BOOK REVIEW
はじめてでも簡単! 3Dプリンタで自助具を作ろう
京極 真
1
1吉備国際大学保健医療福祉学部作業療法学科
pp.460
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003201148
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自助具製作の技術革新を告げる書
本書を読むと,3Dプリンタは新しい世界を実現する革新的技術だということがとてもよくわかる。これによって,対象者の生活を再構築するために臨床で思い描いたアイデアが,その場で具体的なかたちになる可能性を手にすることができるからである。これは,従来の自助具製作では不可能だった。本書を読むにあたって,3つの重要なポイントを解説する。
第1のポイントは,3Dプリンタと作業療法の融合である。ぼくを含めて多くの人は「3Dプリンタが従来の実践を変えそうだ」という期待を抱くことはできても,それが具体的に作業療法と結びついたところまでは描ききれなかったと思う。それに対して,本書は第1章で国内外における事例を紹介しつつ,作業療法における活用のプロセスを具体的に示すことに成功している。特に,3Dプリンタは「自助具の設計」「自助具製作と試行」「自助具の適合評価・効果判定・改良」といった時間のかかる工程を高速で回せるため,対象者のニーズと状態に合わせて迅速なアプローチができるようになるという(pp.9-10)。それ以外にも,作業療法で3Dプリンタを活用すると,経費削減,業務効率の向上,現実的制約による断念の防止などのメリットがあると論じており,非常に魅力的でパワフルなツールであることがよくわかる。
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