者に対しての追加投与で認可されている.また,欧米では(未認可であるが)アトピー性皮膚炎に対する効果も検討されている.

 用法・用量■20mgおよび40mgの錠剤が利用できる.日本の添付文書では成人に対して,1日40〜80mgを朝食後と就寝前の2回に分けて経口投与するよう指示されているが,この薬物の経口吸収は食事で40%前後低下するため,欧米では投与は食事を避けて食前1時間または食後2時間とするよう指示されている.

連載

目でみるトレーニング

カラーグラフ 消化管内視鏡検査—知っておきたい基礎知識・5

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異所性胃粘膜

 胎生期の食道は円柱上皮で構成されているが,胎生後期に扁平上皮に変わる.この扁平上皮化は中部食道から始まり口側,肛門側に向かうため,頸部食道(Ce)と腹部食道(Ae)に異所性の胃粘膜が残るとされている.

 異所性胃粘膜は境界明瞭で扁平な類円形の発赤病変であり,その表面は平滑である.よく見ると辺縁部に扁平上皮が乗り上げている.また近接観察すると内部に小型のpitを認めることができる.

基本情報

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medicina
38巻5号 (2001年5月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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