今月の主題 動きながら考える内科エマージェンシー
ターニングポイントの判断
腸閉塞—外科医をコールする前に
小泉 俊三
1
1佐賀医科大学総合診療部
pp.842-844
発行日 2001年5月10日
Published Date 2001/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908139
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ポイント
腹痛の患者が救急外来にいる,と聞けば,「腸閉塞かもしれない,とすれば基本的に外科疾患,今日の外科コンサルトは何先生かな?」と考えながら救急外来に向かう.
診察に当たっても,今すぐ手術の必要な緊急の病態(○○○:絞扼,血栓症,穿孔など)をまず想起して,保存的に対処する場合も「この患者さんではこの症状(徴候)がないから○○○ではなさそう.だから,少しこのまま様子をみても大丈夫かな?」というふうに判断を進めてゆく.
脱水,アシドーシスを見逃さない!→バイタルサインをはじめ,全身状態の観察を!必要に応じて動脈血ガス分析.腸管の循環障害は一刻を争う緊急事態!
症状では,最後に排便,排ガスがあったのはいつか?痛みの有無とその特徴は?吐物の性状は?症状は急速に進行しているか?などがポイント.
身体所見では,なんと言っても腹膜刺激症状の有無(反跳圧痛:rebound tenderness)と,機械的閉塞か否か(腸管の金属音:metallic sound)がポイント.典型的な所見を何とか一度は経験しておきたい.腹部の診察では,視診のあと,まず聴診器を当てて,じっくり腸雑音を聴取する習慣をつける.
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