地域リハビリテーション 14巻5号 (2019年11月)

特集 MSWの地域活動

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 医療ソーシャルワーカー(MSW)は医療機関の中で患者さんの入退院における相談支援や本人・家族の心理,社会的問題解決のための調整など,医療と患者さんをスムーズにつなぐ架け橋として活躍してきました。

 近年は地域包括ケアの流れの中で,病院などは機関内外での医療提供だけでなく,退院後の社会参加や居場所づくりなど,患者さんのその後の生活を支える活動や,住民の教育啓発や自助互助グループ支援など,地域社会のために広い役割が期待されています。本特集では在宅医療介護サービスのみならず,病院と地域社会とのネットワーク構築やその援助,周辺のまちづくり支援など,多職種連携の専門家であるMSWがその知識や技能を活かしながら,医療機関を一歩踏み出した取り組みについて紹介していただきました。

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はじめに

 MSWは病院等の保健医療の場において,社会福祉の立場から患者の抱える経済的,心理的・社会的問題の解決,調整を援助し,社会復帰の促進を図る役割を担っている。「医療ソーシャルワーカー業務指針」では,「地域活動」を業務の一つとし,次のように示している。

 「患者のニーズに合致したサービスが地域において提供されるよう,関係機関,関係職種等と連携し,地域の保健医療福祉システムづくりに次のような参画を行う。

 ① 他の保健医療機関,保健所,市町村等と連携して地域の患者会,家族会等を育成,支援すること。

 ② 他の保健医療機関,福祉関係機関等と連携し,保健・医療・福祉に係る地域のボランティアを育成,支援すること。

 ③ 地域ケア会議等を通じて保健医療の場から患者の在宅ケアを支援し,地域ケアシステムづくりへ参画するなど,地域におけるネットワークづくりに貢献すること。

 ④ 関係機関,関係職種等と連携し,高齢者,精神障害者等の在宅ケアや社会復帰について地域の理解を求め,普及を進めること。」1)

 しかし,病院機能の分化や平均在院日数の短縮化等に伴い,業務の大半が病院内における「入退院支援」(個別支援やカンファレンス等)に割かれ,「地域活動」が十分にできない現状がある。一方,「地域包括ケアシステム」の構築が,「地域共生社会」を目指す過程であると言われて久しく,MSWもさまざまな立場で「地域の保健医療福祉システムづくり」に参画していることも報告されている。

 では,MSW一人ひとりにとって,「地域」とは何処を指すのだろうか。業務指針においても明確に定義はされていない。

 またMSWは他の医療職に比べていまだ少数の福祉職である。初任者から管理者まで実務経験等に応じた職位・職責が整理され,独立したソーシャルワーク部門としての体制が整っている病院は多くない。したがって,MSW一人ひとりが日々の業務を通して,また専門職として「地域」に出る意義を理解するには,ソーシャルワークのグローバル定義(表1)や価値・倫理,MSW倫理綱領を基盤に,また多くのMSWが取得している社会福祉士に求められている役割を元に考えることが必要である。

 本稿は,病院において約30年間相談支援を実践してきたMSW,急性期病院における医療福祉相談室の管理業務を経験した者,また専門職団体である沖縄県MSW協会(以下,県MSW協会)の代表理事としての立場から,沖縄県から県MSW協会が受託した「沖縄県入退院支援連携デザイン事業」(以下,デザイン事業)の取り組みを通して,ミクロ・メゾ・マクロの視点で,MSWが「地域」に出る意義と,これからのMSWに求められていることについて考える。

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はじめに

 静岡県は,東部に都道府県がん診療連携拠点病院を持ち,県内に9カ所の地域がん診療連携拠点病院を設置している。西部の中核都市である浜松市は,人口約80万人が暮らす政令指定都市であり,4カ所の地域がん診療連携拠点病院が置かれている。おのおのの病院には「がん相談支援センター」が設置され,患者やその家族のみならず,地域の誰もが無料でがん相談ができる窓口として機能している。がんによる症状,薬の副作用といった病気や治療に関することから,療養環境といった生活面,医療費といった経済面にかかわることまで,あらゆる相談に医療ソーシャルワーカー(以下,MSW)や看護師,臨床心理士などが連携して対応している。

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はじめに

 小林記念病院(以下,当院)のある碧南市は愛知県のほぼ中央,名古屋市から40km圏内に位置します。北は油ヶ淵,東は矢作川,南・西は衣浦港と周囲を水に囲まれ,地形は碧海台地と矢作川沖積地から成る平坦地です。水に囲まれた特性を活かし,古くから埋め立てによる開発が進められました。昭和32年衣浦港が重要湾岸の指定を受け,大規模な臨界用地の造成がされ現在の市街地が形成されました。平成30年3月31日現在,人口7万2,762人,高齢化率は23.2%です1)

 当院は地域包括ケア病棟(以下,地ケア病棟)(79床),回復期リハビリテーション病棟(以下,回リハ病棟)(60床),医療療養病棟(57床),計196床のリハビリテーション(以下,リハ)を中心とした回復期型の病院です。

 近年,急性期病院が自院や系列病院に,地ケア病棟や回リハ病棟,医療療養病棟などを併設する場合が増え,回復期病院,特に地ケア病棟で高い稼働率を維持するためには,急性期病院からの紹介患者(ポストアキュート患者)(以下,ポストアキュート)に依存するのではなく,在宅・居宅からの直接入院の患者(サブアキュート患者)(以下,サブアキュート)を確保する必要があります。

 平成26年に地ケア病棟を開設して以来,ポストアキュートだけでなく,サブアキュートを獲得することが当院の課題でした。

 小林記念病院地域連携室(以下,連携室)は平成29年,院長を連携室長として,前方連携,院内連携,後方連携を広く担当するPatient Flow Management(以下,PFM)担当部署となりました。

 PFMとは入退院のマネジメント強化手法であり,円滑かつ合理的にベッドコントロールを行うことです2〜5)。当院では連携室副室長でもある看護副部長を中心にPFMを行っています。前方連携と院内連携は看護師,後方連携である退院支援は,社会福祉士(以下,MSW)5名と退院調整看護師1名にて行っています。

 これまでの連携室の取り組みに,よろず相談ホットラインの開設と地域交流会の開催があります。

 入院相談機能を高め,地域のサブアキュートを積極的に受け入れるために,「よろず相談ホットライン」と呼ぶ専用電話を開設しました(図1)。地域で在宅診療にかかわる開業医の先生,地域包括ケアセンター,ケアマネジャー(以下,ケアマネ)など,さまざまな職種からの相談に応えるためにです。看護師が入院相談の対応をすることで,心理,社会面に加え,疾病を含めた身体面からもアプローチすることができています。

 本稿では,当院の地域交流会を紹介し,MSWの役割について考察します。

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はじめに

 社会福祉法人恩賜財団済生会は,明治天皇が,「生活に苦しく医療を受けることができずに困っている人たちにも,医療,福祉の手を差し伸べるように」とのお言葉(済生勅語)を受けて,1911年に設立された。社会福祉法人として40都道府県に99の病院・診療所と292の福祉施設などを運営し,約6万2,000人の職員が医療・保健・医療活動に取り組んでいる。

 済生会向島病院(以下,当院)は,1922年に東京都済生会寺島診療所として開設され,戦後,1948年に「済生会向島病院」として開設された。2010年1月に新病院を竣工し,病床数は102床(うち包括ケア病床63床)内科を中心とした14科の診療科があり,救急指定病院であり地域の高齢者を支える病院として地域の医療・福祉との連携を密に行っている。

 筆者は,医療ソーシャルワーカーとして退院支援業務を主に行っていたが,2013年より日本医療社会福祉協会の職員として石巻市社会福祉協議会へ1年間出向した。この時は,地域福祉コーディネーター立ち上げのサポートとして仮設団地の自治会支援や復興住宅入居での地域コミュニティの支え合い事業など医療福祉の視点で従事した。この任務を経て,墨田区内の医療機関で地域連携業務として町内会や障害児の親の会などの活動に賛同し所属病院と地域の橋渡しをした。2019年3月より,当院の地域医療支援センターに所属している。

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 今回はチーク・口紅の活用法についてお伝えしていきます。高齢者の方にメイクする際に欠かせないのはチークと口紅です。健康的に見せるために血色感を意識してメイクしていきます。就職活動用のメイクにも明るく活発な印象を与えることができます。

連載 高次能機能障害・発達障害・認知症のための邪道な地域支援養成講座 実戦編・第5回

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リハビリ科で「盗難事件」発生!?

目撃証言によると,以下の出来事があったらしい!(再現VTR)

連載 地域生活を支える!? スポーツ内科の基本知識・第1回【新連載】

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はじめに

 記録を狙い自分の限界を超えるために努力するアスリートのみならず,健康維持,体力向上,リハビリなど,身体を動かし汗をかくスポーツは生活を彩る。スポーツに怪我はつきものだが,骨折や捻挫などの外傷に対する診断治療法は確立している一方,スポーツ中の動悸や息切れなどの内科的な症状はあまり重視されない傾向にある。健康維持のためのスポーツがかえって健康を損なうことにならないよう,本連載ではアスリートだけでなく身体を動かすすべての人の健康に資するため,スポーツにおける内科的疾患の診断と対処・予防について紹介,解説していきたい。

連載 地域リハ人を育む大学・研究室・第4回

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先生のご研究や活動のきっかけとテーマについて教えてください

 「高齢者の地域コミュニティにおける活動(その人にとって意味のある,楽しい,なじみある余暇・社会な活動)」について,高齢者が行動できるぐらいの範囲で,どんなことやっているのかなと思ったのが始まりです。「余暇活動」というとちょっと大仰ですが,そこまでいかなくても,習慣にしているとか,これをやると嬉しくなるとか,たわいのないことでもその人には大事なことってありますよね。その活動をきっかけに,どんな人付き合いが起きるかという研究と,そこから派生してできてくる適度な距離感を持った関係性をどう活用できるかなって考えたんです。「Weak Tie Network:弱い紐帯」(緩やかなつながり)というんですが,潜在的な人的社会資源として,この力はけっこう侮れないという報告がアメリカで行われてて,自分の研究もそこにつながるかもって考えたんです。

 この研究の流れで,博士論文に着手したころ「ソーシャル・キャピタル」というキーワードにも出会いました。ソーシャル・キャピタルは「つくる」ものではなくて,形に見えにくい「人とのつながり」「安心安全」「お互いさま」の3つから「醸成」され,単純に1+1が2ではなく,じんわりと50や100に増えていく可能性があるものです。先行研究では,ソーシャル・キャピタルが高ければ安全で,安心で,治安も良く環境や街の雰囲気も良くなるとされています。こうした良さをじんわりと感じることができる地域社会の実現が,今の日本の超高齢社会にとても大事なんじゃないかと思ったんです。

連載 地域リハビリテーションのためのマインドフルネス入門・第2回

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 Mindfulnessは,すべてのはじまりであり,それ,そのものでもある。(Jon Kabat-Zinn)

 この連載では,現在注目されている「マインドフルネス」をテーマに,地域リハビリテーションへの応用の可能性について考えていく。1回目の前回は,マインドフルネスの定義を紹介し,マインドフルネスが臨床にもたらす効果について考察した。2回目となる今回は,マインドフルネスの実施方法について考えてみたい。

連載 地域生活を支える保健医療リハビリテーション—英国との比較から・第1回【新連載】

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はじめに

 議院内閣制度や蒸気機関車,テニスやサッカーなど,歴史上日本が英国から学んだことは多い。ケアマネジメントの手法もその1つであると言われているため,英国の地域医療や地域リハビリテーションが実際どのようになっているのかは大変興味深いことである。筆者は幸運にも2018年の夏に英国に地域リハビリテーション視察研修に行く機会を得た。本稿ではその視察概要と英国のコミュニティケアについて多くの私見を交えて紹介したい。主な視察先(表)の詳細な報告は第2回以降の記事を参照されたい。

連載 拝見! 訪問セラピストのカバンの中身・第5回

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地域包括ケア時代を迎え,在宅におけるリハは今後ますます力が注がれる分野になりました。そこで,訪問リハを行うPT,OTの2人の先生方に訪問リハにうかがう際のカバンの中身を見せていただき,それぞれのこだわりポイントや,今後の展望などをうかがいました。

連載 のまりーの「ダンスの時間」・第5回

トンギコダンス 野中 真理子
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 私の仕事のひとつは映画を生んで(制作して),育てること(配給,宣伝,頒布)だ。つまり自分で作った映画は,永遠に縁の切れないわが子同然なのだ。その映画の子の1人『トントンギコギコ図工の時間』は,2004年生まれの15歳。主人公は東京都品川区立第三日の小学校の1〜6年生までの子どもたち。子どもたち一人ひとりに自分の世界があって,そんな彼らが週1回の図工の時間を通じて自分だけのモノをつくろうと夢中になり,とんでもなく自由な発想でモノをつくる。そんな普通の中にある,たましいがキラキラと輝く時間を贅沢に100時間撮影し,99分の映像に編集したドキュメンタリー映画,東京・ポレポレ東中野で劇場公開した。その後日本全国と韓国・アメリカ・イギリス・スペイン・イタリアで上映された人気者だ。この子の上映会が先日もあって,大分・別府温泉に母である私も呼んでいただいた♥

 子どもである映画と一緒に旅をして,さまざまな土地に生きる人との出会いに恵まれた。そもそも人気の俳優や女優が出てくる作品でもなく,話題のアニメーション映画でも,ハリウッドの大作,オールドファン感涙の名作でもない。普通の小学生の日常生活のドキュメンタリーである。そんな地味な映画のために苦心して資金と人を集め,上映してくれる尊い人たちが今も日本中にいることに感嘆し感謝する。彼女と彼らは,映画を上映するだけでなく,地域の人とのつながりを温かく強くすることも大切にしている。それは口で言うのは簡単だが,一筋縄ではいかない難しいことなのだ。だって人間は皆個々の楽しみや悲しみ,苦しみをかかえて生きている。たまたま同じ地域,隣近所に暮らしているとはいえ,違う物語を生きている。その違う物語を重ねて,一緒に何かしよう,もっと温かい気持ちを深めようと言われても,おいそれとは,ねえ。しかも長く継続して深めていくためには,つながる各人に寛容と忍耐,そしてユーモアが必要だと思う。私は日本中でそういう人たちに出会い,笑わせてもらって,学ばせてもらっている♥

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 私は在宅での歯科治療,嚥下評価,摂食嚥下リハビリテーションなどを行っている歯科医師です。また,仕事の傍らで,「一般社団法人日本kaigoスナック協会」の代表理事をしています。

 「kaigoスナック®」とは,街の飲食店などで介護食(嚥下食)やとろみつきのお酒の体験を提供しながら,医療従事者がスナックママに扮し,嚥下と栄養についての情報提供をする,という学びの場です。3年前に始めてから20回以上開催してきました。

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はじめに

 私は広島県廿日市市に住んでいます。3年前に串戸(くしど)という地域に転居してきました。その前は陽光台という団地に住んでいましたが,子どもたちの通学の関係で駅に近い串戸に転居しました。廿日市市は広島県の西部に位置しており,世界遺産の宮島・厳島神社を有しています。推計総人口は11.49万人,人口密度は235人/km2(2019年6月1日現在)と,過密ではなく,大変住みやすい所です。「平成の大合併」で,廿日市市は近隣の大野町,佐伯町,宮島町などと合併し,一挙に大所帯となりました。瀬戸内海に面しており,車で15分くらい走れば,中国山地の一部である極楽寺山があります。なかなか美しいロケーションです。気候は温暖で自然が豊かで,厳島神社や極楽寺本殿などの世界遺産や重要文化財などの美しい建造物も豊富です。廿日市の牡蠣は全国的に有名ですし,穴子や小イワシなど美味しいものもたくさんあります。私は自分の住んでいる廿日市市を心より愛していますし,住んでいることに誇りを持っています。

 さて,私たちはこの廿日市市にて,医療法人ハートフル(以下,当法人)というリハビリテーションとケアを提供する医療法人を運営しています。グループには120床(回復期病床81床,地域包括病床20床,医療療養型病床9床)の病院と,在宅支援クリニック,訪問看護ステーション,訪問リハ,通所リハセンター,重度認知症医療デイケア,居宅支援事業所,2つの有料老人ホームがあり,そして障害をもつ方たちのためのデイケアや就業支援センター,障害児のための発達支援センターやデイケアなどの事業も展開しています。私たちは「地域のために。地域とともに。」をモットーとし,どのような疾病であっても,どのような障害であっても,また0〜100歳まで,あらゆるライフステージに対応してその人たちを地域で支えたい! と日々仕事に従事しています。地域リハが当法人のコンセプトです。私もその一員として,リハの専門医の仕事と,法人のマネジメントの仕事に追われています。目が回るような忙しさで,1日があっという間に過ぎていきます。

 ところが,本年2月10日,私が居住している廿日市市串戸(くしど)西町内会の役員の交代がありました。串戸自治会は15の町内会によって形成されています。串戸西町内会はその中のひとつです。串戸西町内会は1〜3班に分かれており,各班2年ごとに持ち回りで町内会長を選出することになっています。今年度は3班から会長を選出する決まりとなっており,くじ引きが行われました。あみだくじで当たったのは,なんと…私??? 一瞬目を疑いましたが,間違いなく,私の名前と当たりマークが直結しています。みんなに拍手で迎えられましたが,唖然,呆然の私は口をあんぐりと開けたままです。その後,這う這うの体で自宅へ逃げ帰りました。まず,頭に浮かんだことは,「本当に自分に町内会長の役が務まるのか?」でした。日々仕事に追われており,自分の時間というものがほとんどない状況で,果たしてどうなるのか見当もつきませんでしたが,とにかく私の町内会長としての活動が始まりました。

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はじめに

 リハ専門職は利用者・患者に対して,その知識と技術を「一対一」で提供することをこれまで重視してきました。しかし2040年問題(少子高齢化の進行により,1.5人の現役世代で1人の高齢世代を支える状況)への対応を見据えた地域包括ケアシステムでは,リハ専門職は「一対一」に加えて「一対多」の関係性でのサービス,すなわち少数の現役世代で多くの要支援,要介護者に対応することが求められています。

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 少子化が問題になっている現代の日本において,体重2,500g未満の低出生体重児の割合は約10%となり,医療的ケア児は10年前に比べ2倍の約2万人,人工呼吸器を必要とする子どもたちは10年前の約10倍の約4,000人と増加の一途をたどっている。その多くの子どもたちは在宅で生活を送る。だが,その増加に社会は戸惑い,子どもたちと家族を取り巻く環境はあまりにぜい弱である。

 本書は,そんな子どもたちと家族に幸せをもたらそうと日々奮闘するフロンティアたちが結集して作り上げた本である。本をひもとくと,多くのイラストや写真があり,やさしい文字と色使いが彩を添えている。執筆者も医療・福祉・教育と,多職種連携がなされている。多職種連携は,子どもと家族を支援するだけでなく,新たな社会システムを創っていくうえで欠かせないものであり,そのことも本書は体現している。

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Abstract:今回,神経難病の1つである視神経脊髄炎と診断された60歳代女性に対して退院直後の在宅生活再建から看取りまでの期間で訪問リハを実施した。発症から2年が経過し日常生活は全介助という重度の障害がある中で,在宅生活を継続するための訪問リハとしてのかかわりを報告する。重度の介護が必要なことに加え医療依存度が高い状況にもかかわらず,主介護者は夫一人ということもあり,あらゆるサービスが導入された。訪問リハとしては,福祉用具・介助方法の支援,疼痛ケア,食事・口腔ケアでのかかわりが大きかった。また,主介護者である夫に対して病状に応じた助言や相談を行うことで,重度の介護が必要にもかかわらず最期まで在宅生活を継続することに寄与できた。日々変化していく病状の中で,療養生活を支援していくためにもリハのかかわりは重要である。

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地域リハビリテーション
14巻5号 (2019年11月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1880-5523 三輪書店

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