連載 地域生活を支える保健医療リハビリテーション—英国との比較から・第2回
英国の社会的処方(Social Prescribing)と作業療法
木口 尚人
1
1目白大学 保健医療学部作業療法学科
pp.448-452
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003201143
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はじめに
わが国は超高齢社会により高齢者の生活の質の維持・向上と,社会保障費の適正化のバランスをいかに達成するかが重要な課題である。厚生労働省は,住み慣れた地域で生活をできる限り継続するために地域包括ケアシステムの導入を進めている1)。しかし,地域包括ケアシステムを構築するうえで,地域とのつながりの高め方,対象者からのニーズの評価といった点に課題が蓄積している2)。
筆者はわが国同様に高齢化が大きな社会問題となっている英国を訪れ,英国の地域医療を視察する機会を得た。Queen Margaret Universityで出会った,作業療法士のDr. Fiona Macleanから,「Social Prescribing(社会的処方)」という非医療的支援を介して高齢化社会に対する取り組みがあることを学んだ。非薬物的な治療を行うコメディカル職種の作業療法士として非常に興味深く,今後日本の社会問題の解決に向けた一助になると考え,本稿では社会的処方を作業療法士の視点で紹介する。
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