特集 高齢者の姿勢と生活障害
加齢に伴う立位姿勢の変化と歩行障害—脊柱全体が後弯を呈する円背姿勢を中心に
高井 逸史
1
1大阪経済大学人間科学部
pp.202-207
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200561
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加齢に伴い多くみられる姿勢変化
高齢者の立位姿勢は,脊柱の変形をもとに伸展型,S字型,屈曲型,手膝上型の4つに分類され1),中でも図1に示す屈曲型,脊柱全体が後弯を呈した円背姿勢は,加齢に伴い進行する高齢者特有の姿勢変化である。山口ら2)によると,加齢による脊柱弯曲の変化を部位別にみると,頸椎と胸椎の弯曲が増大し,中でも最も弯曲が大きいのは胸椎であり,その影響で脊柱の伸展可動性が低下するとしている。胸椎の後弯が大きくなり腰椎まで広がると,その頂点は下方に移動する(図2)。こうした胸椎後弯の代償として,頸椎の前弯は増強し,骨盤は後傾し膝関節を屈曲させ,力学的均衡を保持していると考えられる。またElble4)によると,通常重心線は膝関節の前方に位置するが,脊柱後弯化により,重心線は膝関節の後方に移動するとしている。さらに原田ら5)は重心線と胸椎後弯頂点までの距離が有意に増大し,その距離が水平化する傾向があると指摘する。
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