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はじめに
小林記念病院(以下,当院)のある碧南市は愛知県のほぼ中央,名古屋市から40km圏内に位置します。北は油ヶ淵,東は矢作川,南・西は衣浦港と周囲を水に囲まれ,地形は碧海台地と矢作川沖積地から成る平坦地です。水に囲まれた特性を活かし,古くから埋め立てによる開発が進められました。昭和32年衣浦港が重要湾岸の指定を受け,大規模な臨界用地の造成がされ現在の市街地が形成されました。平成30年3月31日現在,人口7万2,762人,高齢化率は23.2%です1)。
当院は地域包括ケア病棟(以下,地ケア病棟)(79床),回復期リハビリテーション病棟(以下,回リハ病棟)(60床),医療療養病棟(57床),計196床のリハビリテーション(以下,リハ)を中心とした回復期型の病院です。
近年,急性期病院が自院や系列病院に,地ケア病棟や回リハ病棟,医療療養病棟などを併設する場合が増え,回復期病院,特に地ケア病棟で高い稼働率を維持するためには,急性期病院からの紹介患者(ポストアキュート患者)(以下,ポストアキュート)に依存するのではなく,在宅・居宅からの直接入院の患者(サブアキュート患者)(以下,サブアキュート)を確保する必要があります。
平成26年に地ケア病棟を開設して以来,ポストアキュートだけでなく,サブアキュートを獲得することが当院の課題でした。
小林記念病院地域連携室(以下,連携室)は平成29年,院長を連携室長として,前方連携,院内連携,後方連携を広く担当するPatient Flow Management(以下,PFM)担当部署となりました。
PFMとは入退院のマネジメント強化手法であり,円滑かつ合理的にベッドコントロールを行うことです2〜5)。当院では連携室副室長でもある看護副部長を中心にPFMを行っています。前方連携と院内連携は看護師,後方連携である退院支援は,社会福祉士(以下,MSW)5名と退院調整看護師1名にて行っています。
これまでの連携室の取り組みに,よろず相談ホットラインの開設と地域交流会の開催があります。
入院相談機能を高め,地域のサブアキュートを積極的に受け入れるために,「よろず相談ホットライン」と呼ぶ専用電話を開設しました(図1)。地域で在宅診療にかかわる開業医の先生,地域包括ケアセンター,ケアマネジャー(以下,ケアマネ)など,さまざまな職種からの相談に応えるためにです。看護師が入院相談の対応をすることで,心理,社会面に加え,疾病を含めた身体面からもアプローチすることができています。
本稿では,当院の地域交流会を紹介し,MSWの役割について考察します。
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