地域リハビリテーション 14巻6号 (2020年1月)

特集 「ビジョン」をかたちにする

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 障害や何らかの理由で生きづらさを抱えた人たちも含むすべての人が,自立・自律し,安心して暮らすことのできるノーマライゼーション社会を広く実現するためには,いまだ制度の不備や周囲からの偏見といった,さまざまな障壁があります。そのような障壁(社会的課題)の解消を「ビジョン」として,それぞれの創意工夫でかたちにしようとしている事業があります。

 本特集では,支援学校卒業後の就労(支援)の場から一歩ずつノーマライゼーション社会をつくりあげていく取り組みと,障害者支援の実践を科学的に理論化し啓発する研究機関の取り組みを紹介します。

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はぁもにぃの設立と活動

 特定非営利活動法人はぁもにぃは,「半径20km圏内からの真のノーマライゼーション社会の実現」を目指し,さまざまな取り組みを行っています。2007年に設立して以来,千葉市緑区で草の根のように少しずつ活動の場を広げてきました。2019年現在,主な事業としては,放課後等デイサービスはぁもにぃ(児童福祉法に基づく放課後等デイサービス事業,対象は中高生),Community café ♭(ふらっと)(地域の方たちと障碍のある方たちの新しい絆つくり事業),就労継続支援はぁもにぃ(障害者総合支援法に基づく就労継続支援A型事業)の運営をしています。

 当団体を立ち上げたのは私ともう一人,知的・発達障碍を持つ子を育てる母親の二人です。「子どもよりも先に逝く親は,何を残してあげられるだろう?」という問いに,私たちの子どもが通っていた市内小学校特別支援学級の先生は次のように答えてくれました。「この子たちに必要なものは家やお金といった資産ではなく,共に過ごす仲間と支援してくれる人,彼らがありのままで過ごせる居場所だと思います」「大きくなくていい。むしろ,彼らが暮らす地域にそういった小さな場所が至る所にあればとても素晴らしいと思っています」と。その言葉をきっかけに当団体を設立しました。始まりは,障碍を持つ子どもたちのこれからの居場所づくりでした。

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社会課題解決に向けた学術研究チーム

 LITALICO研究所は,「障害のない社会をつくる」をビジョンに,子どもの発達支援,働くことに障害のある方の就労支援,困難のある当事者や家族,支援者向けのインターネットプラットフォームなどを運営する「株式会社LITALICO」の学術研究チームです。

 障害分野ではこれまで多様な研究がなされてきたものの,そこで発見された知見が持続性のある社会実装につながった例は,残念ながらあまり多くありません。障害に関する研究のみでなく,テクノロジー,経済,法律など多様な専門家の方と協働できたら,生きづらさや困難さを減らし,多様な人が幸せになれる「人」を中心とした社会をデザインできるかもしれない。そんな想いで,社会の側にある障害,特にEducation(教育)とCareer(仕事)に関する障害についての調査研究・実証研究を軸としながら,「障害のない社会をつくる」ため社外の専門家・研究機関とも連携する,開かれた研究所として運営しています。

連載 化粧で生活を楽しく!・その6【最終回】

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 第3〜5回では,綺麗に仕上がる化粧療法のコツと,片手でメイクをするための自助具をご紹介させていただきましたが,メイクだけでなく,髪型やネイルも,女性がオシャレを楽しみたい! と思う,大切な部分の1つです。

 そこで最終回となる今回は,片手で髪を結ぶための自助具と,マニキュアを塗るための自助具について,また,今後の化粧療法の展望についてご紹介していきます。

連載 高次能機能障害・発達障害・認知症のための邪道な地域支援養成講座 実戦編・第6回【最終回】

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私はリハビリ科出戻りナースのあいか!

師長の師匠?の元師長さんの担当になっちゃってもう大変!

毎日怒られまくり・・・怒られまくりなのです!!

連載 地域生活を支える!? スポーツ内科の基本知識・第2回

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はじめに

 小児期から青年期,壮年期,老年期に至るまで,適度な運動・スポーツ(以下,運動)には様々な医学的効果があることは周知の事実だろう。後述するが,身体的のみならず精神的,社会的なものまで幅広い効果が期待できる。

 一方でハードなトレーニングに励むアスリート・運動愛好家(以下,アスリート)は,本当に皆が「健康」と言えるのだろうか。実際には,倦怠感や息切れなどの症状を抱えていたり,記録の伸び悩みやスランプなど,不調を感じたりしながら競技を続けているアスリートは少なくない。ここに,スポーツ内科の出番があるといえる。スポーツ内科は,運動・スポーツによって発症する内科的疾患の予防や治療を行う医学分野である。

 以上をまとめると,「適度な」運動は良い医学的効果を持つが,「度を超す」運動は逆に健康を害する可能性があるということになる。物事には限度があり,適度なレベルにとどめておかなければ,せっかく健康増進目的で始めた運動も,かえって健康を害する可能性があることを忘れてはならない。

 以下に,臓器/機能別の運動の「医学的効果」と「弊害」をまとめたい。

連載 地域リハ人を育む大学・研究室・第5回

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ご活動テーマをお聞かせください

 私のテーマは,わが国における西のリハビリテーション発祥地として発展してきた北九州市での「リハビリテーション実践学」を伝承していくことです。

連載 地域リハビリテーションのためのマインドフルネス入門・第3回

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 マインドフルネスで難しいことは,ありのままを体験するということです。それは,衝動的に飛びついて何かを変えようとしたり,違う形になるように何かに強いることではありません。(Jon Kabat-Zinn)

 この連載では,現在注目されている「マインドフルネス」をテーマに,地域リハビリテーションへの応用の可能性について考えていく。1回目はマインドフルネスの定義やマインドフルネスが臨床にもたらす効果について,2回目はマインドフルネスの実施方法について紹介した。3回目となる今回は,マインドフルネスな生活を送るためのポイントを整理したい。

連載 地域生活を支える保健医療リハビリテーション—英国との比較から・第2回

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はじめに

 わが国は超高齢社会により高齢者の生活の質の維持・向上と,社会保障費の適正化のバランスをいかに達成するかが重要な課題である。厚生労働省は,住み慣れた地域で生活をできる限り継続するために地域包括ケアシステムの導入を進めている1)。しかし,地域包括ケアシステムを構築するうえで,地域とのつながりの高め方,対象者からのニーズの評価といった点に課題が蓄積している2)

 筆者はわが国同様に高齢化が大きな社会問題となっている英国を訪れ,英国の地域医療を視察する機会を得た。Queen Margaret Universityで出会った,作業療法士のDr. Fiona Macleanから,「Social Prescribing(社会的処方)」という非医療的支援を介して高齢化社会に対する取り組みがあることを学んだ。非薬物的な治療を行うコメディカル職種の作業療法士として非常に興味深く,今後日本の社会問題の解決に向けた一助になると考え,本稿では社会的処方を作業療法士の視点で紹介する。

連載 拝見! 訪問セラピストのカバンの中身・第6回

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地域包括ケア時代を迎え,在宅におけるリハは今後ますます力が注がれる分野になりました。そこで,訪問リハを行うOTの先生に訪問リハにうかがう際のカバンの中身を見せていただき,それぞれのこだわりポイントや,今後の展望などをうかがいました。

連載 のまりーの「ダンスの時間」・第6回【最終回】

インクルーシブダンス 野中 真理子
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 58歳10カ月からイタリア語の勉強を始めた。先日還暦になったから1年と2カ月間一生懸命やってきたわけだ。しかしいまだモンテビアンコ(=モンブラン:ヨーロッパアルプス最高峰4,810m)の1合目あたりだ(泣)。スタート時点ですでに記憶力も理解力も衰退しきっていたので,覚えるのがホント大変(泣)。ラテン語をご先祖様とするイタリア語は,1つの動詞が人称と時制などに応じて66通りにも変化する! もしかしてもっとたくさんなのかもしれないが,モンテビアンコ1合目の私はこの数を見ただけで倒れそうなのだ(泣)。これを間違えると正確には通じない。さらに名詞が男性名詞と女性名詞に分かれており(注:花は男性名詞,戦いは女性名詞という具合に,言葉の意味と性別はなんの関連性もない;泣),そいつを修飾する形容詞やら何やらの語尾も変化させる決まりだ(泣)。何もかも覚えられなさすぎる。やっと読めるようになった単語も,書くとつづりを間違えるし,会話で応用できない(泣)。生まれて初めてこんなにめんどくさい勉強をしている。

 で,なぜそれでもがんばっているかというと,イタリア料理が好きというのもあるが,イタリアに長期滞在して取材したい目的があるからだ。映像の海外ロケと編集の場合,基本的にはプロの通訳と翻訳のスタッフをお願いする。プロの仕事は素晴らしい。しかし予算も必要だ。常に予算の少ない仕事をしている私の場合,倹約のためには,多少なりとも自分でインタビューしたり,翻訳したりできればグ〜ではないか♥ と考えたわけだ。

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 私は病気になる前は回復期リハビリテーション病院勤務のOTでした。2006年「重症筋無力症」という全身の随意筋に脱力や筋力低下が起こる神経難病を発症。長期の入院生活ののち,人工呼吸器を装着した重度障害者となって自宅に戻ってきました。そして,10年以上が経った現在は,地域で暮らす人工呼吸器ユーザーであり,NPO法人ピース・トレランスの代表を務めています。

 ピース・トレランスは,2016年に地域の仲間と一緒に立ち上げました。支援する側と支援される側の両方の立場を経験している者として,その経験や知識,当事者目線で気がついたことなど,地域福祉の諸問題についてさまざまな啓発活動を行っています。

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自助具製作の技術革新を告げる書

 本書を読むと,3Dプリンタは新しい世界を実現する革新的技術だということがとてもよくわかる。これによって,対象者の生活を再構築するために臨床で思い描いたアイデアが,その場で具体的なかたちになる可能性を手にすることができるからである。これは,従来の自助具製作では不可能だった。本書を読むにあたって,3つの重要なポイントを解説する。

 第1のポイントは,3Dプリンタと作業療法の融合である。ぼくを含めて多くの人は「3Dプリンタが従来の実践を変えそうだ」という期待を抱くことはできても,それが具体的に作業療法と結びついたところまでは描ききれなかったと思う。それに対して,本書は第1章で国内外における事例を紹介しつつ,作業療法における活用のプロセスを具体的に示すことに成功している。特に,3Dプリンタは「自助具の設計」「自助具製作と試行」「自助具の適合評価・効果判定・改良」といった時間のかかる工程を高速で回せるため,対象者のニーズと状態に合わせて迅速なアプローチができるようになるという(pp.9-10)。それ以外にも,作業療法で3Dプリンタを活用すると,経費削減,業務効率の向上,現実的制約による断念の防止などのメリットがあると論じており,非常に魅力的でパワフルなツールであることがよくわかる。

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Abstract:本研究は地域在住高齢者42人を対象にAthens lnsomnia Scale(以下,AIS)で分類した不眠の有無とバランス能力および認知機能の関連について検討した。AISに加え,バランス能力としてFunctional Reach Test(以下,FRT)・Timed Up and Go Test(以下,TUG)・片脚立位を用いて検査を行い,さらに,認知機能検査として日本語版Montreal cognitive assessment(以下,MoCA-J)を用いて評価した。AISのカットオフ値(5/6点)で不眠の疑いのある群(8人)と正常な群(34人)の2群に分け,Mann-Whitney検定を用いて両群の差を検討した。その結果,動的バランス能力検査であるFRTとTUGに加え,MoCA-Jで有意な差が認められた。さらに,二項ロジスティック回帰分析によって,AISが影響を受けるバランスの項目として,TUGが抽出された。

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地域リハビリテーション
14巻6号 (2020年1月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1880-5523 三輪書店

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