連載 地域リハ人を育む大学・研究室・第4回
帝京平成大学健康メディカル学部 作業療法学科
菊池 和美
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1帝京平成大学健康メディカル学部 作業療法学科
pp.353-358
発行日 2019年11月15日
Published Date 2019/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003201119
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先生のご研究や活動のきっかけとテーマについて教えてください
「高齢者の地域コミュニティにおける活動(その人にとって意味のある,楽しい,なじみある余暇・社会な活動)」について,高齢者が行動できるぐらいの範囲で,どんなことやっているのかなと思ったのが始まりです。「余暇活動」というとちょっと大仰ですが,そこまでいかなくても,習慣にしているとか,これをやると嬉しくなるとか,たわいのないことでもその人には大事なことってありますよね。その活動をきっかけに,どんな人付き合いが起きるかという研究と,そこから派生してできてくる適度な距離感を持った関係性をどう活用できるかなって考えたんです。「Weak Tie Network:弱い紐帯」(緩やかなつながり)というんですが,潜在的な人的社会資源として,この力はけっこう侮れないという報告がアメリカで行われてて,自分の研究もそこにつながるかもって考えたんです。
この研究の流れで,博士論文に着手したころ「ソーシャル・キャピタル」というキーワードにも出会いました。ソーシャル・キャピタルは「つくる」ものではなくて,形に見えにくい「人とのつながり」「安心安全」「お互いさま」の3つから「醸成」され,単純に1+1が2ではなく,じんわりと50や100に増えていく可能性があるものです。先行研究では,ソーシャル・キャピタルが高ければ安全で,安心で,治安も良く環境や街の雰囲気も良くなるとされています。こうした良さをじんわりと感じることができる地域社会の実現が,今の日本の超高齢社会にとても大事なんじゃないかと思ったんです。
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