特集 高齢者の姿勢と生活障害
高齢者のバランス能力低下と転倒
小栢 進也
1
1大阪府立大学地域保健学域総合リハビリテーション学類理学療法学専攻
pp.208-214
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200562
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はじめに
高齢者は1年間に30〜60%が転倒を経験しているとされ,多くの高齢者にとって転倒は身近な問題である1)。転倒によって生じる代表的な疾患である大腿骨頸部骨折では,手術後に十分なリハを行ったとしても身体機能は骨折前に戻らずに日常生活が制限される2)。一方で転倒後に外傷がなくても,転倒に対する恐怖感が増加することで活動量低下につながると考えられている3)。つまり,転倒を予防することは高齢者の身体機能を維持するためには不可欠である。
これまでの研究により,筋力低下,視力低下,反応時間遅延など加齢に伴うさまざまな身体機能の低下により転倒リスク高まることが知られている。その中でもバランス能力低下は転倒の主要なリスク要因であり1),転倒予防を目的としたバランストレーニングが広く行われている。本稿では加齢に伴うバランス能力低下および転倒との関連性についてこれまでの知見をまとめ,転倒予防に効果的なバランストレーニングを検討する。
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